落胆

最近でこそ、テクニカル分析を主としたシステムトレードで利益を上げられるようになってきていますが、以前、ファンダメンタルズ分析を主にした投資をして大失敗したことがあります。

資金がわずか1週間で半分になったSONYショック

2003年当時、筆者は外資系企業で働いていましたが、SONYアメリカが最大手のお客様でした。当時のSONYはとにかく絶好調。アメリカのBestBuyという大手電機販売店に行くと、SONYだけ特設コーナーが置かれており、SONYはアメリカ発の企業だと思っているアメリカ人も多かったくらいです。

ちょうど、その頃、ウォーレン・バフェットの本を読んだ私は、
「SONYのような超優良企業に長期投資をするのが一番安全だ」
と思って、当時持っていたほぼ全ての余裕資産をSONY一社に注ぎ込みました。確か5000円の株を500株購入したと思います。

その1週間後くらいにSONYが決算予想の数字を発表しました。

すると、それまで絶好調と思われていたSONYの経常利益がアナリストの予想よりも1,000億円ほど低かったのです。

「ガーン」

決して、赤字に転落したというわけではありません。ただ、絶好調と思われていたSONYの決算数字が予想よりも1,000億円低かっただけです。

このニュースで、SONYはストップ安に。

「ただ、赤字になったわけではないのだから大げさに反応しすぎ。翌日には戻すだろう」と思っていました。

すると、その翌日もストップ安。
さらに、翌々日もストップ安。

たったの1週間で資産は半分になってしまいました。

筆者は引き寄せの法則を信じているのですが、

「こんなことが起きるなんて」
「引き寄せの法則がネガティブに働いてしまった」
「私には投資の才能がない」

と思ってしまいました。

これは、あとで述べるネガティブなセルフトークです。

結局、SONYはその後も下がり続け、筆者は、投資から撤退してしまいました。

ちなみに、なぜ、SONYの決算予想が急に1,000億円も減ってしまったかは、よく分かっていません。ただ、当時、私たちのプロジェクトチームで在庫削減プロジェクトを進めており、数百億円の在庫削減に成功していました。

メーカーの売上原価は
売上原価=期首在庫+当期製造原価-期末在庫
で計算します。

通常、在庫の量は期首と期末で大きく変わりません。

したがって、
100億円+1000億円-100億円=1000億円となります。                                                                                                                           、

しかし、もし、仮に、期末在庫が0になったとすれば、

100億円+1000億円-0円=1100億円となり、売上原価が100億円アップし、それに伴って経常利益も100億円減少します。

数百億円の在庫削減に成功したと聞いていましたので、1,000億円の利益減少のうち、かなりの部分を占めていたのかもしれません。

100兆円儲けそこなった話

ちなみに、この頃、SONYはタッチスクリーンを備えたスマートフォンの原型を開発しています。つまり、今のiPhoneの原型です。

しかし、社内から大反対を受けます。

「音楽がダウンロードできる携帯電話だって!!
そんな製品が開発されたら、ウォークマンが売れなくなるじゃないか」

「携帯電話でインターネットに接続できるって!!
そんな製品が開発されたら、VAIOも売れなくなるじゃないか」

業績が悪化し当時の社長の求心力が低下していたこともあり、社内の他事業部からの猛反対を抑えきれず、画期的な携帯電話の開発は中断されます。

そして、特許一式をAppleに売り渡してしまいます。

その後は、ご存知の通り、開発を引き継いだスティーブ・ジョブスが 2007年1月9日 の世紀のプレゼンテーションで世界を熱狂の渦に巻き込みます。

Appleは2007年6月にiPhoneを発売。そして、世界で初めて時価総額が100兆円を超える企業へと成長していきます。SONYの時価総額が10兆円ということですから、10倍の規模の差がついてしまいました。

これが市場最大の100兆円を儲けそこなった話です。

SF映画では、パラレルワールドという概念があります。

今の地球とそっくりの世界が複数存在しているという概念です。もし、パラレルワールドが存在すれば、恐らくAppleの代わりにSONYがiPhoneを開発し、SONYの株価が2003年の10倍以上になっており、筆者の資産も3,000万円くらいに膨れ上がっていたはずなのですが・・・

システムトレードに着手

その後、10年以上投資から遠ざかっていたのですが、ある時、母が「投資信託をやりたい」と言い出しました。

日本の証券会社が実施している投資信託はアメリカのファンドに比べるとかなり成績が悪いと思っていたのですが、調べてみるとひふみ投信という独立系のファンドは設立以来の平均年利が10%を超えているということが分かりました。

「もし、5,000万円の資産があれば、それだけで食べていける」

再び、投資に興味を持った私は、いくつかの投資関連本を読み、GMOクリック証券に口座を開設しました。

GMOクリック証券

30社程度の成長企業のチャートを毎日見ていたところ、ふと

「テクニカル指標を使えば、自分でも継続的に利益が出せる売買システムが組めるのではないか」

という気がしてきました。

トム・デマークという伝説的なシステムトレーダーがいるのですが、そのトムが「十数人のプログラマーを使ってテストしたところ、ごくごくシンプルなシステムが一番成績が良かった」という記事にも影響を受けていました。

「ごくごくシンプルといえば、移動平均線を使ったシステムでも利益が上げられるのではないか」

と考えたからです。

それから数十くらいのアイデアをテストしたでしょうか、トム・デマーク氏の言う通りに、ごくシンプルなシステムが完成しました。

ただ、投資資金がなかったため、結局、2年間ちかくフォワードテストを続けました。

そして、ようやく2020年に入って実際にシステムを稼働させています。

セルフトークを改善すれば、投資で利益を出せるようになる?

今、考えてみると利益が出せるようになったキッカケは、

ふと

「テクニカル指標を使えば、自分でも継続的に利益が出せる売買システムが組めるのではないか」

と考えたからです。

なぜ、そのように思ったのか不思議ですが、自分で自分に語りかける言葉、つまりセルフトークが改善したからなのです。

そうでなければ、投資で大損した私が自分で継続的に利益が出せる売買システムを作れるなんて考えるはずがありません。

そして、最近、ふと思ったのが、さらにセルフトークを改善すれば、裁量トレードでもっと利益を上げられるのではないかということです。

日本でもcis氏やB・N・F氏など個人で数百億円の資産を築いた株の天才がいます。これまでは、彼らは天才であり、自分には裁量トレードで利益を出せる才能はないと考えていました。

しかし、よく考えてみれば、「裁量トレードで利益を出せるだけの才能はない」というのもセルフトークです。

このセルフトークが潜在意識に根付けば(多分、現在は根付いている)、裁量トレードで利益を出せません。

しかし、意図的にセルフトークを変えれば、システムトレードだけではなく、裁量トレードでも利益を上げられるようになる可能性があります。

セルフトークの改善方法

とにかく自分をほめまくる

セルフトークを改善する方法として、まず、有効なのが自分をほめまくることだそうです。

特に、「ほめるところなんてない」と思う人でも、

「今日は朝起きれて偉い」
「今日も仕事に行けた。偉い」
「今日も朝ごはんをしっかりと食べた。偉い」

と日常の何気ないことでも、とにかく自分をほめまくるそうです。

日誌をつけるのもいいでしょう。

自分の潜在意識にポジティブなセルフトークを植え付ける

筆者は瞑想を日課にしていますが、瞑想中に自分の理想とするセルフトークを発言すれば、それが実現すると言われています。

「私は裁量トレードでも、どんどん利益が出せるようになる」

潜在意識にセルフトークが根付くまで半年程度かかるそうですが、明日から裁量トレードでも利益が出せるかフォワードテストを実施していきます。

少ない資金でテストを繰り返す

裁量トレードの場合でも、いきなり大きな資金を運用するのではなく、ごくごく少ない資金でテストを実施していくことが必要です。

筆者は、普段は、日経225ミニを中心に運用していますが、この場合、最低1枚の運用でも安全を考えれば資金が100万円程度必要です。

また、毎日の平均損益も2万円前後になります。

CFDならば、その1/10で進められますので、心理的な負担もかなり減らすことができます。

これからは裁量トレードの学習も進めていきます。