NISAとは?
NISAとは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した株や投資信託から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
通常は、利益に対して20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用した場合は、税金がゼロになりますから、非常に大きなメリットがあります。
一方、NISA口座で損失が出てしまうと、確定申告の際、他の利益と合わせて税金を減らせる損益通算が利用できなくなります。
この記事では、どんな人がNISAを使うべきか?どんな人は使うべきでないかを記入しています。
NISAのメリット
年間120万円まで無税
株や投資信託を売って出た利益が出た場合の利益を譲渡益といい、20.315%の税金が発生します。
内訳は、所得税15.315%、住民税5%です。
これが、NISA口座で株式を売買すると、年間120万円までの投資については、無税となります。
例:
2019年2月1日 A株 1,000円×1,000株=100万円購入
2019年7月1日 A株 1,500円×1,000株=150万円売却
利益 50万円
通常の場合 税金 税率(20.315%)×500,000円=101,575円
NISAの場合 0円
上記の通り、50万円もの利益が発生した場合、10万円以上の税金を払うこととなりますが、これが、NISAならば、全く税金がかかりません。
これは、大きなメリットですね。
なお、年間120万円は当初の投資金額に対する制限であり、売却時に120万円を超えていても全く問題はありません。
配当や投資信託の分配金も無税
NISAの対象は株の売却益だけでなく株の配当、投資信託の売却益、投資信託の分配金も含まれます。
最大600万円まで無税
年間120万円という投資枠の制限がありますが、有効期間は5年間です。
つまり、2019年に購入した株は、2023年までに売却すれば、利益が発生しても税金がかかりません。
また、毎年120万円を投資すれば、最大120万円×5年間=600万円分の投資に関して無税となります。
NISAの制限事項
しかし、NISAでは、いくつかの制限事項があります。
売却後、非課税枠は復活しない
年間の非課税枠が最大120万円という制限があります。
したがって、以下のような場合、非課税枠は復活しません。
例:
2019年2月1日 A株 1,000円×1,000株=100万円購入
残りの非課税枠=120万円-100万円=20万円
2019年7月1日 A株 900円×1,000株=90万円売却
損失 10万円
残りの非課税枠=20万円
つまり、最初の投資で10万円損をしたとしても、非課税枠はあくまで最初の投資金額に基づいて算出されるため、損をして株を売却したとしても非課税枠は復活しません。
非課税枠の翌年繰越不可
また、非課税枠は翌年に繰り越せません。
たとえば、ある年に50万円しか株を購入しなかった。
この場合、120万円-50万円=70万円を翌年に持ち越したいのですが、翌年への繰り越しはできません。
一人一口座
複数の証券会社で口座を持っておられる方も多いと思いますが、NISA口座は一人一口座しか開設できません。
株式比例配分制度以外の場合は、配当に税金がかかる
NISAでは、本来、配当に税金がかかりませんが、これは株式比例配分制度を選んでいる場合のみです。
配当金は、いつも使っている銀行で受け取りたいという方は、登録配当金受領口座方式を選択されているでしょうが、この方式を選択すると通常通り20.315%の税金がかかってしまいます。
株式比例配分制度を選択し、配当金がNISA口座に振り込まれる場合のみ、無税となります。
NISAのデメリット
ここまでNISAのメリットを述べてきましたが、デメリットもあります。
損益通算ができない
例えば、複数の証券会社に口座を持っており、
証券会社 A(一般口座)20万円/年の利益
証券会社 B(NISA口座)20万円/年の損失
合計利益:0円
だったとします。
一般口座ひとつで運用していた場合は、利益が発生していないため、税金が発生しません。
しかし、NISA口座の場合は、損益通算ができないため、上記の例では、証券会社A(一般口座)で発生した利益に税金がかかってしまうのです。
税金:20万円/年×20.315%=40,630円
損失繰越不可
株で損失が発生した場合、確定申告すれば、翌年以後3年間にわたって、繰越控除することができます。しかし、NISA口座を選択した場合は、この控除もできません。
信用取引の場合、代用有価証券にならない
信用取引の場合、担保として保証金を入れなければなりません。通常、現金を入れるのですが、現金の代わりに株などの有価証券で代用することも可能です。これを代用有価証券と言います。
NISA以外の口座であれば、その口座に入っている株を代用有価証券として利用し、信用取引をすることが可能ですが、NISA口座では、これが認められません。
NISAを選択すべき人、NISAで損をする人
NISAを選択すべき人
このように、NISAはメリットばかりでなく、様々な制限やデメリットもあります。
それでは、どんな人がNISAを選ぶべきでしょうか?
株の長期投資をする人
世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェット氏の投資のやり方はバイ・アンド・ホールディングと言われています。
つまり、一度、株を買ったら売らない。少なくとも10年以上保有し続けるというやり方です。
そして、毎年20%程度、売上も利益も伸びが予想されるような会社の株を買うという方法です。
「会社の業績は長期的には株価に反映される」
と言われています。
つまり、毎年20%ずつ成長する会社の株を120万円分購入した場合、
株価もそれに連れて複利で上昇し、
5年後の株価は3倍の300万円以上になっている可能性があります。
180万円の利益になれば、通常、365,670円かかる税金がゼロになりますから、これは大きなメリットです。
毎月一定の額を10年以上に渡って積立する人
NISAのなかでも積立専用のつみたてNISAと呼ばれるものがあります。
こちらは、新規投資の上限額/年が40万円と通常のNISAよりも少ないのですが、非課税投資枠は20年間あり、最大800万円までが無税となっています。
投資期間が20年間あれば、どこかのタイミングで日経平均が急騰する年もあるでしょうから、通常の株式投資とは違って、投資金額が売却金額を下回る可能性は相当小さくなるでしょう。
NISAでは、どんな金融商品を選ぶべき
今後も高い成長が予想される東証一部上場銘柄の株
現在、東証一部に上場している銘柄は2,100超あります。
会社四季報を見て、過去5年間、ほぼ連続して毎年20%以上伸びている会社の株を選びます。
実際、これに相当する銘柄は毎年数社程度しかありませんが、上場基準の厳しい東証一部に上場しており、なおかつ、毎年20%以上も業績が伸びている会社であれば、今後も伸びが期待できます。
ただし、それでも業績が急激に悪化する場合もありますので、その場合は、購入価格の〇%下げれば売るというルールを作っておき、それに到達すれば、損切します。
なお、東証2部や新興市場銘柄ならば、毎年20%以上の伸びを示している会社も多いのですが、まだ、経営基盤も弱く、あっという間に株価が50%以上下落するケースも多いのです。
NISAでは、損失の繰越控除ができませんから、ハイリスク・ハイリターンの株は、敬遠したほうが無難です。
インデックスファンド
つみたてNISAを選択するなら日経平均等の指数に連動しているインデックスファンドを選択すべきです。
インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX、NYダウなどの株式指標(インデックス)と同じような値動きをするように作られた投資信託です。
一般の投資信託に比べ、信託報酬料も安く設定されています。
また、20年間の保有を前提とすれば、日経平均も大きく急騰する年もあると思われ、投資の中でもかなり安全と思われます。
高い利回りが見込める投資信託
最近では、過去5年や10年といった長期に渡って、年間10%以上の運用利回りを誇っている投資信託も出てきました。
こういった高い利回りが見込める投資信託を選ぶのもひとつの方法です。
しかし、こういった高い利回りの投資信託は、一般的に相場全体が上昇する場合は日経平均を上回る伸びを示しますが、相場全体が下落する場合は、日経平均の下落率を上回るペースで落ちる場合が多いようです。
したがって、投資信託を5年間保有し、売却タイミングが来た5年目に大きく下落してしまったというリスクもあります。
いつ金融商品を買うべき
NISAに口座を作ったからと言っても、すぐに、株や投資信託を買わなければいけないというものではありません。
年に数回は、日経平均が暴落します。
つみたてNISA以外の場合は、日経平均が暴落したタイミングを待って、目当ての株や投資信託を買いましょう。
ただし、NISA口座開設には、1か月以上かかる場合もあるようです。
口座開設だけは、早めに済ませましょう。
NISAで損をする人
逆に、こんな人はNISAを選ぶと損をする可能性が高くなります。
株の短期・中期投資をする人
株式投資で失敗する人の特徴は損切ができないことだと言われています。
本来、買った株が〇%下がれば、売却といったルールを定め、徹底遵守すべきです。
しかし、株で損をするほとんどの人が損切ができません。
NISAの場合、株を売却すると非課税枠が消化されてしまいます。
ただでさえ、損切は心理的にツライのに、
さらに、非課税枠も消化されるとなると、
「もう少し上がるのを待っていよう」
という気持ちになってしまいます。
株の売買を短期間で繰り返す人は、一般口座で売買しましょう。
投資で毎年利益が出せていない人
NISAのメリットは利益が発生した場合に税金がかからないことです。
これは、逆に言えば、利益が発生することを前提にしています。
しかし、当然、損失が発生する場合もあります。
NISAの場合、損失が発生しても損益通算や翌年への繰り越しができません。
まだ、年間トータルでプラスになっていないのであれば、NISA口座を作るメリットはありません。
投資に上達して利益が出せるようになってからNISA口座を検討しましょう。