株式投資をしておられる方ならば、日経平均先物(日経225先物)という言葉は、よく読んだり、聞いたりされると思います。
日経新聞の記事でも、「昨日は、日経平均先物にまとまった売りが出たため、それに釣られて、現物市場の日経平均株価も大幅値下がりした」といった記事です。
一般的には、先物市場は、個人投資家には危険だと言われているため、株式投資をしている方でも日経225先物の口座を持っている人は少ないのではないでしょうか?
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しかし、実は、しっかりした売買ルールを持って取引すれば、現物の株式投資よりも安い手数料で安全に取引することもできるのです。
この記事では、初心者のための日経225先物取引のはじめ方を書いています。
日経平均先物(日経225先物)とは?
Contents
さて、まず、毎日のように目にする日経平均株価(日経225)ですが、これは、ざっくり言えば、日本を代表する企業225社の株価の平均値を加工したものです。
日本経済を代表する指標(指数)なので、政府系機関が算出しているような気がしますが、日本経済新聞社が算出、公表している数値です。また、225銘柄についても固定ではなく、年に一度銘柄の入れ替えが行われます。
そして、日経225先物とは日経225(日経平均株価)という指数を取引する仕組みなのです。
株式の場合は、例えば、トヨタ自動車を100株購入すれば、トヨタの株主になれます。
そして、配当をもらう権利もついてきます。
やろうと思えば、株主総会に出席して質問したり、意見を述べることもできます。
株を買うということは、トヨタ自動車という実体のある会社の一部を所有している形となります。
しかし、先物取引は、企業225社の株を買っているわけではありません。
日経平均株価という実体のない指数を取引していますので、投資初心者にとっては、危険な雰囲気があるのかもしれません。
ただし、通常の株式と同じく、現在の市場価格で売買できますし、夜間にも取引できるなど、株式市場にはないメリットもあります。
取引の実際
取引の例
それでは、日経225先物を実際に取引したとしましょう。
株式の場合のように配当や株主優待チケットをもらえるわけではありませんので、取引の目的はキャピタルゲイン、つまり値幅取りです。
相場が上がると思えば、買いから入り、下がると思えば、売りから入ります。
日経225先物の場合、株の空売りと同様に、売りから入ることもできます。
実際の取引は以下のようになります。
「相場は底を打って、上昇トレンドに移行したようだ」
- 2月1日 日経225先物価格 20,000円 1枚買い
- 2週間後、日経225先物は21,000円まで上昇
- 2月14日 日経225先物価格 21,000円 1枚売り
利益 (21,000円-20,000円)×1枚×1,000倍=1,000,000円
売買単位は?
現在、多くの株は100株単位で売買されています。
このため、20,000円の株を現物で購入するなら、20,000円×100株=2,000,000円の資金が必要です。
しかし、日経225先物取引の場合は、売買単位は1枚単位です。
ただ、この1枚が日経225先物価格を1,000倍にした金額です。
日経225先物1枚の場合の取引金額
20,000円(日経225先物価格)×1,000倍=20,000,000円
つまり、日経先物1枚で2,000万円もの取引になってしまいます。
これでは、一般の個人投資家にとっては大きすぎます。
しかし、規模を1/10にした日経225mini(ミニ)という取引もあります。
こちらなら、取引金額は、日経225ミニ1枚が日経225先物価格を100倍にした金額です
日経225ミニ1枚の場合の取引金額
20,000円(日経225先物価格)×100倍=2,000,000円
ミニと区別するため、通常の日経225先物をラージと呼ぶこともあります。
ラージでは取引金額が大きすぎるため、資金がある方でも、最初はミニから開始されることをオススメします。
必要な資金は?
日経225先物をはじめるためには、証券会社に証券口座とは別に先物口座を開設して、証拠金を預ける必要があります。
日経225先物1枚を購入するために必要な証拠金は、日本証券クリアリング機構が採用する証拠金額(SPAN証拠金額)を基準に算出されます。
SPAN証拠金額は、2019年2月5日現在、ラージ1枚で690,000円、ミニ1枚で69,000円です。
日経225先物・ミニ1枚を購入するために必要な証拠金は、証券会社によっても異なります。
多くの証券会社は、
必要証拠金= SPAN証拠金額としていますが、安全を見て、
必要証拠金= SPAN証拠金額×1.3倍としている証券会社もあります。
多少証券会社によって異なりますが、
ラージの場合、たった690,000円で20,000,000円
ミニの場合、たった69,000円で2,000,000円
の取引が可能となります。
先物取引が危険と言われるのは、このように少ない証拠金で大きな取引ができてしまうからなのです。
私も長年先物取引は危険だと思っていました。
しかし、何も少ない証拠金で大きな取引をする必要はありません。
ミニの場合であれば、2,000,000円の証拠金を預けておき、ミニ1枚だけを取引するのであれば、危険性は何ら現物株と変わりありません。
売買ルールによっては、夜間取引ができる分、現物株よりも安全な場合があります。
なお、SPAN証拠金額は、日経平均の変動幅によって、上下します。
相場の値動きが荒くなってきた場合は、証拠金の額も上がり、落ち着いてきた時は下がります。
日経225先物のメリット・デメリット
初心者には危険と言われている日経225先物ですが、実は、資金管理さえしっかり行えば、株式よりも有利な点が多々あります。
日経225先物の5つのメリット
現物株に比べ、値動きが比較的安定している
現物株の場合は、決算発表後に急落するケースが多々あります。
例えば、ソニーの株価は第三四半期の決算発表後、
2019年2月1日の5,499円から翌営業日には5,055円へ
とたった1日で8%も下落してしまいました。
2019年3月の決算は過去最高益を更新すると発表されたにも関わらず、アナリストの期待に届かないという理由で急落してしまったのです。
個別株の場合は、決算発表やちょっとした悪材料のニュースにより、株価が10%前後変動することが珍しくありません。
しかし、日経平均が1日で2,000円も下がることは、大地震や9・11同時多発テロのような世界的な大事件でもなければ、滅多にありません。
トレンドが分かりやすく、システムトレードに適している
アメリカの多くのシステムトレーダー(コンピューターを使った売買システムを利用した投資家)は株式市場や株の指数先物(ダウ先物やS&P500先物)より、トレンドが分かりやすい商品先物やFX市場を好むと言われています。
これは、株の場合、上述のソニーのように突発的な動きがあるためです。
ただ、その中でも日経225先物に関しては、例外であり、トレンドが分かりやすく、好んで取引をしている投資家が多いとのことです。
夜間も取引できる
夜中にダウが急落し、翌日の始値で手仕舞いしたのに、大損してしまったという経験をお持ちの方も多いでしょう。
最近では、年に数回ほど、ダウが一日で1,000ドル近く下げることもあります。
こんな日の翌日は、日本市場でもほとんどの株が急落します。
寄付きで売ったとしても、売りが殺到するため、昨日の終値を大きく割り込んでしまいます。
しかし、日経225先物であれば、市場が夜間も動いているため、ダウが下落を始めた夜中のうちに手仕舞いすることができます。
特に、逆指値を設定しておけば、勝手に注文が出されますので、安心して寝ることができます。
取引時間
日経225先物の取引時間は下記の通りです。
日中:8時45分~15時15分
夜間:16時30分~翌朝5時30分
土日祝日に関しては、お休みです。
手数料が安い
取引金額に比べて手数料が安いこともメリットのひとつです。
手数料は証券会社によって多少異なりますが、私が利用しているGMOクリック証券の場合、日経225ミニ1枚でたったの39円です。
たったの39円で20,000円×100倍=2,000,000円の取引ができます。
これが現物株なら900円もかかります。
金利や貸株料も発生しない
株でも信用取引を利用すれば、手持ち資金の3倍超の取引が可能です。
ただし、信用買いの場合は金利が、信用売りの場合は貸株料が、場合によっては逆日歩が発生します。
日経225先物の場合は、売買手数料以外の費用も発生しません。
日経225先物のデメリット
過剰にレバレッジをかけた場合、リスクが大きくなり過ぎる
日経225の場合、証拠金の30倍近くの取引が可能です。
少ない証拠金で大きな取引をすることをレバレッジをかけると言います。日経225先物に限らず、FXや他の先物でも、レバレッジをかけすぎて失敗する人が数多くいます。
ただ、これは、レバレッジをかけすぎなければいいだけの話です。
しっかりした資金管理ができれば、特に、デメリットというほどのものではありません。
日経225先物を取引するのに準備すべき証拠金額はいくら?
ミニの場合、1枚につき100万円。
ラージの場合、1枚につき1,000万円。
つまり、資金が100万円以上なければ、日経225先物の取引はオススメできません。
売買のやり方にもよりますが、これ以上レバレッジをかけると、一般投資家にとっては、ストレスが大きくなりすぎ、結果的に失敗します。
もっと安全を見るならば、レバレッジは1倍にして、ミニ1枚で200万円です。
これなら、現物株と全く変わりません。
損切の設定額は?
多くの成功したアメリカの投資家によれば、1回の取引でのリスクは0.5%~2%に限定すべきとのことです。
例えば、資金100万円で日経225ミニの取引を始めたとします。
この場合、1回の取引で最大損失額は
100万円×2%=2万円以内に抑えるべきです。
これならば、たとえ10連敗しても、損失は20万円。資金の20%以内に収まります。
ミニの場合、100倍が実際の取引金額になりますので、
損切価格=20,000円÷100倍=200円となります。
買い注文が成立すれば、すぐ、購入価格の200円下に逆指値注文を入れます。
これを徹底すれば、市場から撤退することもなく、資産を殖やしていける可能性が高くなります。
日経225先物取引の特有の制度
株式とは違って、先物取引特有の制度があります。
限月取引とは?
日経225先物取引では、取引の満期日が定められており、この満期日が属する月を限月(げんげつ)といいます。
最も近い限月が最も取引量が多いため、通常は、最も近い限月を選んで取引します。
各限月の満期日は第2金曜日ですが、取引できる最終日はその前営業日となります。
満期日を迎えると、SQと呼ばれる特別清算指数値で自動的に決済されますので、限月を持ち越すことはできません。
持ち越したいならば、一旦、決済して新しい限月で取引をすることとなります。
日経225先物の限月は、3の倍数月(3月、6月、9月、12月)です。
また、日経225ミニに関しては、毎月限月があります。
値幅制限は?
日経225先物取引においても、株のストップ高やストップ安と同じような値幅制限があります。
日経平均の変動幅によって、値幅制限の額も変わりますが、2019年2月5日現在では、1700円前後に設定されていました。
東日本大震災や9・11同時多発テロ事件の際には、この値幅制限が発動されました。
日経225ミニ1枚でも最悪1日で20万円ほど損失するケースも考慮しておかなければなりません。
最低でも、日経225ミニ1枚につき、100万円の資金は準備しましょう。
取引を開始するために
証券口座以外に、先物口座の開設が必要となります。
現在、GMOクリック証券を使っていますが、手数料もほぼ最安値レベルであり、チャートも見やすくオススメです。