株を買ったあと、どのようなときに利益が出て、どのようなときに損失が出るのでしょうか。
「株価が上がれば儲かる」という説明だけでは、売る前の利益、売ったあとの利益、配当、手数料や税金の違いが分かりません。
今回は、1株1,000円の株を10株買った例を使い、株の損益を数字で整理します。
株の利益は「値上がり益」と「配当」が基本
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株式投資で得られる金銭的な利益は、主に次の2つです。
- 買った価格より高く売ったときの値上がり益
- 会社が利益の一部を株主へ分配する配当
反対に、買った価格より安く売れば値下がり損が生じます。値上がり益と値下がり損は株価の変化から生まれ、配当は会社から株主へ支払われます。
株主優待がある会社もありますが、すべての会社が実施しているわけではありません。優待は使う人によって価値が違うため、まずは値上がり益と配当を分けて考えるのが分かりやすいでしょう。
値上がり益を数字で見てみよう
1株1,000円の株を10株買うと、購入金額は1万円です。説明を分かりやすくするため、ここでは最初に手数料と税金を除いて考えます。
株価が1,300円に上がって売った場合
- 購入金額:1,000円×10株=10,000円
- 売却金額:1,300円×10株=13,000円
- 値上がり益:13,000円-10,000円=3,000円
売却した時点で、3,000円の利益が確定します。これを実現益といいます。
株価が800円に下がって売った場合
- 購入金額:1,000円×10株=10,000円
- 売却金額:800円×10株=8,000円
- 値下がり損:8,000円-10,000円=マイナス2,000円
売却した時点で、2,000円の損失が確定します。これを実現損といいます。
含み益と実現益は何が違う?
株価が1,300円に上がっても、まだ売っていなければ3,000円は確定した利益ではありません。現在の株価で計算した評価上の利益であり、含み益と呼ばれます。
翌日に株価が1,100円へ下がれば、含み益は1,000円に減ります。反対に1,500円へ上がれば、含み益は5,000円に増えます。
実際に売るまでは金額が変わるため、含み益と実現益を区別することが大切です。
株価が800円に下がった状態で保有を続けている場合は、2,000円の含み損です。売っていないため損失は確定していませんが、経済的な価値が減っていることに変わりはありません。
「売らなければ損ではない」とは限らない
含み損は確定していないので、株価が回復すれば小さくなったり、消えたりします。しかし、売らなければ問題がなくなるわけではありません。
会社の競争力が落ち、売上や利益が長期的に悪化すれば、株価が以前の水準へ戻らない可能性もあります。保有を続けるかどうかは、買値ではなく、会社の成長見通しや当初の投資理由が保たれているかで考えます。
配当による利益を数字で見てみよう
会社によっては、事業で得た利益の一部を配当として株主へ支払います。
例えば、1株あたり30円の配当が支払われ、10株を保有していれば、受取額は税引き前で300円です。
- 1株あたり配当:30円
- 保有株数:10株
- 配当金:30円×10株=300円
配当は株を売らなくても受け取れることがあります。ただし、配当額は毎回同じとは限りません。業績や会社の方針によって増えることも、減ることも、支払われなくなることもあります。
また、配当を受け取ればその分だけ必ず得をする、と単純には言えません。配当の権利が確定したあと、配当相当分を意識して株価が下がることもあるためです。配当だけでなく、株価の変化も合わせて見ます。
本当の成績は「合計」で見る
株の成績を考えるときは、値上がり益だけ、配当だけを見るのではなく、合計で考えます。
例えば、1万円で買った株を1万2,000円で売り、保有中に300円の配当を受け取ったとします。費用と税金を除く前の合計損益は、次のようになります。
- 値上がり益:2,000円
- 受取配当:300円
- 合計利益:2,300円
一方、8,000円で売り、300円の配当を受け取った場合は、値下がり損2,000円と配当300円を合わせ、合計ではマイナス1,700円です。配当があっても、株価の下落を必ず補えるわけではありません。
手数料と税金を引いた金額が手取り
実際の手取りは、売買手数料や税金などを差し引いて考えます。証券会社、口座の種類、取引方法によって扱いが違うため、取引前に確認が必要です。
NISA口座では対象となる利益や配当が非課税になる仕組みがありますが、NISAだから値下がりしないわけではありません。税制上の利点と、投資そのものの損失リスクは別の話です。
初心者ほど、画面に表示される評価額だけでなく、投資した元本、受け取った配当、支払った費用、確定した損益を分けて記録すると判断しやすくなります。
利益の源泉は会社の成長と市場の評価
長期的な値上がり益の土台になるのは、会社が顧客を増やし、売上と利益を伸ばし、将来生み出す利益を大きくしていくことです。
ただし、会社が成長していても、買った時点の株価が期待を先取りしすぎていれば、株価が上がらないことがあります。前回の記事「株価はなぜ上がったり下がったりする?業績と期待と売買の関係」で説明したように、株価は業績そのものではなく、将来への期待と売買のバランスでも動きます。
そのため、「良い会社を見つけること」と「どの価格で買うか」の両方が投資結果に影響します。
初心者が記録しておきたい5つの数字
株を買ったら、少なくとも次の数字を記録しておきましょう。
- 購入した株数と購入単価
- 購入に使った合計金額
- 現在の株価と評価額
- 受け取った配当
- 売却した場合の確定損益
これらを記録すると、「株価は上がったのに手取りはいくら増えたのか」「配当を含めると成績はどうなるか」を自分で確認できます。
まとめ:利益と損失を同じ式で考える
今回のポイントをまとめます。
- 株の金銭的な利益は、主に値上がり益と配当から生まれる
- 売る前の利益・損失は含み益・含み損、売ったあとは実現益・実現損になる
- 配当は保証されず、株価の下落を必ず補うものでもない
- 実際の手取りは、売買損益と配当から費用や税金を差し引いて考える
- 長期的には会社の成長が重要だが、買ったときの株価水準も結果に影響する
まずは、買値、現在値、配当、費用を一つずつ分けて計算してください。利益が出た理由と損失が出た理由を数字で説明できるようになることが、投資判断の第一歩です。
次回は、株・投資信託・ETFの違いを整理し、自分は何を買おうとしているのかを見分けられるようにします。
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