株式投資をするなら必要不可欠と言われる会社四季報
最近では、就活学生も必ず読んでいるようです。

しかし、必要不可欠と言われながらも、情報量が多すぎ、字も小さいので、時々、買うけれども、ほとんど活用できていないという人も多いと思います。

この記事では、会社四季報の活用法を記します。

会社四季報とは?

会社四季報とは東洋経済新報社が発行する季刊雑誌で、全上場企業について、企業の所在地等の基本情報や業績、業績予想、財務内容、株価の動き、注目材料を掲載しています。

毎年、3月、6月、 9月、12月の年4回発行されます。

日本の場合、3月決算の企業が多いため、6月号には決算結果と今後1年間の業績見通しが掲載されているため、特に、好評のようです。

会社四季報には何が書いてあるの?

1ページに2社の構成で、企業情報がびっしりと書かれています。

主な内容としては、

  • 業種・社名・所在地
  • 業績記事 (東洋経済新聞社の記者によるコメント)
  • 業績数字・業績予想 (業績と来期、来々期の会社の業績予想)
  • 配当支払い実績
  • 大口株主
  • 財務指標 (自己資本比率等の財務指標)
  • 株価と株価チャート
  • 株価指標 PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)

などの情報がビッシリと書き込まれています。

情報量が多すぎて、初めて見る人にとっては、どこから見ればいいのか分かりにくいでしょう。

どんな人が見ればいいの?

株式投資をする人全員に見て欲しいのですが、特に、ファンダメンタル分析派と呼ばれる企業の業績に基づいて、購入銘柄を選択する人にとっては必須の本です。

日本で株の売買をする人は、多くの人がファンダメンタル分析派でしょう。

ファンダメンタル分析以外に、株価チャート値動きを見て、株の売買タイミングを決めるテクニカル分析派と呼ばれる人もいます。

例えば、トヨタ自動車しか売買しないという昔ながらの相場師は、企業情報もほとんど見ないという方もおられるようです。

しかし、一般の投資家は、少なくとも株を購入する前には、インターネットや新聞の情報だけではなく、必ず会社四季報も見てから購入するかどうかを決めるようにしましょう。

新聞やインターネットの情報だけでは、詳細な情報が不足している場合もあります。

例えば、新聞で50%の大幅増益という記事が出ていたのに、会社四季報の記者コメントを見ると、増益理由が遊休資産売却したためであったり、会計基準変更で今期だけ増益になるようなケースがしばしばあります。

または、今期は増益になったが、過去5年間赤字続きで、自己資本比率も低く、倒産の危険性があるようなケースもあります。

会社四季報を読むことで、こういった危険な兆候のある株を買うリスクを避けることができるのです。

何を見ればいいの?

そうは言っても、情報量が非常に多く、何を見ればいいのか分からないという方も多いと思います。

ここでは、世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェット氏銘柄選択方法を参考にして、長期的に成長する株の見つけ方を記します。

売上や利益が過去5年間順調に伸びているか?

長期的には業績株価反映されるとされています。

つまり、5年間連続して、売上も利益も20~30%伸びているような会社の株は、株価も5年前に比べて3倍や4倍にもなります。

こういった株を見つけて長期間保有すれば10年間10倍になる可能性もあります。

バフェット氏が世界一の投資家と言われるのは長期的に成長する企業を見つけて、その株を長期間保有したからだと言われています。

バフェット氏の戦略はバイ・アンド・ホールド型と言われ、一度、株を買ったら売らないとまで言われています。

会社四季報を熟読すれば、そういった株を見つけられるかもしれません。

1株当たり利益(EPS:earnings per share)も順調に伸びているか?

1株当たり利益(EPS)=税引き利益÷発行済株式数

最近では、株主還元策の一環として、自社株買いをする会社も増えています。
この場合、売上や利益の伸び以上に、EPSが増加する場合が多くあります。
また、コメント欄に自社株買いの予定が記入されている場合があります。

高ROE企業か?

自己資本利益率(ROE:return on eauity)=税引き利益÷自己資本

ROEとは、ざっくり言えば、自分のお金(自己資本)を使って、いくらの利益を上げられたかの比率になります。

例えば、トヨタ自動車は誰もが認める超優良企業ですが、会社の規模が大きく、また、自動車産業という大規模設備を必要とする業界なので、ROEについては、18年3月期15.89%でした。

一般的には8%あれば良好とされ、これでも十分にいい数字なのですが、成長企業では、35%といった驚異的な数字を上げる企業もあります。

バフェット氏は、特に、このROEを重視されているようです。

分かりやすい例をあげれば、マンション投資をして、家賃収入を得ようとしたとします。

2,000万円の中古マンションを購入し、自己資金500万円。残りは銀行から借入しました。
住宅の家賃からローンに対する利払いと税金や維持管理費などを差し引いた後のお金が利益になります。

仮に家賃収入が年間100万円各種費用60万円だとすると、100万円-60万円=40万円利益となります。

この場合のROEは利益40万円÷自己資金500万円=8%となります。

500万円の投資で8%の利回りですから、現在の日本では、悪くない数値だと思いますが、成長企業では、このROEが35%といった会社もあるのです。

上記のマンション投資に当てはめれば、500万円の投資で毎年175万円純利益を生む物件となります。
こんないい投資物件があれば、誰でも欲しくなりますよね。

有利子負債は小さいか?

いくら成長を続けている企業であっても、負債が大きすぎれば、何かのキッカケに業績が悪化し、負債を返せずに、倒産する危険性もあります。

有利子負債が一年間の経常利益よりも少ない企業であれば、倒産するような危険性も、非常に少ないと言えます。

成長株の見つけ方

上記のポイントを参考に、四季報を読んで、成長株を見つけ出します。
上場銘柄は3,600以上もあるので、以下のポイントで絞込ながら、見つけていきます。

東証一部上場銘柄に限定する

東証でも二部銘柄やマザーズJASDAQ上場の株式は、まだ会社規模も小さい会社が多く、急成長している会社でも、一気に業績が悪化するようなケースがあります。

会社四季報の情報が詳しいと言っても、3か月に1回の発行なので、経営環境の急激な悪化までは捉えきれない可能性があります。

東証一部上場で、なおかつ、成長している会社を探しましょう。
それでも、約2,000銘柄あります。

ここ5年間で売上・利益を3倍程度伸ばしている会社

バフェット氏の基準では、過去10年間一環して売上・利益が伸びている企業です。
ただし、現在の市場環境では、10年は長すぎると思えます。
また、会社四季報では過去5年程度の情報しか見られません。

会社四季報の業績欄を確認して、過去5年3倍程度の伸びを示している会社を見つけましょう。

ROEが15%以上の会社

ROEは高ければ高いほど望ましいです。

有利子負債が税引き前利益よりも少ない会社

成長スピードが早く、かつ、借金もほとんどない会社であれば、今後の成長が大いに期待できます。

まとめ

東証一部上場全銘柄をチェックするのは、かなり手間がかかります。
ただし、毎日100銘柄ほど確認すれば、20日間で完了します。
ぜひ、会社四季報を活用して、成長株を見つけてください。

上記の条件に合致するような会社は、数社しか見つかりませんが、

代表例として、Monotaro(銘柄コード:3064)を上げておきます。

主要な指標は以下の通りです。

売上:2014年度 44,937(百万円) → 2019年度 136,258(百万円) 約3倍
営業利益:2014年度 4,323(百万円) → 2019年度 16,536(百万円) 約3.8倍
ROE:43.0%
有利子負債:6,680(百万円)

2019年2月4日の株価は、2,513円でした。