「会社の業績が良ければ、株価は上がる」
そう考えていたのに、好決算を発表した会社の株価が翌日に下がっている。逆に、赤字決算なのに株価が上がることもある。
株式投資を始めたばかりの方にとって、これはとても不思議に見えると思います。
しかし、株価が動く仕組みを順番に整理すると、決して矛盾しているわけではありません。
株そのものの仕組みを先に確認したい方は、株を買うとはどういうこと?会社の一部を持つ仕組みをやさしく解説もあわせてご覧ください。
この記事では、
- 株価を直接動かすものは何か
- 業績が株価にどう影響するのか
- 好決算でも株価が下がる理由
- 短期の株価と会社の成長をどう分けて考えるか
を、株式投資が初めての方にも分かるように解説します。
株価は「買いたい人」と「売りたい人」のバランスで決まる
Contents
株価を直接動かしているのは、買いたい人と売りたい人のバランスです。
日本取引所グループ(JPX)も、株価は基本的に需要と供給のバランスで決まり、買いが売りより多ければ上がり、売りが買いより多ければ下がると説明しています。
例えば、現在の株価が1,000円だとします。
「この会社はこれから成長しそうなので、1,010円でも買いたい」
と考える人が増えれば、より高い値段でも売買が成立し、株価は上がっていきます。
反対に、
「今後は業績が悪くなりそうなので、990円でも売りたい」
と考える人が増えれば、より安い値段で売買が成立し、株価は下がります。
前の記事「株はどこで売買される?株式市場・証券取引所・証券会社の違い」で説明したように、証券取引所では多くの投資家の買い注文と売り注文が集められ、条件が合ったところで売買が成立します。
株価とは、その時点で買い手と売り手が合意した取引価格なのです。
買いたい人と売りたい人は、なぜ増えたり減ったりするのか
では、なぜ買い注文と売り注文のバランスが変わるのでしょうか。
主な理由は、投資家がその会社の将来を予想しているからです。
日本証券業協会の教材でも、株価を動かす基本的な要因は会社の業績であり、通常は業績が良くなると予測されると株価が上がり、悪くなると予測されると下がると説明されています。
大切なのは、「業績が良くなった」ではなく「良くなると予測される」という点です。
投資家は、現在の数字だけではなく、数か月後、数年後に会社がどれくらい利益を出せるかを考えて売買します。
そのため、株価には次のような情報が影響します。
- 売上や利益の増減
- 新商品や新サービスの成長性
- 会社が発表する今後の業績予想
- 景気や金利、為替の変化
- 原材料価格や人件費の上昇
- 競合企業の動き
- 事故、不祥事、法規制などのニュース
- 投資家の期待や不安
会社そのものに関する情報だけでなく、社会や経済全体の変化も、投資家の判断を変えます。
株価は「現在の業績」より先に動くことがある
株価を理解するときに覚えておきたいのが、株価は将来への期待を先に反映しやすいという点です。
例えば、ある会社の利益がまだそれほど増えていなくても、
「新商品が大ヒットしそうだ」
「来年から利益が大きく増えそうだ」
と考える投資家が増えれば、発表される決算より先に株価が上がることがあります。
一方、現在は好調でも、
「成長率が鈍ってきた」
「原材料価格の上昇で、来年は利益が減りそうだ」
と予想されれば、株価が先に下がることもあります。
したがって、現在の業績と株価が同じ方向に動くとは限りません。
株価は、今の会社の成績表だけでなく、投資家が予想する将来の成績も含めて動いているからです。
好決算なのに株価が下がるのはなぜ?
好決算でも株価が下がる代表的な理由は、発表された数字が投資家の期待を下回ったからです。
例えば、ある会社について、市場では利益が前年より50%増えると期待されていたとします。
実際の決算では、利益が30%増えました。
30%増益だけを見れば、十分に良い決算です。
しかし、投資家が期待していた50%増益には届いていません。
すると、
「思っていたほどは伸びなかった」
と判断した投資家が売り、株価が下がることがあります。
つまり、株価は単純に、
良い決算なら上がる
悪い決算なら下がる
という仕組みではありません。
実際の数字が、すでに株価に織り込まれていた期待より良かったのか、悪かったのかが重要です。
決算の数字以外が原因になることもある
好決算でも株価が下がる理由は、期待との差だけではありません。
来期の見通しが慎重だった
過去3か月の利益が良くても、会社が「次の四半期は厳しい」と説明すれば、投資家は将来を心配します。
株価は過去よりも将来を意識して動くため、発表済みの利益が良くても売られることがあります。
一時的な利益だった
土地や保有株の売却など、本業以外の一時的な要因で利益が増えている場合があります。
同じ利益が翌年も続くとは限らないため、数字だけでは判断できません。
発表前に株価が上がりすぎていた
好決算への期待から、発表前に株価が大きく上昇していることがあります。
発表後に新しい買い手が増えず、利益確定の売りが増えれば、好決算でも株価は下がります。
市場全体が下落していた
会社に問題がなくても、金利上昇、景気悪化、海外市場の急落などによって、多くの株が同時に売られることがあります。
個別企業の業績と、市場全体の動きは分けて考える必要があります。
悪い決算なのに株価が上がることもある
反対のことも起こります。
赤字や減益の決算でも、事前にはさらに悪い数字が予想されていた場合、
「心配していたほど悪くなかった」
と受け止められて株価が上がることがあります。
また、現在は赤字でも、赤字幅が縮小していたり、来期に黒字化する見通しが示されたりすれば、将来への期待から買われることがあります。
ここでも重要なのは、発表された数字だけではありません。
事前の予想と比べてどうだったか、そして将来が改善しそうかを投資家は見ています。
短期の株価と会社の成長は分けて考える
1日や1週間の株価は、ニュース、需給、投資家心理などによって大きく動くことがあります。
一方、会社が数年間にわたって成長するためには、
- 顧客が増える
- 売上が伸びる
- 利益を生む仕組みが強くなる
- 競合他社にまねされにくい強みを持つ
- 成長のための投資を続ける
といった事業上の変化が必要です。
短期の株価が下がったからといって、すぐに会社の価値まで下がったとは限りません。
逆に、株価が急上昇していても、事業が同じ速度で成長しているとは限りません。
株価の動きと会社の事業を分けて見ることが、企業分析の第一歩です。
株価が動いたときに確認したい5つのこと
保有している株や気になる株が大きく動いたときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 会社から決算や重要な発表が出ていないか
- 発表内容は事前の期待より良かったか、悪かったか
- 今後の業績見通しに変化がないか
- 同業他社や市場全体も同じ方向に動いていないか
- 出来高が急増するなど、売買の需給に大きな変化がないか
値上がり・値下がりの理由は、必ず一つに決められるわけではありません。
後から説明された「もっともらしい理由」が、本当の原因とは限らないことにも注意が必要です。
分からないときは、無理に理由を断定せず、会社の公式発表や決算資料を確認する習慣をつけましょう。
まとめ:株価は業績そのものではなく、売買と期待で動く
今回のポイントをまとめます。
- 株価は、買いたい人と売りたい人のバランスで決まる
- 売買の判断には、会社の業績や将来性、景気、金利、ニュースなどが影響する
- 株価は現在の業績より先に、将来への期待を反映することがある
- 好決算でも、事前の期待を下回れば株価が下がることがある
- 悪い決算でも、予想ほど悪くなければ株価が上がることがある
- 短期の株価と、会社の長期的な成長は分けて考える
株価の上昇や下落を見たとき、すぐに「良い会社」「悪い会社」と決めつける必要はありません。
まずは、何が発表されたのか、投資家は何を期待していたのか、売買のバランスがなぜ変わったのかを順番に考えてみてください。
次回は、株で得られる利益について、値上がり益、配当、含み益と実現益の違いを数字で整理します。
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参考情報
- 会社の株価の決まり方|日本取引所グループ
- 株価変動要因|日本取引所グループ
- 金融商品の特徴|投資の時間