一目均衡表というテクニカル指標をご存知でしょうか?

世界で最も古いテクニカル指標ローソク足につぐ世界的に有名な国産のテクニカル指標が一目均衡表です。

ローソク足は、江戸時代に相場の神様と言われた出羽国の本間宗久が発案し、大阪・堂島の米取引で使われたと言われています。

一目均衡表も歴史は古く、細田悟一氏によって、1936年(昭和11年)に考案されたチャートです。細田氏のペンネームである一目山人(いちもくさんじん)に因んで、一目均衡表と名づけられ、その名の通り、相場の状況が一目で分かるとされているテクニカル指標です。

実際、多くのトレーダーやファンドマネージャーがこの一目均衡表を参考にして、トレードを行っているとのことです。

したがって、時間足を見ていても、一目均衡表の転換ポイントでピタリと下げ止まったり、上げ止まったりするケースが多いようです。

また、ほぼ全ての証券会社のチャートでこの一目均衡表のチャートを表示できるようになっていますので、ぜひ、一目均衡表を使った売買にチャレンジしてみてください。

個別株だけでなく、日経225やFXでも、もちろん使えます。

この記事では、一目均衡表の使い方を記しています。

一目均衡表の見方

通常のチャートでは、1種類のグラフだけですが、一目均衡表では、以下の通り、合計6種類のグラフを表示します。

  • ローソク足
  • 転換線
  • 基準線
  • 先行スパン1
  • 先行スパン2
  • 遅行線

それぞれを以下に説明します。

ローソク足

これは、陰陽足とも言われる通常のローソク足です。一目均衡表用の特別バージョンがあるわけではありません。

終値が始値より高ければ、陽線。
終値が始値より安ければ、陰線。

ただし、このローソク足が他の線より上にあるか、下にあるかで、相場の強弱を掴みます。
以下に説明する転換線や基準線より上にあれば、上昇トレンド。下にあれば、下降トレンドです。

転換線

過去9日間の(高値+安値)÷2

この点を毎日、折れ線グラフでつなげていきます。
過去9日間の高値や安値を更新しない場合は、平行線が続きます。
各種チャートが表示できるソフトで、一緒に10日間移動平均線を表示しますと、一目均衡表の転換線は、10日間移動平均線とほとんど同じような動きをしていることが分かります。

基準線

過去26日間の(高値+安値)÷2

こちらも同じく過去26日間の高値や安値を更新しない場合は、平行線が続きます。

基準線に沿った形で、しっかりとした資金管理をすれば、着実に資金が増えていくと言っているプロトレーダーもおられます。つまり、上昇トレンドの場合は、基準線が右肩上がりになりますので、買いから入る。下降トレンドの場合は、基準線が右肩下がりになりますので、売りから入る。

このやり方で、しかも規律を持った売買をすれば、市場から退場することなく、着実に資金が増えていくということです。

先行スパン1

(基準線+転換線)÷2
の値を26日先行させて表示します。

先行スパン2

過去52日間の(高値+安値)÷2
の値を26日先行させたものです。

なお、この先行スパン1と2の間を抵抗帯(雲)と呼び、この雲を抜けると、大きなトレンドになると言われています。

遅行線

その日の終値を26日遅行させます。

つまり、今日の終値が26日前と比べて、高いか安いかを比較します。

遅行線だけで判断するわけではありませんが、今日の終値が26日前よりも高いならば、上昇トレンド。26日前よりも低いならば、下降トレンドと判断します。

これらの6つの線を総合的に判断し、かつ、値幅や日柄も考慮して、トレードを仕掛けていくという方法が一目均衡表の基本的な使い方です。

波動と日柄について

昔の日本の相場師は、安値から高値をつけるまでにかかった日数、あるいは高値から安値をつけるまでにかかった日数を重視しました。

一目均衡表では、9日と26日を特に重視しています。

例えば、相場が一気に急落する場合は、9日前後で急落。高値から安値まで26日前後といった具合です。

もちろん、必ず9日や26日で変化が起きるというわけではありません。
これより長い場合は、9日+26日=34日など様々なケースがありますが、次の高値や安値をつけるまでの日数の参考にはなります。

以下のチャートはUSD/JPYのチャートです。

ドル円日足チャート

2018年3月に105円を割った後、上昇を続け、5月21日には111円を超えています。
41日かかっていますので、9日と26日にピッタリという数字ではありませんが、27日間で、まず、大きな上昇をしています。仕掛けた時に、この26日という数字が頭に入っていれば、大きなトレンドが発生した時、すぐに利食いせずに、トレンドの流れについていくことができるでしょう。

波動について

アメリカでは、新高値を更新した時だけ、買いを仕掛けるトレンドフォロー型売買のトレーダーが数多くいるそうです。

一目均衡表においても、同様の見方をします。
基準線の上にローソク足が位置し、かつ、前回の高値を超えてくるようであれば、上昇トレンド継続と判断します。

一段目の上げ  105円 → 107円
二段目の下げ  107円 → 106円
三段目の上げ  106円 → 111円

この三段目の上げの時に、一段目の上げ、上記のグラフでは107円を抜いたら、買い出動することが勧められています。
逆に、107円を超えられずに、下落した場合は、弱い波動と判断します。

一般的には、一目均衡表はチャートとして認識されていますが、開発者の細田氏によれば、それよりも波動のほうが大切とされています。

一目均衡表の使い方

いわゆる仕掛けのポイントですが、一目均衡表では、複数の仕掛け(セットアップ)のポイントが考えられます。

ただ、どのセットアップのポイントがいいかは、銘柄や時間軸によっても変わりますので、各自のトレード方法に合った方法を見つけることが大切です。

例えば、デイトレードをメインとしている人ならば、60分足、30分足、10分足、どれを使えばいいのかをチャートを見て判断します。一目均衡表も万能ではないので、ある銘柄の場合は、仕掛けのポイントが見つけにくいかもしれません。その場合は、他の市場や銘柄を探します。

一般的に使われているセットアップポイントには、以下のようなものがあります。

  • 転換線が基準線を抜く
  • ローソク足が基準線を上抜く
  • ローソク足が転換線を上抜く
  • 抵抗帯(雲)の上限に突入、あるいは、抵抗帯(雲)を突破

転換線が基準線を抜く

いわゆる移動平均線におけるのゴールデンクロスやデッドクロスと同じ考え方です。
移動平均線の場合、長らく下げ相場が続いたあとに、反転し、短期の移動平均線(例えば、10日移動平均線)が長期の移動平均線を上抜けば、ゴールデンクロスと呼び、買いのサインとしています。

逆に、上げ相場から下げ相場に転じる場合は、この逆となりデッドクロスと呼びます。

一目均衡表の基準線は25日移動平均線、転換線は10日移動平均線とよく似た動きをしますので、同じようなタイミングで買いサインが出ることも多いです。

先ほどの図では、4月初旬に転換線が下から基準線を上抜き、その後は、順調に107円から109円まで上昇しています。

ローソク足が基準線を上抜く

もう少し早いタイミングで買いサインが出ているのが、ローソク足が基準線を上抜いたタイミングで買い出動する方法です。

この場合には、3月下旬に買い出動となります。
ただ、今回の場合は、その後、すぐに3日間連続で下げ、一旦、基準線を下抜いてしまいます。
その翌日には、再度、基準線を上抜きますが、よりダマシが多くなります。

ただし、損切基準を厳しく設定し、損切基準を下回れば、すぐに、損切。
再度、基準線を上抜けば、再度、買い出動すれば、大きなトレンドの場合は、十分に利益となります。

伝説のトレード集団と言われたタートルズでも勝率は35%~40%しかなかったそうです。ただ、リスクリワード(平均利益/回÷平均損失/回)は3以上もあり、年間の利益率は80%以上もあったそうです。

一目均衡表を使って勝率を大きく上げることよりも期待値がプラスとなるトレードを構築することのほうが重要です。

ローソク足が転換線を上抜く

もっと早いタイミングで買い出動するのが、ローソク足が転換線を上抜いたタイミングで買い出動するという方法です。

ただ、USD/JPYの日足では、このタイミングではダマシが多すぎて使えそうにありません。

しかし、他の銘柄や時間軸では、うまく機能する場合もありますので、必ずしも、この方法が使えないわけではありません。

抵抗帯(雲)の上限に突入、あるいは、抵抗帯(雲)を突破

月足など、もっと大きなうねりを見る時に有効とされる方法です。

ドル円月足チャート

上記グラフは、USD/JPYの月足グラフです。

USD/JPYに関していえば、一時期、1ドル75円という超円高の時がありました。
その後、上昇し、2013年1月には90円を突破。雲の下限に突入してきました。その後は、順調に円安基調となり、120円台となります。

ただ、昨年から再び円高基調となり、今度は、上から雲に突入してきています。
今後、再び、円高が進み、100円を割れるのかもしれません。

なお、日経平均の月足でも2013年1月に雲の下限に突入し、その後は、10,000円から20,000円まで、ほぼ一貫して上昇しました。

このように、一目均衡表はトレンドを探るのに、非常に有効な手法です。
ただし、このチャートを見て売買するだけで、常に、儲かるわけではありません。

しっかりとした資金管理を行い、着実に利益を積み重ねていきましょう。

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