最近でこそ、GoogleやYahooの広告基準が厳しくなったのか、「株式必勝法」で検索しても、株式投資必勝法や有料レポートの広告は表示されなくなりました。しかし、それでも、まだ、巷では、株式投資の必勝法やお宝銘柄レポートが売られています。

実際、私も安定して利益が出るようになるまでは、こういった宣伝に飛びつき、損を繰り返していました。

この記事では、株式投資の必勝法ではなく、負けない方法、つまり不敗法を書いています。

チャート

株式投資における必敗法とは?

株式投資で必勝法はないと言われますが、必敗法は存在します。

もちろん、勝率0%というわけではないのですが、長期的に見れば、必ず大きな損失を出して、市場から撤退していく方法です。

その逆に、必勝法ではありませんが、高い確率で勝つ方法もあります。

NLP(神経言語プログラミング)では、モデリングというテクニックがあります。
これは、何かの分野で成功している人のやり方を真似ることで、その技術をマスターするまでの習熟期間を短縮しようとするテクニックです。

株式投資で言えば、成功している人、例えば、長期投資であれば、ウォーレン・バフェットは、どのようにして銘柄を選定しているのかを研究し、その銘柄選定方法を真似るということです。

また、個人ではモデリングと言っていますが、大企業でもベストプラクティクス分析と言って、成功している企業の経営手法を分析し、その経営手法を取り入れることで、大幅に業績を改善する手法があります。

一方、それとは、逆に、失敗研究といって、失敗事例を分析して、成功確率を高めるという方法もあります。

どちらも実施すれば、鬼に金棒です。

この記事では、最初に、5つの必敗パターン。次に、その逆の勝つ確率の高い方法を記します。
5つの必敗パターンは次の通りです。

株式投資における5つの必敗パターンとは?

  • 証券会社からの情報で銘柄を決める
  • 新聞やテレビのニュースで銘柄を決める
  • 損切できない
  • 聖杯を探し続ける
  • 資金管理ができない

実際、私もこの5つのパターンから離れてから、安定した利益が出せるようになってきました。
以下にそれぞれの内容を説明します。

証券会社からの情報で銘柄を決める

インターネットが使えない高齢者に多いのがこのパターンです。
また、有料レポートを購入する人もいます。

不思議なことに、多くの証券会社は、毎年、安定成長している企業の株を推薦してくれません。

もちろん、安定成長といっても、上場間もない小型株は株価の変動が激しく、業績が安定成長しているにも関わらず、株価が1/3以下になってしまったというケースもあります。
インターネット広告大手のサイバーエージェントは、上場後、株価が1/10になってしまった時もあるとのことです。

しかし、大企業で安定成長しているような企業であれば、ここまで極端な下落はありません。

例えば、住宅メーカーの大和ハウスは、既に、売上が3兆円を超え、しかも住宅業界という成熟市場にも関わらず、毎年、安定して業績を伸ばしています。

そして、株価もここ5年間で2,000円から4,000円台へと2倍以上の伸びを示しています。
配当利回りも2.55%と銀行に預けておくよりも、はるかにいい利率です。
例え、株価が全く上がらなかったとしても銀行に預金しておくよりもはるかに高利回りを期待できます。

しかし、なぜか、こういった株を長期保有しましょうという提案は、ほとんどありません。

最近になって急騰してきたような株を推薦してくるケースが多いのです。
そして、買った途端に急落し、塩漬けとなるパターンです。

ニュースで銘柄を選定する

株式投資を行うのであれば、日経新聞を購読し、日本経済全体の動向を知っておくことは重要です。
GDPの成長率は、中長期的には、日経平均に大きく影響を与えます。

しかし、毎日、個々の企業のニュースを見ても、株式投資には、ほとんど役立ちません。

つまり、好決算のニュースを発表しても、アナリストの予想よりも低かったということで急落するケースがしばしばあります。

また、悪いニュースが出ても、悪材料出尽くしということで、逆に上がるケースがあります。

どちらの結果になるかは、判断がつかないため、ニュースが出てから売買しても遅いのです。むしろ、株価が急変動するため、投資家心理としては不安になってしまい、損を出すケースが多くなってしまいます。

損切できない

株式投資で失敗する最大の要因が損切できないことと言われています。

埋没コストとは?

経済学で埋没費用(サンクスコスト)と言われる概念があります。

例えば、ある企業が新規事業参入のために、10億円を投資し、新しい設備を導入しました。
ところが、事業をはじめてみると、毎年1億円の利益を見込んでいたのに、逆に、1億円の赤字になってしまいました。
いろいろ頑張ったのですが、とても黒字になる見込みがなく、毎年1億円の赤字を垂れ流しています。

その事業から撤退してしまったほうがいいのですが、既に、10億円を使ってしまったため、“もったいない感”がハンパなく、事業から撤退できません。

この場合、最初の10億円は、事業を継続しようが止めようが、もう戻っては来ません。このようなコストのことを埋没コストと言います。

例えば、パナソニックはプラズマTVで世界一のシェアを取ろうとして、7,000億円もの巨額の費用を投じて兵庫県尼崎市に巨大工場を建設しました。

しかし、TVの主流は、完全に液晶方式に移っていったため、コストが下がらず、赤字を垂れ流すことになってしまいました。巨額の費用を投じてしまったこと、および、TVというパナソニックにとっては、会社の象徴的な事業であったため、撤退時期が遅れてしまったと言われています。

ちなみに、個人生活では、期待外れの映画を見に行った時がコレに相当します。
つまり、1,800円払って映画を見に行ったのに、最初の30分で、なんとツマラナイ映画だろうかと思ってしまった。しかし、当然、支払った映画代1,800円は戻ってきません。これが埋没コストです。

映画館を途中で抜け出して、他の楽しみを見つければいいのですが、ツマラナイと思いながらも、1,800円がもったいないので、最後まで映画を見てしまうパターンです。

株式投資における埋没コスト

投資においても、埋没コストがあります。

これから上がると思って、1,000円で購入した株が、900円まで下がってしまった。
この場合、100円が埋没コストです。

プロの場合は、株価が自分の予想と逆行した場合、最初に設定しておいた損切基準まで下がれば、躊躇なく損切します。

しかし、いつも損をする人は、また、1,000円まで戻るかもしれないと考えて、そのまま株を保有するのです。そして、売らなければ、損は確定しないと自分を説得します。1,000円まで、戻ってくればいいのですが、さらに、下げて800円になる可能性もあります。

800円に下がったら、
「もう200円も下がった。このまま売ったら大損だ。戻るまで待とう」
と自分を説得します。

さらに、100円下がって、700円になります。
既に、30%の下落です。
1,000円に戻るまでは、50%近く上げなければならなくなるのですが、まだ、そのまま保有し塩漬けになります。

ウォーレン・バフェット氏のバイ&ホールド型で、毎年20%以上成長している会社の株を10年以上保有し続ける場合であれば、これも止むを得ないかもしれません。

しかし、損をし続ける個人投資家の場合、そもそも業績の良くない会社の株を証券会社の勧めで買っている場合が多く、この場合には、そもそも買った値段まで戻ってくる見込が全くありません。

長期塩漬けにするか、もしくは、もっと大幅に下げ、痛みに耐えきれなくなって売却するかのどちらかになります。

聖杯を探し続ける

インターネットを活用する若い世代に多いのがこのパターンです。
どんな市場でも、どんな銘柄でも、必ず儲かるシステムをキリスト教の聖杯伝説になぞらえて、聖杯と呼びます。
伝説になぞらえているくらいなので、そんなシステムは存在しません。

もし、それに近いシステムがあったら、誰でもウォーレン・バフェット以上の大金持ちになれます。

しかし、未だに、そんなシステムを探し求めている人が多いのです。
相場のテクニックが日本より、はるかに上と言われるアメリカでも多くの人が聖杯を探しているようです。

情報商材では、よく以下のような宣伝があります。
「15年間負けなし。平均月利12.5%」

もし、こんなシステムがあれば、なんと、最初の資金100万円は、15年後には、1億倍に膨れ上がり、資金は100兆円を超え、世界一の大金持ちになれます。

もちろん、こんなことはあり得ません。

100兆ではなく、15年後にあなたの100万円が10億円になりますと言われても、ほとんどの方は信じられないでしょう。
ただ、月利10%前後、年収ベースで3,000万円程度であれば、信じてしまう人がいるのです。

もちろん、世の中には、100万円を200億円にした天才トレーダーもいますが、それは、あくまで例外です。

野球をやっても、誰もがイチロー選手や大谷選手になれないのと同様に、投資の世界においても年率100%以上の利益を上げられるスーパートレーダーに誰もがなれるわけではありません。

資金管理をしない

最近のインターネット証券であれば、自分でトレード記録をつけていなくても、勝手に証券会社のシステムが売買履歴や残高を表示してくれます。

しかし、未だに電話発注している高齢者は、ほとんど売買記録をつけている人がいません。

投資といいながら、パチンコや競馬などと同じギャンブルの世界なのです。ギャンブルの世界なので、当然、勝率や運用利率も把握しておらず、「昔、勝ったことがある」「今回の株は当たった」とまるでギャンブルのように話します。

しばらくすると運用資金が底をつき、市場から退場していくのですが、また、しばらくして余裕資金が出来てくると、市場に参入し、また、しばらくすると退場していくということを繰り返します。

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継続的に安定して勝てる方法

株式投資で必ず敗けると言われている方法があるならば、その逆をやれば、勝てるようになるはずです。
ここでは、必敗法の反対を記します。

  • 自分の判断で売買する銘柄を決める
  • 新聞やテレビのニュースで判断しない
  • 損切基準を設定し、そのルールを遵守する
  • 自分用のトレードルールを構築し、そのルールを守る。
  • 売買記録をつける

自分の判断で売買する銘柄を決める

証券会社から情報をもらう代わりに、自分で売買する銘柄を決めるのです。
決める方法は、大きく分けて二つあります。

ファンダメンタル分析主体で長期投資を行う場合

ウォーレン・バフェット氏のように、一旦、購入すれば、株は売らないという方針ならば、過去5年間の経常利益が毎年20%以上伸びていて、しかも、自己資本比率が50%超の会社の株を買いましょう。
全上場銘柄の中でも100銘柄もないはずです。
ただし、小型株の場合、急落する恐れもありますので、チャートも見て、買い時を判断しましょう。

テクニカル分析主体で短期投資を行う場合

チャートを見て、リズムのある動きをしている株を売買の対象としましょう。
頻繁に、急騰・急落する株の売買で利益を出すのは、よほどの達人でなければ無理です。周期的な値動きのある銘柄を探しましょう。

新聞やテレビのニュースで売買しない

ニュースが出た銘柄の売買は避けましょう。
急騰・急落する場合があります。売買に上達すれば、十分に他の銘柄で利益を出せますので、リスクは避けましょう。

損切基準を設定し、そのルールを遵守する

極力、損切基準を厳しく設定しましょう。
長期投資なのか、短期投資なのかによって、損切基準は変わってきますので、一概に何パーセントが適切なのかは言えません。

ただし、アメリカの成功している短期トレーダーの場合、1回のトレードにおける損切基準を資金全体の0.5%~1%に置いていると言われています。

あるいは、一日の値幅で判断する場合、平均的な一日の値幅を損切基準と設定することもできます。

例えば、3,000円の株で、1日の平均値幅が60円なら、3,000円で購入した株は、2,940円を下回れば、損切です。

ただし、損切基準については、売買スタイルや性格によって変わってきますので、売買を繰り返すなかで最適な基準値を探ってください。

自分用のトレードルールを構築し、そのルールを守る。

シンプルなルールで売買しましょう。
プロトレーダーは、特別な秘密のルールを用いてトレードをしているように思われますが、ごくごくシンプルなルールでトレードをしている人が多いようです。

例えば、過去20日間の高値を更新すれば買い。終値で10日移動平均線を抜けば買い。

シンプルなトレードルールであれば、過去データさえあれば、プログラミングができなくてもエクセルで十分に検証可能です。
ごく一般的なセットアップの方法でトレードルールを検証していきましょう。

それから、市販されているトレードシステムですが、一般個人投資家が勝率の高いシステムを購入できるチャンスは、まず、ないと思ってください。

例えば、毎年、30%の利益率が期待できるシステムがあるならば、税引き後で、11年間で資産は10倍になります。約20年で100倍。100万円の資金で投資をはじめても20年後には1億円。
家族でもない他人にそんなシステムを安い価格で公開するはずがありません。

売買記録をつける

自分でも売買記録をつけましょう。

売買を繰り返し行えば、勝率や平均利益額/回、平均損失額/回を算出することができ、自分のトレードルールがプラスの期待値を持っているのか、あるいは、マイナスの期待値、つまり売買する度に損をするのかが分かるようになります。

また、トレードルールを持っているのに、そのルールが守れたかどうかも確認できます。

こうして、売買記録をつけることで、次第に規律のあるトレードができるようになり、継続して利益が出せるようになります。

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