投資の売買手法には様々なものがあります。
デイトレードに代表されるような短期投資なのか?
ウォーレン・バフェット氏のように一旦、買ったら売らずに保有し続ける超長期投資なのか?
最近、「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」という本を出版されたcis氏は、デイトレードを中心にして、230億円もの資産を作っておられます。
また、デイトレードとは正反対に10年単位で株を保有し続けるウォーレン・バフェット氏は、数兆円を超える資産を作られ、毎年、世界の大富豪ランキングトップ10に入っておられます。
つまり、どの売買手法が優れているかというよりも、自分に合った売買手法を見つけて、それを繰り返し使うことで、投資に上達していくことが大切なのです。
この記事では、自分に合った売買手法の見つけ方を書いています。
売買手法の種類
Contents
一口に投資と言っても、様々なやり方・様々な切り口があります。
ここでは、まず、どんな売買手法があるのか、また、それぞれのメリットとデメリットを説明します。
ファンダメンタル分析か?テクニカル分析か?
ファンダメンタル分析とは?
企業の経営分析や市場動向の分析によって、株価の先行きを予測しようとする手法です。
日本で投資信託を運用しているファンドマネージャーと呼ばれる人々は、ほとんどがこの手法を採用しています。
最も有名なのは、世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェット氏です。
財務諸表や企業の将来性を独自の方法で分析することで、有望銘柄を選び出し、これと狙った株は10年以上保有するというスタンスです。
バフェット氏の銘柄選択方法は、以下の本で学習することができます。
この本を繰り返し読んで、バフェット氏の売買手法を身に着ければ、長期的には大きな資産を形成することも可能でしょう。
ただし、やはり自分の性格に合った方法かどうかは、十分に検討する必要があります。
ファンダメンタル分析のメリット
- 長期的には企業業績は株価に反映する。
したがって、成長力のある会社の株を選べば、長期的には大きな利益が見込める。
- 財務諸表の良い会社は長期的に成長する。
昔は、財務諸表の分析で将来の成長力が分かるものかと思っていましたが、社会人となって、長年、働いていますと、やはり財務諸表の良い会社は、長期的に成長することが分かってきました。
ファンダメンタル分析に興味がある方は、「バフェットの銘柄選択術」を読んで、実際の株価と比較されることをオススメします。
ファンダメンタル分析のデメリット
- 短期的には企業業績と株価の関係性は薄い。
例えば、「来期業績が50%伸びる」というニュースが流れても、株価に既に織り込み済で、逆に株価が下落するケースもあります。
また、ニュースが発表された数か月後に、なぜか、そのニュースが再び取り上げられ、株価が急騰するケースもあります。
- 仕掛けや手仕舞いのポイントをルール化しにくい。
ファンダメンタル分析で有望銘柄を選定できたとしても、これだけでは、株を買ったり、売ったりするタイミングが掴みづらい。
テクニカル分析のメリット
テクニカル分析とは、チャートや値動きを見て、将来の株価を予想する手法です。
- 経済に関する特別の知識を必要としない。
- 具体的な仕掛けや手仕舞いのポイントをルール化しやすい。
テクニカル分析のデメリット
- 過去のデータが将来に渡って有効な保証がない。
確かに、過去データを分析すれば、勝率55%といった売買システムを作ることもできるのですが、それが将来に渡って有効かどうかは分かりません。
順張り(トレンドフォロー型)か?逆張り(カウンタートレード型)か?
順張り(トレンドフォロー型)とは?
日本語では順張り、英語ではトレンドフォロー型と呼ばれる手法があります。
これは、相場が上昇トレンドに入ったなと思えば、買いから仕掛け。
下降トレンドに入ったなと思ったら、売りから仕掛けるという方法です。
順張り(トレンドフォロー型)のメリット
- 現在、多くの成功しているヘッジファンドが採用している方法であり、有効性が高いと思われる。
日本経済新聞などでも
「5日移動平均線が25日移動平均線を上回ってきたため、上昇トレンドに入ったのでは?」
といった記事が頻繁に出ますので、多くの投資家がトレンドを意識していると思われます。
- 資金管理がやりやすい。
自分の見込み通りに相場が動いた場合は、すぐに、利益になります。
一方、見込みが外れた場合は、すぐに、損失となりますが、事前に〇%下がれば、損切というルールを作り、それに従えば、資金管理も楽に行えます。
逆張り(カウンタートレード型)のメリット
- 見込みが当たれば、1回の取引で大きな利益が期待できる。
こちらは、トレンドフォローと違って、売られすぎや買われすぎのポイントで仕掛けていく方法です。
昔の日本の相場師と呼ばれる人たちは、この方法を採用していた人が多かったようです。
また、今でも、各種指標を用いて、逆張りで大きな利益を出している人もいます。
PBRを使ったカウンタートレードの例
2018年12月25日は、日経平均株価は1日で1,000円も下げました。
そして、その日のPBRは1倍を割っていました。
PBRとは、株価純資産倍率とも呼ばれます。
PBRの算出式:
PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたりの株主資本(BPS)
1株あたりの株主資本(BPS)=株主資本÷発行済み株式数
もし、ある会社が今日会社を解散するとなれば、それまでに購入した様々な材料の代金や従業員の給料等を支払わなければなりません。
そういった全ての支払い義務のある費用を差し引いた後に残ったものが株主資本です。
つまり、株価が1株あたりの株主資本よりも安いのは、あまりにも株価が安くなりすぎていると考えられます。
2018年12月25日は日経平均全体で、このPBRが1を割っていました。
そして、その翌日から株価は大きく戻していきました。
こういった指標を参考にして、逆張りをするという方法もあります。
逆張り(カウンタートレード型)のデメリット
- トレンドに逆らって、仕掛けるため、失敗したときの損失が膨れ上がる危険性がある。
- 基本的に買い下がる方針を取るため、資金管理が難しい。
相場の底が分かればいいのですが、一部の天才トレーダーを除いて、そんなことは不可能です。
このため、逆張派の多くは、基本的に買い下がりをしていくのですが、この場合、株数が増えるごとに評価損も増えていきますので、初心者にとっては、かなりのストレスが溜まります。
短期投資か?長期投資か?
短期投資のメリット
デイトレードに代表される短期投資のメリットは以下のようなものがあげられます。
- 売買回数が多くなるため、儲かる売買手法が構築できれば、短期間で資金が何倍にも膨らむ。
前述したcis氏をはじめとする天才デイトレーダーは1年間で資金を10倍にしたこともあったようです。
短期投資のデメリット
- 頻繁に株価をチェックする必要がある。
長期投資のメリット
- 日々の株価変動を気にする必要がない。
ウォーレン・バフェット氏に代表されるような超長期投資家は、株を10年以上保有するつもりで購入されますから、デイトレーダーのようにパソコンに張り付いている必要がありません。
長期投資のデメリット
- 株価が一時的に大幅下落するケースもある。
たとえ、その株が10年間で10倍になるような成長株だとしても、一時的には、株価が30%~50%も下がることがあります。
ウォーレン・バフェット氏であっても、そんな時期を何度も経験されているとのことです。
自分の信念・考え方の洗い出し
さて、それでは、どうやって、自分に合った売買手法を見つけ出せばいいのでしょう。
投資心理学の専門家によれば、まず、自分の信念とその信念を持っている背景や理由を書き出すのが一番とのことです。
例えば、現在の私の信念・考え方は以下のようなものです。
信念・考え方の例(1)
- テクニカル分析を基にトレードしたい。
- 以前は、ファンダメンタル分析に基づいて売買をしていましたが、全く利益を出せなかった。
- トレンドに沿って、トレンドフォロー型の売買をしたい。
- できるだけ短期投資をしたい。
- 長期投資を試みて、塩漬けにした経験が何度もある。
- 毎回、仕掛ける株数・枚数は一定にしたい。
- 買い注文が成立すれば、即、逆指値注文を入れて、リスクをコントロールしたい。
- 損切を徹底し、損小利大を実践したい。
- 日足データを使って分析したい。
- 10分足や30分足を使ったデイトレードも試してみたが、自分にはストレスが大きすぎた。
- 自分で売買システムを構築したい。
- 市販の売買システムを構築したこともあるが、全く利益にならなかった。
- ニュースに振り回される売買はしたくない。
- 銘柄情報配信サービスも利用したことがあるが、全く利益にならなかった。
- 取引1回当たりの損失は、総資産の2%以下に抑えたい。
これは、私の信念・考え方ですので、同様に、自分の信念を書き出してみることをオススメします。
現在は、こういった信念に基づき、
自分で短期投資(1日~2日)の売買システムを構築して
テクニカル分析に基づくシステムトレードを行っています。
信念・考え方の例(2)
ただ、私も最初から、こういった信念を持っていたわけではありません。
以前の信念は以下のようなものでした。そして、損失となっていた信念を置き換えることで、利益が上がるようになってきました。
- ファンダメンタル分析を基にトレードしたい。
- 企業の経営分析や市場動向の把握が得意と思っていた。しかし、実際には、突然の減益発表で株価が急落することを経験した。
- できるだけ長期投資をしたい。
- 株価が10%下落すれば、損切をしたい。
- 3連敗をして、すぐに、資金が30%も減少してしまった。
- 新聞、雑誌、銘柄情報配信サービスの中にも有益な情報がある。
上記の信念・考え方をベースにファンダメンタル分析を行って、投資銘柄を決め、株を買っていました。
当時は、資金管理についての知識もなく、売買するたびに、損失を膨らませていました。
まとめ
ぜひ、自分の信条や考え方、その理由を書き出してみてください。
そして、実際の投資結果を照らし合わせることで、その信条・考え方が利益につながっているかを検討してみましょう。
利益につながっていれば、そのままその信念を維持すればOKですし、損失につながっているようであれば、考え方を変えてみましょう。