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クロス取引とは?

クロス取引とは、同じ銘柄、同じ数量の買い注文と売り注文を同時に発注し、約定させる取引をいいます。

クロス取引を活用することで、株主優待の権利をほぼノーリスクで得られるケースがあります。

この記事では、クロス取引を活用した株主優待の取得方法とその注意点を記しています。

株主優待の権利を得るためには?

株主優待の権利を得るためには、権利付最終日に株を持っている必要があります。

例えば、「ガスト」や「バーミヤン」などのファミリーレストランを展開している「すかいらーくホールディングス」の場合、6月末と12月末時点の株主に対して、100株で3,000円の食事優待券が支給されます。

「すかいらーくホールディングス」の場合であれば、6月と12月の最終営業日に株主名簿に名前が記載されて、権利が確定します。

この権利が確定する日のことを権利確定日と呼びます。しかし、権利確定日に株を購入したのでは、株主優待の権利はもらえません。

その2営業日前を権利付き最終日と呼び、株主優待と配当の権利を得るためには、この日の時点で現物株を持っている必要があります。

また、権利付き最終日の翌営業日を権利落ち日と呼び、この日に株を売却しても株主優待と配当の権利をもらうことができます。

例えば、2020年5月の場合ならば、

5月27日(水) 権利付き最終日
5月28日(木) 権利落ち日
5月29日(金) 権利確定日

となります。

したがって、もし、株価の変動を考慮しないのであれば、権利付き最終日に株を購入して、その翌日に株を売却すれば、たったの2日間株を保有するだけで配当と株主優待の権利が得られます。

ただ、一般的には権利落ち日には、配当+株主優待の利回りに相当する分だけ株価が下落すると言われています。

実際に、すかいらーくホールディングスの2019年の結果は以下の通りです。

日付始値高値安値終値値下がり率名称
2019/12/30   2134 214921232135権利確定日
2019/12/27 2200220521482150-0.77%権利落ち日
2019/12/26 2217223822062235権利付き最終日
日付始値高値安値終値値下がり率名称
2019/6/28 1870188318661881権利確定日
2019/6/27 1896188318661881
2019/6/26  1861189818611894-2.57% 権利落ち日   
2019/6/25 1910193218881891 権利付き最終日 

*2019年6月までは権利付き最終日は権利確定日の3営業日前でした。

2019年6月度では、寄付(始値)で比較した場合、権利落ち日に-2.57%値下がりしています。

配当実績が9円/株と株主優待券3,000円を考慮すると、配当+株主優待の合計利回りは以下の通りとなります。

(配当9円×100株+株主優待券3,000円)÷(1,910円×100株)≒2.04%。

ほぼ、配当+株主優待の利回り分のみ下落していることとなります。

その後、株価は、 2019/7/5には、1,910円を回復します。もし、元の買い値1,910円で指値で売り注文を入れておけば、およそ10日間で損失ゼロで売却でき、配当と株主優待の権利だけゲットできたこととなります。

一方、2019年12月には権利落ち日には株価は0.77%しか下落していません。

ところが、2019年12月に2217円で購入した場合、2020年5月15日現在まで、一度も株価が2217円以上になっておりません。2020年5月15日終値で1,650円と25%以上も株価が下落しています。外食産業は、コロナの影響もあり、これから元の2,217円の株価を回復するまでにはかなりの年月を要すると思われます。

そして、こういった株価変動リスクを避ける方法がクロス取引です。

クロス取引を利用した株主優待券の取り方

クロス取引を利用した株主優待券の取り方は以下の通りです。

①権利付き最終日までに、寄付前に、「現物取引の買い注文」と「信用取引の売り注文」を成行で同時に、同数量行う。

こうすることで同じ銘柄を、同一価格・同一数量で、買い玉と売り玉を持つことができます。また、現物株を持っているので、株主優待券の権利を確保できます。

②権利落ち日に保有している株を「現渡」で決済。

信用売りの場合は、証券会社から株を借りて、その株を売っています。しかし、既に、現物株を持っていますので、その株を引き渡して(現渡)決済完了です。また、「現渡」の場合には、手数料も発生しません。

現物株を買い、値下がりリスクに備えて、同じ株を信用売りすることをつなぎ売りとも呼びます。

このように、クロス取引をすることで、株価の値下がりリスクをカバーしながら、株主優待の権利を得ることができます。

なお、配当に関しては、現物株を保有していれば、当然、配当の権利がもらえます。しかし、空売りしていた場合は、配当相当分の金額を後日支払わなければなりません。したがって、プラスマイナス0円となります。

クロス取引をする場合の注意点

信用取引口座が必要

信用売りをするためには、信用取引口座が必要です。また、多くの証券会社の場合、30万円以上の現金、もしくは、株や投資信託を委託金として預けておかなければ信用取引ができません。

株主優待狙いであれば、売買代金50万円まで取引手数料が無料の松井証券がオススメです。また、松井証券なら、毎月の株主優待銘柄も紹介されているので、便利です。

松井証券の魅力、まずはお試しください。

空売りできない銘柄もある

信用売りをする場合、制度信用取引一般信用取引の2種類ありますが、どちらも信用売りができる銘柄は限定されています。

制度信用取引の場合は、東証によって銘柄が決定され、一般取引の場合は、各証券会社によって信用売りができる銘柄が決定されています。

このため、クロス取引したいと思ってもできない銘柄もあります。

優待利回り以上に逆日歩が発生するケースがある

制度信用取引においては、株が品薄になった場合、空売りしている株に対して、逆日歩(金利)が発生するケースがあります。

また、逆日歩がいくらになるかは取引終了後でしか分かりません。

このため、たったの2日間だけ株を空売りしていたとしても、株主優待をはるかに超える逆日歩が発生してしまう可能性があります。

なお、一般信用取引の場合は逆日歩が発生しませんので、一般信用取引を使ってクロス取引をした場合にはこのリスクはありません。

ただし、一般信用取引では、証券会社が持つ在庫数以上の取引はできません。特に人気の優待銘柄は、権利付き最終日が近くなると在庫がなくなりますので、直前にクロス取引をしようとしてもできないことがあります。気になる銘柄は定期的に在庫をチェックしておく必要があります。

クロス取引の際の諸費用

松井証券の一般信用取引(無期限)を利用した場合のクロス取引の手数料・諸費用を記します。

手数料

現物買い、信用売りをする際の手数料です。ただし、松井証券の場合1日の売買代金が50万円までは無料です。

貸株料  

信用売りは証券会社から株を借りて、その株を売ります。したがって、株を借りるコストが発生します。

貸株料=(売却金額×2%/年×日数)÷365(日)

逆日歩

一般信用取引(無期限)では発生しません。

現渡手数料         

一般信用取引(無期限)では発生しません 。

株価2,000円程度、つまり、2,000円×100株=200,000円程度の投資金額で、2,000円~3,000円程度の株主優待券をもらえる会社は多数あります。

松井証券を使って、例えば、2,000円の株を一般信用取引でクロス取引ができた場合、実質的に発生するコストは貸株料2,000円×株数×2%/年×日数÷365日です。1か月株を借りたとしても100株ならば、発生するコストは300円程度です。

300円のコストで3,000円の株主優待券がゲットできるとなれば、かなりお得な取引ではないでしょうか?

現物買いだけで株主優待を狙う場合の注意点

このようにほとんどリスクのないクロス取引ですが、人気の優待銘柄は在庫が少なく、クロス取引をしたくてもできないケースが多々あります。

この場合は、通常の現物買いで優待狙いをするしかありません。この際の注意点を以下に記します。

業績予想が下がっている会社の株は買わない

会社四季報を見れば、今年度、もしくは、時期によっては、来年度の業績予想が掲載されています。業績が下がる会社の株は、当然、株価が下がる可能性が強く、配当や株主優待よりも、はるかに値下がりのほうが大きくなる可能性があります。

2020年5月現在では、コロナウイルスの影響で当分、外食産業の業績は厳しいと言われています。外食産業の中には、魅力的な株主優待制度を持っている会社が多いのですが、株の購入は株価の下げ止まりまで待ったほうがいいでしょう。

底値から上昇トレンドに移行した株を買う

自分の狙いの株を見つけたら、毎日、チャートを見るようにしましょう。

チャートを見て、「下げ止まったか?」の様子を見て、できるだけ安い時に株を買います。こうすれば、優待だけではなく、値上がり益も期待できます。

もちろん、下げ止まったと思っても、さらに下がる場合もありますが、その場合は、買値から〇〇%下げれば、損切というルールを決めておき、そのルールを遵守します。

松井証券なら、毎月、株主優待銘柄が紹介されているので、優待狙いの方にオススメの証券会社です。

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