成長

バリュー株投資とは?

成長株投資とよく比較される投資手法にバリュー株投資という投資方法があります。

成長株投資が毎年20~30%成長していく株を買うのに対し、バリュー株投資では、企業業績や・財務状態から勘案して、割安に放置されている株を買っていく手法です。

2020年はコロナウイルスの影響で、多くの企業が本来の実力よりも割安に放置されています。

2020年はバリュー株投資をしようという方には最適な年になるかもしれません。

割安を判定する指標は?

バリュー株投資では、主に、PERPBRといった指標が使われます。また、独自の計算式で割安度を算出している証券会社もあります。

PERとは?

PERとは、Price Earnings Ratioの略で株価収益率と訳されます。

PERを求めるには、まず、EPS(Earnings Per Share)、1株当たり利益を算出します。

EPS(1株当たり利益)=税引利益÷発行済株式数

次に、株価÷1株当たり利益(EPS)でPERを求めます。

PER(株価収益率)=株価÷1株当たり利益 (EPS)

PBRとは?

PBRとはPrice Book Value Ratioの略で、株価純資産倍率と訳されます。

PBRを求めるには、まず、BPS(Book Value Per Share)、1株当たり純資産を求めます。

BPS=純資産(株主資本)÷発行済株式数

次に、株価÷1株当たり純資産(BPS)でPBRを求めます。

PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たり純資産(BPS)

業種で大きく異なるPERやPBR

ただし、PERやPBRは業種によって大きく異なり、これらの指標だけで割安と判定するのは困難です。

金融、自動車、資源関連株は常に割安

金融、自動車、資源関連株は長期的に見た場合、業界自体が縮小する可能性があると考えられており、PERやPBRの指標で見るとかなり割安になっています。

「金融業界」

低金利が長期化し、利ザヤが縮小しています。また、ネット銀行の台頭により、従来の大手銀行の役割が低下しています。さらに、各種PAYの普及により、もっと銀行の役割が低下すると予想されています。

「自動車業界」

カーシェアリング・ウーバー・AI・自動運転などの普及により、そもそも個人が自動車を所有する必要性が減ってくると予想されています。

「資源関連業界」

ガソリンなどの化石燃料から再生エネルギーへと移行が進んでいます。また、カーシェアリング・ウーバーなどの普及により、自動車の生産台数が減少し、同時に自動車を製造するための鉄などの素材についての需要も減っていきます。

成長株と自動車株のPER、PBRの比較

それでは、成長株の代表格であるMonotaROとトヨタ自動車のPER、PBRを比較してみましょう。

会社名 PER PBR
MonotaRO77.5倍25.85倍
トヨタ自動車17.45倍1.45倍

* 2020年5月24日現在

MonotaROの場合は、EC企業のため、大きな設備としては、物流センターくらいしかありません。一方、トヨタは世界各地に自動車生産工場を持っているため、PBRに関しては圧倒的な差があります。

また、PERに関しても、日経平均全体で12倍程度ですが、成長株は常時40倍以上のPERを示している企業も多いです。

アメリカ企業で言えば、Amazonは超成長志向の会社だったため、創業以来、長い間赤字を続けていました。こういった場合は、PERも算出できません。

なお、現時点(2020年5月24日時点)では、コロナの影響でほとんどの会社が業績を下方修正、もしくは、未定としています。これにより、税引利益が小さくなっているため、PERは平常時よりも、かなり高めに出ています。

PERとPBRの2つの指標だけではトヨタ自動車は割安と判断できませんが、特に、PBRの観点から見れば、金融・自動車・資源関連株に割安銘柄が多いようです。

割安株の見つけ方

割安株を判定する指標としてはPER、PBRが代表的ですが、証券会社各社は株のスクリーニングツールを持っており、割安株を抽出できるツールがあります。

以下の図は、筆者がメインで利用しているGMOクリック証券のスクリーニング機能を使って、割安度上位10社を表示したものです。

割安株

市況を反映して、やはり日本板硝子日本金属などの資源関連株が割安として放置されています。

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日本板硝子と日本金属の2社について、業績等を掘り下げてみます。

PERやPBRはいくらか?

会社名PERPBR
日本板硝子未定0.33倍
日本金属未定0.2倍

PERについては、業績予想が発表されていないため未定です。

PBRは、会社の総資産から負債を引いた金額のことであり、純粋にその会社の資産といえる部分です。会社の価値は通常、純資産以上になるはずであり、PBRが1倍を下回った場合を解散価値割れとも言います。

両社とも大きく解散価値割れとなっており、この指標からはかなり割安と判断できます。

赤字になっていないか?

GMOクリック証券の場合は、四季報の概要も確認することができます。

この情報によれば、日本金属については、これだけ割安と判定されているにもかかわらず、利益漸増となっています。

今後、コロナの影響により、赤字にならないとも限りませんが、PBRと業績予想を見る限り、割安と判断できます。

一方、日本板硝子については、一転最終赤字との見込みです。いくら割安とはいえ、赤字になる会社を買うのは危険です。

過去の価格水準は?

両社の月足を確認します。

日本金属の月足を見る限りでは、長年株価は1,200円~1,600円前後を推移していました。現在の株価は632円なので、市況が回復すれば、数年後には、元の株価に戻る可能性があります。

日本板硝子の月足を見る限りでは、株価は600円~1,000円前後を推移していました。現在の株価は381円なので、3倍近くになる可能性もあります。

バリュー投資のメリット

見込みが当たれば、大きなリターンが期待できる

日本金属や日本板硝子のように、割安株は過去の株価から半値以下になっている銘柄が多いです。このため、市況が回復すれば、元の株価に戻り2倍以上のリターンを得られる可能性があります。

配当が得られる

バリュー株は歴史ある企業の場合も多く、業績が赤字になっていなければ、比較的高い配当が得られる銘柄が数多くあります。

バリュー投資のデメリット

株価が上昇するまでに、かなりの時間がかかる。

バリュー株投資の対象となる株は人気がないため割安に放置されているという面があります。このため、株価が上昇するまでにかなりの時間を要する場合があります。

成長株のような10倍高は期待できない

MonotaROのような成長株を見つけ、株を保有し続けることができれば、10年で資産が10倍以上になる可能性があります。

しかし、バリュー株は、そもそも不人気で割安に放置されているということもあり、10倍高といった劇的な上昇は期待できません。

割安時期に買う

バリュー株投資は、割安に放置されている株を買います。

しかし、もうひとつの方法は、成長が期待できる株を割安になった時期に買うことです。

例えば、筆者が注目している銘柄に太陽誘電があります。5G関連銘柄でもあり、通常、PBRが1倍割れするようなことはありません。しかし、2019年1月に1倍割れを起こしたことがあります。その後から大きく上昇し、半年後には株価は2倍以上になりました。

通常の年ならば、日経平均は年に2,3回大きく急落する場合があります。

そういった時期を待って、成長株を購入すれば、割安で購入できる可能性があります。

また、そういった時期ならば、バリュー株の対象となるような株も大きく下落しています。

バリュー株投資の場合でも、日経平均が急落した時を狙って買うことで、さらに割安株を割安で買うことができます。

バリュー株投資で損切すべきか?

いくら割安で株を買えたと思っても、さらに、株価は下落する可能性があります。そして、元の株価水準に戻るまで10年以上かかる可能性もあります。

バリュー株投資といえども、買値から10%下げれば、損切するといったルールを決め、それを遵守することで、塩漬け株を持つことは防げます。

2020年はコロナウイルスの影響で多くのバリュー株が出てくるでしょう。割安株を見つけ、さらに、安い時期に購入することで大きな利益を期待できます。

はっちゅう君