スポーツや芸事、あるいは将棋や囲碁などは、誰でも練習を続ければ、程度の差こそあれ上達します。株式FXなどでも正しい方法で練習を続ければ上達できるのでしょうか?

この記事では、筆者がこれまで実践してきた株式投資の練習法を記しています。

モデリングとは?

心理学の用語でモデリングという言葉があります。

モデリングとは、何かしらの対象物を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て、同じような動作や行動をすることです。

日本で何かの芸を学ぶ時の守破離の概念です。

この概念を活用すれば、株やFXなどの投資においても成功した投資家と同じ手法を学び、練習することによって、次第に上達できるはず?

そう考えて、これまで投資上達法と呼ばれるものをいくつか実践してきました。

この記事では、日本やアメリカの代表的な投資上達法を紹介しています。

上達できない個人投資家の特徴

人の振り見て我が振り直せ
という諺がありますが、上達法の前に、まずは、上達できない個人投資家の特徴をあげます。
つまり、成功しない人の逆をやれば成功する確率は高くなるはずです。

損切しない

多くの投資家や相場師が指摘する最大の失敗要因が損切しないことです。

資金管理のルールとも関係しますが、損切できない場合は、たとえ勝率が75%という高い数値を誇っていても長期的には破産します。

例えば、

1回目 1,000円×1,000株 購入 → 1,100円×1,000株 売却 10%上昇
2回目 1,100円×1,000株 購入 → 1,210円×1,000株 売却 10%上昇
3回目 1,210円×1,000株 購入 → 1,210円×1,000株 売却 10%上昇
4回目 1,331円×1,000株 購入 → 1,464円×1,000株 売却 10%上昇

ここまでで、当初資金は100万円から146万円まで増えています(税・手数料は考慮せず)。

5回目 1,464円×1,000株 購入 → 878円×1,000株 売却 40%下落

この場合、勝率は80%です。
しかし、5回目の取引で40%下落してしまったため、たった1回の取引で当初資金を下回ってしまいました。

数学的に考えれば、損切ができなければ、たった1回の取引で資産を大幅に減らしてしまう可能性があることは、誰にでも分かります。

しかし、現実の取引では、
「まだ、上がるかもしれない。上がったら売ろう」
と思っている間に、ドンドン値下がりしてしまい、気がついたら半値以下になってしまったという投資家が数多くいます。

こういった事態を避けるためには、取引が成立すれば、すぐに、逆指値注文を入れて、損失額を限定することです。

自分の売買ルールを持っていない

多くの投資家が売買ルールを持っていません。
全てが数式化できるものでもありませんが、何かしらの売買ルールを持っていなければ、上達が見込めません。

例えば、テニスでもサーブ&ボレーを得意とするタイプやラリーを得意とするタイプなどプレースタイルは多少異なりますが、

  • ラケットを振り切る
  • ボールをよく見る

などは、どのプレーヤーにとっても大切な基本事項です。

投資においても、短期投資長期投資などやり方は様々でしょうが、売買ルールを全く持たずに、その都度、思いつきで売買していたのでは、上達が見込めません。

上達が見込めない売買の例

  • 今日、購入した雑誌に〇〇株が急上昇というニュースが出ていたので、購入した。
  • 証券会社のセールスマンから勧められたので、よく調べもせずに購入した。

売買記録をつけていない

売買記録売買日誌をつけていないのも上達しない投資家に共通しています。

売買記録だけでなく、なぜ、その株を売買したのかといった理由まで記入しておけば、上達の可能性が生まれます。
しかし、毎回、思いつきだけで売買していたのでは、万年初心者のままです。

スポーツや芸事と同じく投資でも上達しようと思えば、実際に売買を繰り返す必要がありますが、日本、および、欧米での代表的な練習法を記入します。

日本の相場師の売買練習法

うねり取りとは?

大阪・堂島にあった米取引所が世界最古の先物取引所と言われていますが、日本の昔の多くの相場師は主にうねり取りで利益を出していたと言われています。

英語ではトレンドと言いますが、相場にはある程度周期的な波のような動きがあるとされています。
うねり取りは、この波を捕らえて、安い時に買って、高い時に売るという売買手法です。

うねり取りの練習法

  • 売買する銘柄をひとつに絞る
  • 毎日、場帳をつける(終値をノートに記入)
  • 毎日、チャートを大型の方眼紙に手書きする(日足の折れ線グラフ、もしくは、ローソク足)
  • 値動きが分かってきたと思ったら、株を購入

売買する銘柄は、できるだけ周期的な動きのある銘柄がいいということで、業績のブレが少ない建設株などが推薦されています。

また、底から天井まで、天井から底まで、およそ25日~30日くらいの周期で動きを見せているような株がいいとのことです。

大林組などは、それに近い動きをしているようです。

こうして、何カ月か場帳やグラフをつけていると、次第に、値動きが分かってくるので、売買を繰り返す。
同じ銘柄だけを上がったら売り、下がったら買うということを一年に何回も繰り返すという練習方法です。

私が練習した方法は、コチラの本に基づく練習法です。

実際、この方法で相場師になった人が数多くいるということでしたが、私には才能がなかったのか、全く値動きが分からずのままでした。

ただ、誰にでもできる練習方法なので、興味のある方は、ごく少ない資金で試されることをオススメします。

アメリカの練習方法

システムトレードとは?

投資の方法を大きく分けると、裁量トレードシステムトレードに分けられます。

裁量トレードは、上述のうねり取りのようにチャートを見たり、自分の感覚を頼りに売買をする方法です。チャートは重視していないかもしれませんが、企業の将来性を分析して投資するウォーレン・バフェット氏のやり方も裁量トレードに入るのでしょう。

もうひとつのシステムトレードは、売買方法を完全にルール化して、買いのサインが出れば買い。売りのサインが出れば売り、という機械的に売買を繰り返す方法です。

アメリカでも昔は裁量トレードをする人が多かったようです。
しかし、裁量トレードについては、習得が難しいという話もあり、システムトレードに移行する人も多いようです(ただ、これは、裁量トレードからシステムトレードに移行した人の言い分です)。

日本経済新聞でもアメリカでは取引の60%~70%はコンピューターを利用したシステムトレードに移行しているといった記事がしばしば見受けられます。

システムトレードの特徴

  • 仕掛けだけではなく、利食い、資金管理についてもルール化されている。
  • 統計的に優位性のあるルールで売買を継続する。

一般に株式投資を行う場合、銘柄の選択仕掛けのタイミングが最も重要と思われています。
しかし、アメリカの主流となっているシステムトレードでは、さらに、重要なのが資金管理の方法とされています。

例えば、
100万円の資金があり、買った値段から1万円分逆行すれば、損切するといったルールを構築します。

こうすれば、1回当たりの損失(リスク)は1万円÷100万円=1%に収まります。
たとえ、20連敗したとしても、資金の減少は20%以内に収まります。

勝率50%の売買ルールならば、10連敗する確率は、0.1%。1,000回に1回。
20連敗する確率は0.0001%、100万回に1回となります。

100万回に1回、20%損をするというレベルならば、まず、資金が足りなくなって市場から撤退するということはありません。

また、仕掛け以上に難しいのが利食いです。
これについてもどのタイミングで利食いするかを決めておき、そのタイミングが来たら、利食いします。

システムトレードの例

仕掛けのタイミング

5日移動平均線が25日移動平均線を超えれば(これをゴールデンクロスと言います)、翌日の始値で成行買い。

損切のルール

注文が成立すれば、すぐに、仕掛値から2%の位置の逆指値注文を設定。

例:
株Aを1,000円で100株購入
現在値が980円になれば、成行で売り注文を出す。
こうしておけば、株価が980円になれば、自動で売り注文が出されます。
損失は計算上はたったの2,000円に収まります。

利食いのタイミング

株価が仕掛値から終値5%上昇するごとに損切の位置も5%上昇させる(トレイリングストップ)。
損切に引っかかったタイミングが利食いのタイミング。

システムトレードの練習方法

システムトレードの場合、儲かるシステムを構築、もしくは、購入すれば、練習は必要ないと思われるかもしれません。

しかし、たとえ、そのシステムが過去に利益を上げていたとしても、将来に渡って利益を上げ続けられるか不明です。

また、自分が開発したシステムならば、そのシステムをある程度信頼できますが、そうでなければ、売買で負けが続いた時、すぐに、不安になってしまいます。

したがって、システムトレードと言えども、売買の練習が必要となります。
システムトレードの場合の練習方法は以下の通りです。

売買練習が必要なことをはっきりと理解する

システムトレードとはいわば確率に基づく売買手法です。
勝率が100%であればいいのですが、もちろん、そんな手法はありません。
投資の心理学やシステムトレードに関する本を読み、どんな心理的な障害があるかを理解する必要があります。

銘柄選び

一般には、最も大切と思われている銘柄選びですが、システムトレードでは、それほど重視しません。取引量が大きく、うねり取りと同じく比較的安定した動きを示している銘柄であれば、でも日経225先物でもFXでもOKです。

売買システムを構築、もしくは、選択する

パソコンを使って売買プログラムを構築できればいいのですが、これは、チャートを見て、特有のパターンが出れば、仕掛けるといった方法でもOKです。

例えば、以下のような売買ルール、売買システムであれば、プログラミングができなくとも仕掛け~利食い~資金管理までをルール化できます。

例えば、

  • 長い下ひげが出れば、買う。
  • 買い注文が成立すれば、損切注文を買値の2%下に置く。
  • 株価が〇%、あるいは、〇円上昇するごとに損切注文を引き上げる。
  • レバレッジは1倍とする。

また、信頼が持てそうなプログラムを構築するのもひとつの方法です。

どうしても年間利益率が数百パーセントといった数字に目が行きます。
しかし、給料だけで年間数億円を稼ぐようなアメリカの敏腕ファンドマネージャーでも年率25%~30%ということですから、それくらいの数字が妥当なのではないかと思われます。

こちらのサイトでは、多くのシステムが販売されています。
自分で売買ルールを構築するのが難しいという方は、検討されてはいかがでしょうか?

株システムトレードのトレジスタ・ストラテジーオンライン

売買ルールの検証を行う

売買ルールが確立できれば、あとは、過去データを使って、ルールの検証です。

アメリカの投資本を読むと数千回は検証が必要とされていますが、一般の個人投資家では、そこまでの検証は難しいと思われます。できれば、100回は検証しましょう。

さらに、過去データでは有効でも最近の相場では機能しない場合もあります。
これも、できれば、実際の売買を行う前に、つもり売買25回程度行ってみましょう。
これをフォワードテストと呼びます。
フォワードテストでも利益が出れば、かなり自信を持って、本番に臨めます。

もし、フォワードテストで利益が出ないようであれば、もう一度、売買システムの構築に戻ります。

本番に移行

本番では、資金がある人でも最低単位で売買を行うことをオススメします。
株ならば、100株。日経225ならば、ミニ1枚
そして、本番での売買を25回。ひたすら、サイン通りに売買を続けます。

私も、最初は、
「サイン通りに売買するのなんて簡単」
と思っていました。

しかし、数回負けが続くと、もう自分の判断で売買したくなってしまいました。
最初の25回の練習売買では、3回もサインの指示を破ってしまいましたが、その結果、システムの指示に従ったほうが、はるかにいい結果になることが分かりました。

これは、自分の感情左右されずに投資で着実持続可能な成果を生み出すための心理的スキルを身に着けるための練習方法です。

心理的スキルと投資の成果が関係あるのかと疑っていましたが、
これができるようになって着実に利益を積み上げられるようになってきました。

参考にした書籍は、コチラです。↓

投資で成果が上がっていない人、長期的に資産を築きたい人には、ぜひオススメの本です。