株式相場で、昔からの論争にファンダメンタル分析か、テクニカル分析かの論争があります。

代表的な言い分は、以下の通りです。

議論

ファンダメンタル分析派

企業の業績や社長の経営能力などを分析し、会社の成長性を見込んで、株式投資を行う人々のことをファンダメンタル分析派と呼びます。

ファンダメンタル分析派の主張

最終的には企業価値は株価に反映される

ヤフーを上場直後に購入した人は、現在まで保有し続けていれば、当初の資金150万円が3億円以上になったとのことです。ソフトバンクや昔のセブンイレブンを上場直後に購入し、現在まで持ち続けていれば、誰でも億万長者になれるのです。

テクニカル分析派の反論

倒産する新興企業も多い

しかし、ソフトバンクでさえ、成長途上では何度も倒産の危機に瀕したのです。ソフトバンクでさえ、そうなのですから、上場したはいいが、その後、さっぱり伸びずに倒産していった新興企業も多いのです。

一般個人投資家に、そこまで将来の企業を分析することができるでしょうか?また、10年、20年に渡って、その会社の株を保有できるでしょうか?

企業の業績がすぐに株価に反映されるわけではない

さらに、最終的には企業価値は株価に反映されるのは理解できますが、すぐに、株価に反映されるわけではありません。

特に、最近では、会社の業績が過去最高を更新したとしても、アナリストの予想を下回ったということで株価が急落する場合が多々あります。

10年間保有すれば、10倍になる可能性がある株だとしても、買った途端に30%も下げてしまえば、投げ売りもしたくなるでしょう。

機関投資家のファンドマネージャーが必ずしも儲けているわけではない

投資信託を大きく2つに分けると、インデックスファンドとアクティブファンドいうものがあります。

インデックスファンドとは例えば日経平均などの指数に完全連動するタイプのファンドであり、アクティブファンドは、それぞれのファンドマネージャーが代表的な指数を上回るパフォーマンスを上げようと、様々な銘柄を購入するといったタイプのファンドです。

そして、ファンドマネージャーをしている人々はコロムビア大学やマサチューセッツ工科大学で最先端の金融理論を学んだ金融のプロなのです。

また、ほとんどのファンドマネージャーは、ファンダメンタル分析派であり、高度な金融理論を使って、ファンドを運用しています。

このように書くと、日本を代表するエリートが運用しているのですから、圧倒的にアクティブファンドのほうがインデックスファンドよりも好成績だと思われませんか?

ところが、実態は、70%以上のアクティブファンドがインデックスファンドよりも運用利回りが低いのです。

これが、テクニカル分析派が、ファンダメンタル分析では利益を出せないという理屈なのです。

テクニカル分析

チャートやMACDなどのテクニカル分析手法を通して、株式投資を行う人々をテクニカル分析派と呼びます。

テクニカル分析派の主張

短期的には、企業業績と株価変動における関係性が薄い

短期的には、企業業績がそのまま株価に反映されるわけではなく、また、個人投資家が新聞やニュースでその情報を知った際には、既に、株価が高くなっており、すぐに反落する場合もあります。

したがって、個人投資家が株式投資で利益を上げようとするなら、テクニカル分析しかない。チャートは、投資家心理を反映したパターンのある動きを反映する。

というのが、テクニカル分析派の主張です。

確かに、この主張にも納得です。

日本を代表するエリートでも、市場平均以上の利益を上げられないなら、テクニカル分析を利用したほうが良さそうです。

ファンダメンタル分析派の反論

一方、ファンダメンタル分析派の反論は、次の通りです。

特定のチャートパターンで儲かるならば、そもそも売買が成り立たないはず

これだけITが進んでいるのだから、特定のチャートパターンにより、利益が出せるならば、誰でも同じタイミングで買いを入れるはず。そうなれば、そもそも売買が成立しない。チャートを見て、利益を出しているのは、たまたま運が良かっただけ。

チャートで儲かるならAIを開発できる企業が、全ての利益を独占するはず

もし、チャートで儲かるなら、AIを使えば、必ず儲かるシステムができるはず。AIの開発ができるグーグルなどが、世界中の富を独占できるはずだが、そんな兆候はない。これは、テクニカル分析では、利益が出せないことの証拠である。

天井や底では、似たようなチャートパターンが現れやすい

なるほど、この主張にも納得できます。ただ、チャートを繰り返し見ていると、底や天井では、特徴的なパターンがあるようです。

というのは、いつも同じパターンを見せるわけではないのですが、昔から言われているように、下降トレンドが続いた後、長い下ヒゲを見せれば、底。上昇トレンドが続いた後に、長い上ヒゲを見せれば、天井といった傾向はあるようです。

残念ながら、私たち人類は、常に、合理的な判断ができるほど成熟しておらず、感情で動いてしまうことが多いようです。

つまり、相場が急騰する場面や急落する場面では、欲望や恐怖に囚われて売買をしてしまうため、似たようなチャートパターンが現れるケースがあるのでしょう。

現物キャンペーンバナー

ファンダメンタル分析とテクニカル分析とリスク管理を組み合わせた投資手法

どちらの主張も尤もですが、それでは、個人投資家が利益を出そうとすれば、どうすればいいのでしょうか?

オススメの手法としては、それぞれのいい点を組み合わせることです。

FAIクラブの投資法

林投資研究所が主催していたFAIクラブという投資クラブがありました。

このクラブでは、各メンバーの平均利回りが年利30%あった年もあり、最も成績の良かった人は10年間連続で年利100%を達成し、1,000万円の資金を10億円にしたそうです。

さて、そのFAIクラブの投資法ですが、かなり労力のかかるものでした。

  • 東証一部全上場銘柄の月足10年分を手書きで書く
  • 会社四季報が発売されるたびに、本をバラし、B4用紙に貼って行く(6期分の情報を一目で確認できるよう、1社につき、B4用紙1枚利用)。
  • 売買候補銘柄の終値と出来高を毎日帳面に記帳する。

とにかく労力のかかる投資法です。

私も一時期、この投資法を試みようと、毎日、月足を手書きしていた時期があります。
ただ、当時は、残念ながら、資金がなく、この投資法を実践しようとした頃には、バブルが崩壊し、対象銘柄がなくなっていました。

林投資研究所の林輝太郎氏によれば、とにかく手書きで月足を書くようにとのことでした。手書きで書けば、相場の波やリズムが分かるようになるとのことでした。

ただ、ITの発達により、チャートは一瞬で確認できるようになりました。
また、デイトレードで実際に生計を立てている人もいます。
ですから、最近では手書きでチャートを書くことだけが必須条件ではないと思われます。

さて、「月足チャートを書く」といえば、テクニカル分析派の代表と思われるかもしれませんが、会社四季報についても熟読し、特に、業績予想が3か月ごとに、どのように変化しているかを確認して売買対象銘柄を決定するようになっていました。

そういう意味では、ファンダメンタル分析とテクニカル分析を融合した投資方法だったと思います。

ファンダメンタル分析とテクニカル分析を融合した投資方法とは?

さて、現在なら、ITを利用して、FAIクラブの投資方法と似たような投資方法が構築できます。

主な流れとしては、以下の通りです。

  • バフェットの銘柄選択術を利用した銘柄選定を行う
  • テクニカル分析を使ったトレードルールを構築
  • 資金管理と損切基準のルールを設定

それぞれを以下に説明します。

バフェットの銘柄選択術

世界一の投資家と言われるバフェット氏が強調しているのは、今後、10年間安定して成長していく会社を見つけるということです。

もちろん、将来のことは、誰にも予測できませんが、過去5年~10年間安定成長してきた会社の株なら、次の10年間も安定成長が期待できます。

具体的には、会社四季報を見れば、ここ5年程度の業績と来期の予想が出ていますので、安定して20%/年以上伸びている会社で、かつ、自己資本比率が50%以上の会社を探します。

つまり、倒産の危険性も少なく、また、伸びも期待できる会社です。

会社四季報には、何千もの会社が掲載されていますが、こういった基準で選べば、対象となる会社の数は100社にもなりません。

そして、それらの株価は、過去5年で大きく伸びているはずです。つまり、今後も株価が大きく上がる可能性が強いのです。

このように、まずは、ファンダメンタル分析によって、売買対象候補銘柄を選びます。

テクニカル分析を使ったトレードルールを構築

ただ、毎年20%も伸びる会社となると、まだまだ会社の規模も小さく、株価が乱高下する会社が多いのです。

したがって、全くテクニカル分析を使わないで株を買うとタイミングによっては、30%も下がる場合があります。

いくら長期的に伸びる株だと言っても、買って、すぐに、30%も下がれば一般の投資家なら投げ売りしたくなります。これを避けるためには、やはりテクニカル分析を使って売買のタイミングを図ることをオススメします。

また、いくら成長株と言っても、日経平均が暴落する際は、それらの株も暴落します。

日経平均が暴落するような際は、一旦、持ち株を全て売却するという方法もあります。また、その他の大型株を空売りしてもいいでしょう。

トレードルールは複雑なものである必要はありません。

10日移動平均線を終値で超えてきたら買う

といったシンプルなもので十分です。

業績が良く、なおかつ、シンプルなルールで売買しても利益が出せそうな株を買うのです。

世界最高峰のトレードシステムを構築し、どんな株を売買しても利益を出せるようにする、のではありません。

簡単なルールで売買しても利益が出せそうな株を売買します。

資金管理と損切基準のルールを設定

そうは言っても、やはり損切を設定しなければ、長期間塩漬けになる可能性もあります。

一回の売買におけるリスクを1~2%前後に設定し、買値から1~2%下回れば、損切することを徹底することをオススメします。

つまり、3,000円の株ならば、60円前後での損切です。

これくらい、厳しく設定すれば、まず、破産するような事態には陥りません。

そして、投資を続ければ続けるほど、次第に、資産は増えていくでしょう。

現物キャンペーンバナー