貸株サービスをご存知でしょうか?
自分の手持ちの株を証券会社に預けておくだけで、年利0.1%~10%もの金利がもらえるというサービスです。
この記事では、貸株サービスのメリットとデメリット、貸株サービスを利用するにあたっての注意点を記しています。
貸株サービスとは?
Contents
信用取引で株を空売りする場合、投資家は証券会社から株を借ります。これを貸株と呼び、投資家は証券会社に対して、貸株料を支払います。
貸株料は証券会社によって異なりますが、筆者がメインで利用しているGMOクリック証券の場合、制度信用取引で年利1.1%、一般信用取引(無期限)で0.8%です。
信用取引売り建て(空売り)の場合
株を貸す
証券会社 → 投資家
←
貸株料支払い
空売りをする場合、通常、投資家が証券会社から株を借ります。そして、株を借りる費用として、貸株料を証券会社に支払います。
貸株サービスの場合
一方、貸株サービスの場合は、個人投資家が証券会社に手持ちの現物株を貸し出します。
株を貸す
投資家 → 証券会社
←
金利支払う
たとえば、貸株金利が年率1.0%の銘柄を200万円貸し出した場合、1年間で2万円の金利が得られます。
どれくらいの金利がもらえるの?
それでは、個人投資家が証券会社に株を貸し出した場合は、どれくらいの金利がもらえるのでしょうか?
銘柄と証券会社によって大きく異なりますが、年利0.1%~年利10%の水準が多いです。
筆者がメインで利用しているGMOクリック証券の貸株サービス年利上位5社は以下のような結果となっていました。
コード | 銘柄 | 5/18~5/24 | 期間2 |
2351 | ASJ | 9.00% | 9.00% |
3906 | ALBERT | 9.00% | 10.00% |
4382 | HEROZ | 9.00% | 7.00% |
4425 | Kudan | 9.00% | 9.00% |
7048 | ベルトラ | 7.00% | 7.00% |
金利だけで株を選ぶと危険
年利10%といった凄い金利が並んでいます。
ただし、ASJのチャートを見てみると、2か月足らずの間に株価が2倍近くになっています。これから下がるだろうと思って空売りをかけている投資家が急増したため、貸株サービスの金利も急上昇していると思われます。
貸株の金利だけで選んで、株を買うと大きく値下がりするリスクもあります。
大手企業ならば、どれくらいの金利?
それでは、トヨタ自動車のような日本を代表する企業でも貸株サービスは適用されるのでしょうか?
GMOクリック証券なら、トヨタ自動車などの大手企業の株でも貸株サービスが利用できます。
ただし、貸株サービスの金利は最低水準の0.1%です。
ただ、銀行の定期預金が1年預けても0.02%ですから、最低年利0.1%であったとしても銀行定期の5倍の水準となります。
貸株サービスの場合、年利が高い株を狙うのではなく、あくまで補助的な利益と考えるべきでしょう。
貸株中でも売却できるの?
貸株中の銘柄でも、いつでも売却可能です。普通に売り注文を入れるだけで貸株サービスが終了します。
配当金や株主優待の権利はもらえるの?
貸株中は配当金や株主優待が得られません。ただし、権利確定日だけ、自動的に貸株が返却される設定があります。この設定方法を選べば、通常通り、優待・配当金をゲットできます。
証券会社により、名称や内容が多少異なりますが、基本的には以下の通り3つの方法があります。
貸株金利優先
株式の返却を行わず、貸株を継続します。
このため、貸株金利は権利確定日でも得ることができます。なお、配当金は、配当金相当額として、入金されます。
ただし、株主優待の権利は得られません。
株主優待優先
株主優待の権利確定日に、株が返却されて、株主優待の権利を受け取ることができます。
配当金は配当金相当額として入金されます。
ただし、貸株金利は株が返却されている間はもらえません。
権利取得優先
株主優待・配当の権利確定日に株が返却され、完全に株の所有権が戻ります。
このため、貸株を利用していても、現物株を保有している場合と同様に、株主優待や配当金、議決権等の株主の権利を取得できます。
ただし、貸株金利は株が返却されている間はもらえません。
配当と配当金相当の違い
配当の場合、特定口座にしておけば、源泉徴収税率は、合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。
しかし、配当金相当額は、雑所得になります。課税総所得額が330万円を超えると所得税だけで20%になってしまいますので、所得が多い人は税金面で損になります。また、配当金であれば、他に株式で損失が発生していれば、損益通算ができますが、雑所得になると、損益通算ができません。また、雑所得として確定申告をするのも面倒です。
このため、権利取得優先を選択することをオススメします。
長期保有の優遇措置がある場合、該当株数を保有しておくほうがベター。
例えば、ヤマダ電機の場合、100株保有していれば、3月末に1,000円、9月末に2,000円の合計3,000円のお買い物優待券がもらえます。
2020年5月18日現在の株価は終値で472円でしたので、優待利回りを計算すると、
(1,000円+2,000円)÷(472円×100株)=6.36%にもなります。
これだけでも凄いですが、さらに2年以上保有すれば、3月末に2,000円と9月末に500円追加されて、(1,000円+2,000円+2,000円+500円)÷(472円×100株)=11.65%にもなります。
株主優待優先、または、権利取得優先で貸株をしていれば、優待の権利が得られる日には、貸株が返却され、その時点で、継続して株主であると見なされます。
しかし、まれに、会社側が任意の日に、株主名簿の確定をすることがあります。この期間中に貸株をしていると長期保有の権利が失われてしまいます。
最低限の100株を貸株をせずに現物で保有していれば、こんな心配もありません。長期保有を前提とする場合は最低限度の株を保有し続けることをオススメします。
貸株口座の設定方法
証券会社により多少設定方法は異なりますが、貸株口座を開いて、「権利取得優先」を設定しておけば、あとは、通常通り売買するだけでOKです。これだけで配当や株主優待もゲットしながら、少ないながらも貸株金利も入ってきます。
なお、証券会社によっては信用口座を開いていれば、貸株ができない会社もあります。
貸株金利の計算方法
貸株金利の計算方法は、以下の通りです。
(1)銘柄ごとに1日当たりの貸株料(金利)を計算。
貸株数量×該当銘柄の終値×貸株金利÷365(100分の1円未満切り捨て)
(2)上記計算に基づき、全対象銘柄の貸株料(金利)を合算。1日当たりの貸株金利を1ヵ月単位で合算。
テンバガー株を長期保有した場合
株価が10倍になるような株をテンバガー株と呼びます。
最近の代表例では、MonotaRO(銘柄コード:3064)があげられます。2020年5月18日の株価は4,000円でしたが、仮に、400円の時に購入して長期保有したとしましょう。
すると実際の貸株サービスの金利と配当金利は以下のようになります。
貸株サービスの金利:4,000円(時価)×0.1%=4円
購入時株価に対する金利:4円÷400円=1%
配当利回り:17円÷4,000円=0.43%
購入時株価に対する配当利回り:17円÷400円=4.25%
通常、成長株は配当利回りは低いのですが、テンバガー株を長期保有すれば、実質的な貸株サービスの金利+配当利回りが5%を超えるようなケースもあります。
実際、MonotaROの株価は2009年12月末から100倍以上に上がっていますので、その当時に株を購入して長期保有していれば、配当利回りだけで40%/年にもなっている計算となります。
貸株サービスのメリットとデメリット
それでは、貸株サービスのメリットとデメリットをまとめます。
貸株サービスのメリット
●普通に売買するだけで貸株金利が入ってくる。
●権利優先にしておけば、配当と株主優待券もゲットできる
貸株サービスのデメリット
●貸株サービスを利用中の証券会社が倒産した場合、投資者保護基金による保護対象にはなっていないため、貸した株は戻ってきません。
バブル崩壊時やリーマン・ショックの際には大手証券会社も倒産しましたので、今後、同様の事件が発生することも考慮しなければなりません。
貸株サービスにオススメの証券会社
GMOクリック証券
貸株金利が1%以上を超える銘柄が2020年5月19日で627銘柄もあり、業界最多水準です。
また、小型株だけでなく、トヨタ自動車などのほとんどの銘柄が貸株サービスの対象になっています。
このため、ごく通常の売買をするだけで貸株サービスの金利が入ってきます。
≪GMOクリック証券≫操作性・機能性に優れた使いやすいと好評の無料取引ツールが充実!松井証券
ほとんどの証券会社では、貸株金利の最低金利を0.1%に設定しています。
ただし、松井証券では、最低金利が0.2%です。
ただし、貸株サービス対象銘柄は約1,300社と他の証券会社に比べると半分程度になっています。特に、小型株を中心に売買される場合にオススメです。
インターネットでお得に取引!松井証券