昔から、株式投資では損小利大が大切とされています。
しかし、実際に損小利大を実践でき、毎年、着実に資産を増やしている人はごくわずかとも言われています。
この記事では実際に損小利大を実践できる投資方法について述べています。
損小利大とは?
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損小利大とは、文字通り、取引1回当たりにおける損失を小さくし、かつ、取引1回当たりにおける利益を大きくするという意味です。
この格言のなかでは、勝率については、触れられていませんが、本来、勝率とセットで、つまり期待値で考えるべきテーマです。
期待値とは?
期待値とはある試行を行ったとき,その結果として得られる数値の平均のことです。
例えば、過去1年間の自分の投資成績が以下のようなものだったとしましょう。
10回投資をして勝ったのは4回だけ、勝率は40%です。
しかし、1回当たりの平均負け金額は47,500円となっており、1回当たりの平均勝ち金額165,000円に比べて、非常に小さくなっています。
つまり、損が小さく、利益が大きくなっています。この状態が損小利大なのです。
また、この場合の期待値は、以下の通りとなります。
平均勝ち金額165,000円×勝率40%-平均負け金額47,500円×(1-勝率40%)=37,500円。
1回投資を完結するごとに、37,500円の利益が見込めます。
損失利大は全ての投資スタイルに当てはまるか?
損は少なく、利益が大きければいいのは当たり前のことですが、損小利大の考え方は全ての投資スタイルに当てはまるのでしょうか?
ここでは、バイアンドホールド型、カウンタートレード型、トレンドフォロー型の3つの売買方法について考えてみたいと思います。
バイアンドホールド型
バイアンドホールド型とは、買ったら(バイ)、ずっと保有(ホールド)し続けるという投資の方法です。
ウォーレン・バフェット氏に代表される完全な長期投資のやり方です。
この方法でも損小利大の考え方は重要なのでしょうか?
そもそもこの方法では、損をすることを想定していません。
また、成功した場合は、株価が10倍以上になります。したがって、損小利大の考えに一致している、と言えなくもないのです。
ただ、本当に自分の選定した株が将来5倍や10倍になるのかという疑問が残ります。
例えば、1998年頃にApple株を購入しておけば、株価は200倍になったと言われています。
Appleとよく比較される会社にSONYがあります。どちらも革新的な製品を出す会社として有名です。実際、Appleの創業者スティーヴ・ジョブズは創業時SONYを目標にしていたということです。また、SONYが全盛期だった頃、Appleを買収するという話もありました。
実は、2003年頃、SONYはiPhoneの原型となるようなスマートフォンをAppleに先駆けて開発していました。そして、そのスマートフォンの開発が取締役会で議題に上がったということでうす。
しかし、パソコンとウォークマンの機能を兼ね備えた電話を販売したら、VAIOやウォークマンの売れ行きが下がるじゃないかと社内で猛反対を受け、製品化を中断してしまったそうなのです。
そして、せっかく自社で開発した技術をAppleに売却。その後、AppleはiPhoneを発売し、世界で一番時価総額の高い会社へと成長するのです。
つまり、SONYが自社でスマートフォンを開発していれば、Appleのように時価総額世界一の会社になっている可能性もありました。
さて、それでは、SONYの株価はどうでしょうか?
SONYの株価は1998年には10,000円を超えていましたが、2020年5月には6,800円。
なんと3割も下がってしまっています。Appleが200倍になったのとは大違いです。
しかし、果たして、こんな未来を見通すことが可能でしょうか?可能だったら、SONYはスマートフォンを自社で開発していますね。
バイアンドホールド型では、結果が判明するのが何年も先になるため、損小利大の概念とは合わないように思えます。
カウンタートレード型
なんらかの支持ラインに来た時にその反発を狙って売買する方法をカウンタートレードと呼びます。
なんらかの支持ラインとは、例えば、単純に前回の高値や安値付近に来たときにその反発を狙って売買する方法。あるいは、RSIやストキャスティクスなどのテクニカル指標を使って、「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」のサインが出たときに仕掛ける方法があります。
トレンドフォロー型売買に比べると勝率は高くなる傾向にあります。ただし、トレンドフォロー型のように一回の売買で30%~40%もの利益が出るということはありません。
カウンタートレード型売買でも継続的に利益を出している人もいるでしょうが、損小利大の概念とは一致しません。
「損小利小、ただし、勝率が50%を超えている」といったトレードスタイルになります。
トレンドフォロー型売買
カウンタートレードとは反対にトレンドの発生を狙って仕掛ける売買手法です。
- 〇日移動平均線を超えたら、上昇トレンド発生とみなして買う
- 過去〇日間の高値を超えたら、 上昇トレンド発生とみなして 買う
といった売買手法です。
具体的には、さきほど表で示したような売買成績になるのが一般的です。
勝率は30%~40%程度と言われ、決して高くありません。2連敗や3連敗は頻繁に発生します。
しかし、一度、大きなトレンドが発生すれば、1回の取引で20~40%もの利益が見込めます。
損小利大の概念と完全に一致する売買システムです。
したがって、損小利大を実現しようとするならば、一番オススメの売買手法がトレンドフォロー型売買なのです。
トレンドフォロー型売買のメリット・デメリット
トレンドフォロー型売買のメリット
損小利大を実現できる
上記で説明したように損小利大を実現できるため、年間を通じて利益になりやすい。
売買回数が少なくて済み、会社員でも実践可能。
日足だけで十分にトレードが可能です。
このため、一旦、自分の投資スタイルを確立させた後は会社から帰宅後、日足を見て、売買の判断をし、翌日の寄付で注文を出します。
作業としては、これだけなので、1日わずか数分の作業で済みます。実際に売買するのも1か月に数回程度なので、本業に全く支障を来しません。
トレンドフォロー型売買のデメリット
勝率が低く、心理的なストレスが大きい。
勝率が低いため、頻繁に2連敗や3連敗します。このため、慣れないうちは心理的なストレスが大きくなりがちです。
しかし、この方法を継続すれば、大きな資産を築ける可能性が高まります。
ぜひ、トレンドフォロー型売買をマスターしましょう。
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トレンドフォロー型売買をマスターするためには、過去の四本値(始値、高値、安値、終値)をダウンロードして、売買ルールを検証することが必要です。
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