これから、株式投資を始めようという人は、資産右肩上がりに増やそうと思って証券口座を開くと思います。

しかし、残念ながら、多くの人は資産を減らしてしまって、市場から退場していきます。

この記事では、株初心者がやってはいけない5つのポイントをまとめています。

やってはいけない5つのポイント

セールスマンの情報や雑誌のニュース等で購入銘柄を決める

世の中には多くの投資顧問業者があります。
そして、それらのホームページを見ると、1か月で株価2倍になったという記事があふれています。
また、対面型の証券会社で取引している人は、証券会社のセールスマン推薦銘柄を教えてくれます。

しかし、彼らのほとんどはセールスのプロであっても、株式投資のプロではありません。

株式投資のプロになるような実力があるのであれば、わざわざホームページを作ってお客を勧誘したり、証券会社でセールスをしていません。

独立して専業投資家になるか、もしくは、独立系のファンド会社で、ファンドマネージャーをやっているはずなのです。

もし、百歩譲って、あなたの担当セールスマンが天才投資家であり、ファンドマネージャーになる前の腰掛でセールスの仕事をしているとしましょう。

しかし、このセールスマンが転職でいなくなってしまえば、どの銘柄を購入すべきかが分からなくなってしまいます。

初心者のうちから、購入銘柄自分の力で発掘する必要があるのです。
そうでなければ、いつまで経っても投資に上達できません。

投資スタイルにもよりますが、世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェットの銘柄選択方法は非常に役立ちます。→ バフェットの銘柄選択術

株を買うタイミングがいい加減

さて、それでは、自分の力で成長株を発掘し、後は、株を買うだけ、という状態になったとしましょう。

じゃあ、株はいつ買えばいいのでしょうか?

残念ながら、ほとんどの人が口座を開き、買うべき株が見つかれば、すぐに買ってしまいます。
しかし、これでは、利益率が悪いのです。

「一旦、安くなって、次に上昇トレンドに移行したタイミング

で買うのです。

どんな成長株でも、1年のうちに、30%程度は上下動します。

買う銘柄は正しく選択できたとしても、高値で買ってしまえば、数か月で30%以上も下落してしまう可能性があるのです。

底値で買うことは無理にしても、チャートを見ていれば、大まかなトレンドは把握できます。
過去の動きから判断して、株を買う前に、なんらかのルールを自分で作成しておくのです。

例えば、
「高値から20%下落し、その後、〇日移動平均線を超えてきたら買う」
といったルールです。

こうしておけば、高値掴みを防ぐことができます。

もちろん、押し目らしい押し目もなく買うチャンスを逃すかもしれません。
その場合には、他の銘柄を買えばいいのです。

損切をしない

「銘柄の選定もうまくいき、安値で買えた」
と思っていました。

ところが、さらに、ドンドン下がってしまいました。

世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェット氏でさえ、何度もこんな事態はあったそうですから、いくら一般人が準備を重ねても、損失が発生するのは止むを得ません。

どこまで下がるか分からないのですから、事前に損切ポイントを決めておきます。
英語では、損切ポイントのことをストップと言いますが、ストップに到達すれば、自動的に損切決済をするのです。

こうしておけば、塩漬け株を持つ心配もなくなります。

初心者のうちは、10%下がれば、損切すべきです。

理想としては、5つの銘柄に分散投資を行い、それぞれの銘柄で購入価格を10%下回れば、損切します。

資産合計 500,000円

  • 銘柄A 購入価格 1,000円 購入株数 100株 損切ポイント 900円 最大損失額 1万円
  • 銘柄B 購入価格 1,000円 購入株数 100株 損切ポイント 900円 最大損失額 1万円
  • 銘柄C 購入価格 1,000円 購入株数 100株 損切ポイント 900円 最大損失額 1万円
  • 銘柄D 購入価格 1,000円 購入株数 100株 損切ポイント 900円 最大損失額 1万円
  • 銘柄E 購入価格 1,000円 購入株数 100株 損切ポイント 900円 最大損失額 1万円

こうしておけば、銘柄Aで損切に引っかかっても損失額は1万円
率にすれば、1万円÷50万円で総資産2%で済みます。

仮に、銘柄A~Eまで全滅状態であったとしても、損失合計は5万円。率にして総資産の10%です。
これなら、5連敗しても、投資を続けられます。

しかし、50万円全てを1銘柄に注ぎ込み、しかも、株価が50%下げても損切しない投資家が多いのです。これでは、損失は、総資産が半分になってしまい、とても株式投資で資産を殖やすことはできません。

株の注文が成立すれば、すぐに、逆指値注文を入れて、損失限定させましょう。

株を売るタイミングがいい加減

さて、銘柄の選定もうまくいき、ある程度、最安値に近いところで購入できた。
利益も上がってきている。
後は、売るだけ。

となったとしましょう。

それでは、いつ売るのでしょうか?

株式投資で利益を出す秘訣は損小利大と言われています。

注文が成立した後、すぐに、逆指値注文を入れれば、自動的に損小の部分は達成できます。
後は、利大の部分です。

しかし、多くの初心者は利大が達成できず、少し上がれば、すぐに売ってしまうのです。
やはり利食いについても事前にルールを設定し、できるだけ多くの値幅を取りましょう。

利食いのルール例1:トレイリングストップ

価格が下がったときのためには損切ポイントを設定しますが、それと同様に価格が上がると同時にストップ(損切ポイント)を引き上げていく方法です。価格の上昇に合わせて、ストップを引き上げる方法をトレイリングストップと言います。

1,000円で購入(損切ポイントを950円に設定)

1,100円まで上昇
↓ (ストップを1,000円に設定。これにより、その後、株価が下がっても損にはならない)
1,200円まで上昇
(ストップを1,100円に設定。これにより、その後、株価が下がっても100円の利益確定)

利食いのルール例2:終値が〇日移動平均線を下回ったところで手仕舞い。

大きな上げ相場になると、株価は移動平均線の上で推移します。
そして、上昇トレンドが終了すると、移動平均線を下回ってきます。

この性質を利用して、

終値が5日移動平均線や10日移動平均線を下回ったら手仕舞う

というルールです。

相場がどこまで上がるかは分かりません。
10%しか上がらないかもしれないし、30%上がるかもしれません。

事前に10%上がれば売りといった目標値を設定してしまいますと、大きな上げ相場になったときでも大きな利益を取れません。

トレイリングストップ移動平均線を利用した利食いのルールを活用すれば、大きなトレンドについていける可能性が高くなり、利大が実現できます。

売買記録をつけていない

あなたが会社のお金で10万円何かを購入したとしましょう。
しかし、あなたは、記録を全くつけず、しかも上司に報告もしませんでした。

会社員であれば、怒られますよね。
何度も続けば、解雇されるでしょう。

しかし、株の売買では、記録をつけていない人が多いのです。

確かに、株の売買記録は証券会社で確認できるかもしれません。

しかし、証券会社の記録では、

  • なぜ、その株を選んだのか?
  • なぜ、そのタイミングで買ったのか?
  • 売買する前に自分で設定したルールを守れたか?

といった記録が残りません。

後で見直して、売買の理由が分かるように売買記録・売買日誌をつけましょう。

万年初心者を脱出しよう

株式投資も以下のプロセスを繰り返せば、次第に上達していきます。

売買ルールを設定

売買ルール通りに取引

売買記録を確認

必要に応じて、売買ルールを追加・変更

売買ルール通りに取引

売買記録を確認

自分で売買ルールを設定すれば、簡単に、ルールを守れると思うかもしれません。
しかし、初心者のうちは、その売買ルール自体に従うことも難しいのです。

例えば、

  • ある株が安くなるのを待とうと思っていたのに、上がりだしたから慌てて買ってしまった。すると、そこが高値になってしまった。
  • 損切の逆指値注文を入れたのに、取り消してしまった。
  • 利食いの時は、トレイリングストップを使うはずだったのに、10%上がったから嬉しくなって利食いしてしまった。すると、そこから30%も上がってしまった。

などなど。

売買ルールを作成し、売買記録もつけて、何度も取引を繰り返せば、次第に自分の売買ルールを守って、規律ある売買ができるようになります。

つまり、プロのように淡々と売買ができるようになり、次第に上達していきます。

しかし、売買ルールも作らず、記録も残さなければ、数十年株式投資をやっても万年初心者のままです。

これが、趣味やスポーツであれば、万年下手でも本人が面白ければ問題ありません。
ただし、株式投資の場合は、万年下手であれば、ドンドン資産減少していきます。

まとめ

最後に、やるべきことをまとめておきます。

  1. 購入銘柄は自分で調べて決める。
  2. 買いのタイミングについて、自分でルールを設定。
  3. 損切もルールを決めておき、注文が成立すれば、すぐに、逆指値注文を入れる。
  4. 売りのタイミングについても、自分でルールを設定。
  5. 売買記録をつける。
  6. 売買記録を見直し、初心者からの脱皮を図る。

ぜひ、売買ルールを作成し、記録もつけて、初心者から中級者、上級者への道を進みましょう。