SBI証券のNISAで日本株を買うなら、何を選べばよいのでしょうか。毎月の積立を続けたいなら日本株の投資信託、企業を自分で選びたいなら個別株、複数の企業へ投資しながら市場価格で売買したいならETFが候補になります。
ただ、投資を始めたばかりだと、商品の名前を見ても、自分の目的に合うか判断に迷うことがあるでしょう。「日本株に投資する」という点は同じでも、企業の選び方や購入方法、お金の受け取り方には違いがあります。
私自身もSBI証券で新NISAを利用しています。投資では、配当を受け取ることよりも、企業の成長による長期的な値上がりを重視しています。この記事では、その立場も交えながら、個別株・投資信託・ETFの違いと、目的に合う商品の選び方を説明します。
まずは、どのような形で日本株を持ちたいかを考えてみましょう。制度・サービスの説明は、2026年10月23日に確認した情報を基にしています。
日本株はどの商品で持つ?
日本株に投資する方法には、企業の株式を直接買う個別株と、複数の企業などに投資する投資信託・ETFがあります。最初に選ぶのは銘柄名だけでなく、どのような方法で企業に投資するかです。
投資信託は、投資家から集めた資金をまとめて運用する商品です。そのうち、証券取引所に上場し、株式と同じように市場で売買するものをETF(上場投資信託)と呼びます。この記事では、ETFと区別するため、非上場のものを「投資信託」と表記します。
| 比較する点 | 個別株 | 投資信託 | ETF |
|---|---|---|---|
| 何を選ぶか | 投資したい企業 | 投資先や運用方針が合うファンド | 投資先や運用方針が合う上場ファンド |
| 投資先の分散 | 自分で複数企業に分ける | 商品内で複数の銘柄などに投資 | 商品内で複数の銘柄などに投資 |
| 購入方法 | 株数と注文条件を指定 | 金額指定の買付・積立など | 売買単位と注文条件を確認して注文 |
| 価格の決まり方 | 市場で変動。S株は取引条件に注意 | 申込時点では取引価格が未確定 | 市場で変動 |
| 保有後に見ること | 企業の業績や事業の変化 | 運用方針・投資先・費用 | 運用方針・投資先・費用・市場価格 |
※↔スワイプして表を見る
表は日本株を投資対象とする一般的な商品の比較です。分散の範囲や購入条件は商品ごとに異なります。
企業を自分で選ぶか、まとめて持つか
特定の企業に投資したいなら個別株、複数の企業へまとめて投資したいなら投資信託やETFが候補です。投資信託やETFでも、どの企業や業種に投資しているかは商品ごとに異なります。
例えば、日本株市場の動きを表す指数に連動する商品と、高配当の企業を選ぶ商品では、投資先や値動きが同じとは限りません。「日本株の商品だから同じ」と考えず、商品説明の投資対象と運用方針を読みましょう。
なお、SBI証券で買える投資信託は、商品名に「SBI」と付くものだけではありません。証券会社は購入する窓口、運用会社はファンドを運用する会社として分けて考えると、商品を探しやすくなります。
日本株への投資目的から選ぶ
商品選びでは、積立を続けたいのか、企業の成長に投資したいのか、配当や分配金を受け取りたいのかを整理します。目的が決まると、比較すべき商品の特徴も絞れます。

毎月の積立を続けたい
毎月決めた金額で日本株に投資したいなら、積立に対応する投資信託が候補になります。金額を指定して購入できるため、毎回の購入株数を自分で調整する手間を抑えられます。
個別企業を継続的に調べる時間を取りにくい場合は、日本株の指数に連動するインデックスファンドから仕組みを学ぶ方法があります。指数に連動するとは、一定のルールで選ばれた株式の値動きに沿う運用を目指すことです。
ただし、自動積立でも値下がりは起こります。生活費や近い将来に使うお金を確保したうえで、続けられる金額を決めてください。
企業の成長を長く見守りたい
自分で企業を調べ、その成長に投資したいなら個別株が候補です。購入後も決算や事業の変化を確認する時間が必要になります。
私は、配当収入よりも企業の成長による株価の値上がりを重視しています。企業を見るときに確認するのは、売上の成長、利益率、キャッシュフロー、そしてキャッシュコンバージョンサイクルです。
売上の伸びから事業の拡大を、利益率から売上を利益につなげる力を、営業キャッシュフローから本業で現金を生み出す状況を見ます。利益が出ていても、代金の回収が遅れたり在庫が積み上がったりすると、手元のお金が足りなくなることがあるためです。
ここで役立つのが、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)です。在庫を持つ期間と販売代金を回収するまでの期間を足し、仕入代金を支払うまでの期間を引いて求めます。仕入れから販売・回収までの流れの中で、資金がどれくらい拘束されるかを見る指標です。
CCCがマイナスなら、平均的には仕入代金の支払いより販売代金の回収が先行する構造を示します。この構造を維持できれば、売上を伸ばす際に自社で先に用意する運転資金の負担を抑えやすくなります。

海外企業の例ですが、DellとAppleの財務資料でも、その特徴を確認できます。Dellの2026年1月期とAppleの2025年9月期について、売上債権・在庫・買入債務の期首期末平均、年間売上高、年間売上原価を使い、1年を365日として簡便計算すると、どちらもCCCはマイナスになります。これは各社が公表したCCCそのものではなく、財務数値からの計算です。
計算の出典:Dell Technologiesの2026年1月期年次報告書、Appleの2025年9月期決算資料
ただし、CCCがマイナスでも、給与や研究開発、設備投資などに必要な資金までなくなるわけではありません。業種や取引条件によっても変わるので、マイナスというだけで優良企業と決めず、その理由と継続性を見ます。
私はSCM、つまり調達・生産・在庫・物流などの管理に関わるコンサルティングを通じて、企業の競争力を事業と資金の流れから考えてきました。日本株でも、売上や利益の伸びとともに、成長に必要な資金をどう確保する企業なのかを確認します。
最初からすべての指標を計算する必要はありません。まずは売上と利益の推移、営業キャッシュフロー、在庫や売上債権の増え方を決算資料で確認してみてください。企業が成長していても、購入時の株価が期待を織り込みすぎていれば投資成果につながらない場合があるため、事業の質と購入価格の両方を考えます。
配当や分配金を受け取りたい
定期的な受取りを重視するなら、配当を出す個別株や、分配方針が目的に合う投資信託・ETFを比較します。私自身は企業の成長による値上がりを重視していますが、投資資金から定期的にお金を受け取りたい方は、配当・分配方針も商品選びの基準になります。
個別株では、配当利回りだけでなく、企業の利益や現金収支、配当方針も確認しましょう。株価が下がった結果、見かけ上の配当利回りが高くなっている場合もあります。配当や分配金の金額は保証されていません。
投資信託やETFでは、分配金を受け取っても、その分だけ資産が無条件に増えるわけではありません。分配金はファンドの資産から支払われるため、受取額と保有商品の値動きを合わせて考えます。
将来に向けて資産を積み上げたいなら、現金を受け取る必要があるかも整理してください。分配を抑えてファンド内で運用を続ける商品と、分配金を受け取る商品では、お金の使い方が変わります。
NISAのどちらの枠を使う?
使う枠は、選んだ商品の対象表示で判断します。成人の年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、両方を併用できます。
非課税保有限度額は合計1,800万円、そのうち成長投資枠で利用できるのは1,200万円までです。いずれも取得金額を基に管理され、上限まで投資する義務はありません。
出典:金融庁「NISAを知る」
個別株と国内ETFは成長投資枠へ
SBI証券で日本の個別株や国内ETFを購入する場合は、成長投資枠の対象かを確認します。SBI証券のつみたて投資枠では、対象の投資信託を積み立てます。
個別株なら何でも対象になるわけではなく、整理・監理銘柄などは除外されます。ETFにも対象外の商品があるため、商品分類だけで判断せず、購入する銘柄の対象表示を見てください。
投資信託は対象表示を確かめる
日本株の投資信託には、両方の枠に対応する商品、成長投資枠だけに対応する商品、どちらにも対応しない商品があります。「日本株」「インデックス」といった名称だけでは判断できません。
毎月の積立を続けたい場合は、つみたて投資枠の対象商品から探すと整理しやすくなります。まとまった資金で対象ファンドを一括購入したい場合は、成長投資枠での購入を検討できます。
両方の枠で同じ商品を買える場合でも、分かれるのは制度上の管理です。投資先が同じなら、その分だけ投資先の分散が増えるわけではありません。
日本株の商品を比べる確認点
候補を絞ったら、投資先、保有中の費用、配当・分配金の扱いを比較します。直近の値上がり率だけでは、今後も自分が保有を続けられる商品かは分かりません。
商品数より投資先の重なりを見る
分散を考えるときは、持っている商品の本数より、中に含まれる企業や業種を見ます。名前の違うファンドを組み合わせても、同じ企業を多く保有している場合があります。
例えば、日本株の投資信託を持ちながら、そのファンドに多く含まれる企業の個別株を買えば、その企業への投資割合は増えます。これは誤りとは限りませんが、狙って割合を増やすのか、気づかずに重複しているのかで判断が変わります。
投資信託やETFは月次レポートなどで上位の組入銘柄と業種を確認し、個別株と合わせて見てください。日本株の中で分散していても、日本市場全体が下がる影響までは避けられません。
候補商品を並べるときの確認項目
- どの企業・業種・指数に投資しているか。
- すでに持っている商品と、投資先が重なっていないか。
- 値下がりした場合も保有できる金額か。
費用と分配方針を合わせて見る
投資信託やETFは、購入時の手数料だけでなく、保有中に差し引かれる信託報酬なども比較します。同じ投資対象でも費用は異なり、ETFが必ず最も安いとは限りません。
ETFでは、売買単位に加え、買いたい人と売りたい人が示す価格の差や、ファンドの資産価値と市場価格のずれにも注意します。信託報酬の低さだけで選ばず、実際に購入する価格まで確認しましょう。
投資信託の分配金を再投資する場合は、ファンド内で収益を運用し続けることと、いったん支払われた分配金で追加購入することを区別します。後者をNISAで行うと、再投資分も投資枠を使います。
「自動で再投資されるから枠を使わない」と考えず、分配方針と再投資先の設定を確かめてください。再投資先の枠が不足した場合の扱いも確認しておきましょう。
SBI証券で購入前に確かめること
購入する商品が決まったら、正式名称、対象表示、購入金額、預り区分を確認します。口座を開設していても、課税口座の区分で注文すればNISAでの購入にはなりません。
個別株やETFは銘柄コードも照合し、投資信託は似た名前の商品を取り違えていないか確認してください。注文確認画面で、希望する商品と口座区分になっているところまで確かめましょう。
少額で始めるならS株も選べる
個別株を通常の100株単位で買うと予算を超える場合、SBI証券では1株から購入できるS株も選べます。対象銘柄であれば成長投資枠を利用できます。
私の個別株投資でも、値がさ株の購入にはS株を併用しています。関心のある企業を見つけたときに、100株分の資金を一度に用意する以外の選択肢になるためです。
ただし、少額で買えても企業の業績悪化や株価下落のリスクは変わりません。S株は注文や約定の条件が通常の単元株と異なるため、取引条件を確認して利用してください。
配当の受取方法と損失の扱いを知る
国内株式の配当金をNISAで非課税にするには、証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。株をNISAで購入したことと、配当の受取設定は分けて確認してください。
また、NISAで生じた損失は、特定口座などの利益と相殺する損益通算や、損失を翌年以降に持ち越す繰越控除ができません。非課税だからといって、損失が補われる制度ではない点も押さえておきましょう。
最初の注文前にそろえること
- その商品を選んだ理由を説明できる。
- 生活費や近い将来の支出を除いた予算を決めている。
- 対象表示、残りの投資枠、購入に使える資金を確認している。
- 注文の預り区分と、配当の受取方法を確認している。
具体的な注文操作は、「SBI証券のNISA成長投資枠の買い方、投信とS株の購入手順」で説明しています。商品を選んだあとに、購入する種類に合う手順を確認してください。
よくある質問
個別株はつみたて投資枠で買えますか?
いいえ、個別株はつみたて投資枠では購入できません。対象の個別株は成長投資枠で購入します。「毎月積み立てて買うこと」と「つみたて投資枠を使うこと」は別です。
投資信託とETFはどちらが初心者向けですか?
毎月決めた金額を自動で積み立てたいなら、積立対応の投資信託が検討しやすいでしょう。市場価格を見て注文したいならETFも候補ですが、売買単位や価格のずれなど、購入時に確認する項目が増えます。
日本株のインデックスなら何を選んでも同じですか?
いいえ、連動する指数が異なれば、含まれる企業やその割合も変わります。同じ指数を目指す商品同士でも費用や分配方針が異なるため、投資対象をそろえたうえで比較してください。
SBI 日本株4.3ブルは対象ですか?
いいえ、「SBI 日本株4.3ブル」はNISAの対象外です。株価指数先物を使い、日々の日本株市場の値動きに対して概ね4.3倍程度の動きを目指す商品で、通常の日本株インデックスファンドとは仕組みが異なります。
この倍率は、長期間保有したときの利益が市場の4.3倍になるという意味ではありません。購入を検討する場合は目論見書で仕組みとリスクを確認し、NISAでの長期積立用の商品と混同しないようにしてください。
出典:SBIアセットマネジメント「SBI 日本株4.3ブル 請求目論見書」2026年6月22日版
最初から個別株・投資信託・ETFを全部買う必要はありますか?
いいえ、すべてをそろえる必要はありません。まずは目的に合う商品の仕組みを理解し、必要があれば別の商品を組み合わせます。商品を増やすときは、投資先の重複と資産全体の配分を確認しましょう。
まとめ
SBI証券のNISAで日本株を買うなら、投資目的から商品の種類を選び、そのあとに個別の銘柄やファンドを比較すると整理しやすくなります。
- 毎月の定額積立を続けたいなら、対象の投資信託を比較する。
- 企業を自分で選び、成長を追いたいなら個別株を検討する。
- 複数企業へ投資しながら市場で売買したいなら、ETFの仕組みを確認する。
- 配当・分配金だけでなく、投資先の重複、費用、元本の値動きも見る。
- 購入前にNISAの対象表示、預り区分、予算、配当の受取方法を確かめる。
候補の商品を見つけたら、「何に投資する商品か」「なぜ自分の目的に合うか」「いくらまで投資するか」を書いてみてください。説明できない部分が残ったら、その点を商品資料で確かめてから購入へ進みましょう。
個別株に関心があるなら、売上や利益の伸びだけでなく、事業で現金を生み出せているかも確認してみましょう。成長にどれだけ資金が必要なのかまで考えると、企業を見る視点が広がります。
個別株・投資信託・ETFはいずれも元本が保証された商品ではありません。非課税枠を埋めることを目標にせず、自分が理解でき、無理のない金額で保有できる商品を選んでください。