新NISAの成長枠とは?仕組み・対象商品・使い方を初心者向けに解説

新NISAの「成長枠」は、正式には「成長投資枠」と呼ばれる非課税投資枠です。年間240万円まで投資でき、国内外の上場株式やETF、REIT、一定の投資信託などを購入できます。

新NISA全体の非課税保有限度額は1,800万円ですが、そのうち成長投資枠で利用できるのは最大1,200万円です。つみたて投資枠との併用もでき、2つの枠を合わせると年間最大360万円まで投資できます。

この記事では、新NISAの成長投資枠の仕組みや対象商品、つみたて投資枠との違い、初心者が利用するときの注意点をわかりやすく解説します。

※本記事は2026年8月時点の制度に基づいています。

新NISAの成長枠とは?まず知っておきたい基本

新NISAは、投資から得た売却益や配当金・分配金が一定の条件のもとで非課税になる制度です。

通常、株式や投資信託の利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益には原則として税金がかかりません。一方で、NISAを利用しても利益が保証されるわけではなく、投資した商品の価格が下がれば元本割れする可能性があります。

まずは、成長投資枠の基本を確認しておきましょう。

項目成長投資枠の内容
年間投資枠240万円
非課税保有限度額1,200万円
非課税保有期間無期限
対象年齢日本国内に住む18歳以上
主な対象商品上場株式、ETF、REIT、一定の投資信託など
買付方法一括投資・積立投資の両方が可能
つみたて投資枠との併用可能

成長投資枠は年間240万円まで投資できる

成長投資枠では、1年間に最大240万円まで商品を購入できます。

例えば、次のような使い方が可能です。

  • 投資信託を毎月10万円ずつ購入する
  • 国内株式を年間100万円購入する
  • ETFを140万円、個別株を100万円購入する
  • まとまった資金240万円を一括投資する

年間240万円というのは、利益や年末時点の評価額ではなく、基本的に商品の買付代金を基準とした上限です。購入手数料などは含まれません。

また、使わなかった年間投資枠を翌年に繰り越すことはできません。ある年に200万円を投資して40万円を残しても、翌年の上限が280万円になるわけではなく、翌年も240万円です。

つみたて投資枠の年間120万円と併用すれば、年間最大360万円まで投資できます。金融庁のNISA制度概要でも、2つの枠を併用できることが示されています。

非課税保有限度額は成長投資枠で1,200万円まで

新NISAには、年間投資枠とは別に「非課税保有限度額」があります。

新NISA全体の非課税保有限度額は1人あたり1,800万円で、そのうち成長投資枠で保有できる金額は最大1,200万円です。

ここで注意したいのは、つみたて投資枠に600万円だけの専用上限が設定されているわけではないことです。つみたて投資枠だけを使い、年間120万円の範囲で総枠1,800万円まで投資することもできます。

一方、成長投資枠だけを利用する場合、非課税で保有できるのは最大1,200万円です。成長投資枠で1,200万円まで投資したあと、総枠の残り600万円を利用したい場合は、つみたて投資枠の対象商品を購入する必要があります。

売却すると非課税保有限度額は翌年以降に再利用できる

新NISAでは、保有商品を売却すると、その商品の取得価額に相当する非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。

例えば、成長投資枠で100万円の商品を購入し、その後150万円で売却した場合、翌年以降に再利用できるのは売却額の150万円ではなく、取得価額の100万円です。70万円に値下がりしてから売却した場合も、取得価額である100万円分の枠が空きます。

ただし、売却した年の年間投資枠がその場で復活するわけではありません。一度使った年間投資枠は、同じ年には再利用できないため注意しましょう。

売却後の枠は翌年以降に復活しますが、再投資できる金額は各年の年間投資枠である240万円までです。詳しい計算方法は、日本証券業協会のNISAに関するFAQでも確認できます。

成長枠では何が買える?対象商品をわかりやすく解説

成長投資枠では、つみたて投資枠よりも幅広い商品を購入できます。

「成長」という名前が付いていますが、成長株やリスクの高い商品だけを買うための枠ではありません。対象条件を満たしていれば、長期運用向けの投資信託を購入することもできます。

国内株式・外国株式などの個別株

成長投資枠では、証券取引所に上場している国内株式を購入できます。

企業の成長による値上がり益を狙うだけでなく、配当金や株主優待を目的とした投資にも利用できます。利用する証券会社が対応していれば、米国株などの外国株式も購入可能です。

ただし、購入できる市場や銘柄、売買手数料、為替手数料などは金融機関によって異なります。個別株を買いたい場合は、NISA口座を開設する前に取扱商品を確認しておきましょう。

なお、国内上場株式やETF、REITの配当金・分配金をNISAで非課税にするには、受取方法を原則として「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。銀行口座や郵便局で受け取る方式を選ぶと課税される場合があります。

投資信託・ETF・REITなど

成長投資枠では、一定の条件を満たす次のような商品も購入できます。

  • 国内外の株式などに投資する投資信託
  • 株価指数などへの連動を目指すETF
  • 不動産に分散投資するREIT
  • 株式や債券などを組み合わせたバランス型投資信託

つみたて投資枠の対象になっている投資信託の中には、成長投資枠でも購入できる商品があります。そのため、成長投資枠を使って、つみたて投資枠と同じ投資信託を追加購入することも可能です。

ただし、対象商品であっても、すべての金融機関で購入できるとは限りません。投資信託やETF、REITの対象商品は、資産運用業協会の成長投資枠対象商品一覧や利用する金融機関の公式サイトで確認しましょう。

成長投資枠でも買えない商品がある

成長投資枠は対象商品が幅広いものの、すべての金融商品を購入できるわけではありません。

主に次の商品が対象外です。

  • 上場廃止が決まっている整理銘柄
  • 上場廃止の可能性がある監理銘柄
  • 信託期間が20年未満の投資信託
  • 毎月分配型の投資信託
  • デリバティブ取引を用いた一定の投資信託
  • 国債や社債などの債券
  • 公社債投資信託
  • 預貯金、FX、暗号資産など

成長投資枠は、長期的な資産形成を支援する制度です。そのため、長期保有に適さない可能性がある商品や、過度に投機的な商品などは対象から除外されています。

つみたて投資枠と成長枠の違い

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。どちらも運用益が非課税になる点は共通していますが、年間投資枠や対象商品、購入方法が異なります。

年間投資枠と対象商品の違い

主な違いは次のとおりです。

比較項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
対象商品長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託・ETF上場株式、ETF、REIT、一定の投資信託など
購入方法定期・継続的な積立投資積立投資・一括投資
非課税保有期間無期限無期限
非課税保有限度額NISA全体で1,800万円まで利用可能総枠1,800万円のうち1,200万円まで
向いている使い方少額からの長期積立投資額の上乗せ、個別株やETFへの投資

つみたて投資枠は対象商品が絞られているため、投資初心者でも比較的選びやすい点が特徴です。

成長投資枠は選択肢が多い一方、商品のリスクやコストを自分で比較する必要があります。

成長投資枠とつみたて投資枠は併用できる

2つの枠は、どちらか一方を選ぶ制度ではありません。同じNISA口座の中で併用できます。

例えば、次のような使い分けが可能です。

  • つみたて投資枠で毎月5万円の投資信託を積み立てる
  • 成長投資枠で同じ投資信託を追加購入する
  • 成長投資枠で国内株式やETFを購入する
  • ボーナスなどの余裕資金を成長投資枠で一括投資する

つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできません。1年間に利用できるNISA口座は1つの金融機関に限られます。

初心者はどちらから使うべき?

投資経験が少ない人は、まずつみたて投資枠から始める方法が考えられます。

つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した商品があらかじめ絞り込まれています。少額から定期的に購入できるため、購入時期が一度に偏ることも避けやすくなります。

成長投資枠は、次のような場合に追加で利用するとよいでしょう。

  • つみたて投資枠の年間120万円を超えて投資したい
  • 個別株やREITを購入したい
  • まとまった余裕資金を投資したい
  • 自分で商品や購入時期を選びたい

ただし、初心者だから成長投資枠を使ってはいけないわけではありません。成長投資枠でも、分散された投資信託を積み立てることができます。

重要なのは、枠の名前ではなく、目的や運用期間に合った商品を選ぶことです。

新NISAの成長枠を使うときのポイントと注意点

成長投資枠を有効に活用するには、年間240万円を埋めることよりも、無理なく運用を続けられるかを考えることが大切です。

成長枠を無理に使い切る必要はない

年間240万円は、投資しなければならない金額ではなく、あくまで上限です。

「枠を余らせるともったいない」と考え、生活費や近いうちに使う予定のお金まで投資するのは避けましょう。NISAで購入した商品も値下がりする可能性があり、必要なタイミングで売却すると損失が確定することがあります。

まずは、日常生活や急な出費に備える資金を確保したうえで、当面使う予定のない余裕資金から投資することが基本です。

長期・分散を意識して商品を選ぶ

成長投資枠では個別株に投資できますが、1社や1つの業種に資金を集中させると、その企業の業績悪化などによる影響を大きく受けます。

投資先の国・地域、業種、資産などを分散すれば、特定の投資先が下落したときの影響を抑えやすくなります。

また、短期間での値上がりだけを期待して売買を繰り返すより、長期的な資産形成を前提に商品を選ぶことがNISA本来の目的に合っています。金融庁も、長期・積立・分散投資を資産形成の基本として紹介しています。金融庁「資産形成の基本」

自分の投資目的に合わせて2つの枠を使い分ける

2つの枠に決まった使い分け方があるわけではありません。自分の目的や投資経験に合わせて考えましょう。

代表的な使い方には、次のようなものがあります。

シンプルに運用したい場合

つみたて投資枠を中心に、分散された投資信託を無理のない金額で積み立てます。成長投資枠は使わなくても問題ありません。

年間120万円を超えて積み立てたい場合

つみたて投資枠を利用し、さらに投資できる余裕があれば、成長投資枠で同じ投資信託などを追加購入します。

個別株にも投資したい場合

資産形成の中心を分散された投資信託とし、成長投資枠の一部で個別株を購入する方法があります。個別株に資金を集中させすぎないことがポイントです。

配当収入を得たい場合

成長投資枠で配当株やETF、REITを保有する方法があります。配当利回りだけでなく、業績、財務状況、減配リスク、手数料なども確認しましょう。

NISA口座の損失は損益通算できない

NISA口座で損失が出ても、特定口座や一般口座の利益と相殺する「損益通算」はできません。損失を翌年以降に繰り越す「繰越控除」も利用できません。

例えば、NISA口座で20万円の損失が出て、特定口座で20万円の利益が出ても、両者を相殺して税金を減らすことはできないということです。

利益が非課税になるメリットだけでなく、損失が税務上利用できない点も理解しておきましょう。

新NISAの成長枠に関するよくある質問

成長投資枠だけを利用できますか?

利用できます。ただし、成長投資枠だけで保有できる金額は最大1,200万円です。新NISA全体の1,800万円を使い切りたい場合は、残りをつみたて投資枠で投資する必要があります。

つみたて投資枠と同じ投資信託を購入できますか?

その投資信託が成長投資枠の対象であり、利用する金融機関が取り扱っていれば購入できます。

成長投資枠でも積立投資はできますか?

できます。成長投資枠は一括投資だけでなく、毎月一定額を購入する積立投資にも利用できます。

成長投資枠で購入した商品はいつでも売却できますか?

原則としていつでも売却できます。ただし、売却によって空いた非課税保有限度額を再利用できるのは翌年以降です。

年間240万円を使い切らなかった場合、翌年に繰り越せますか?

繰り越せません。翌年の年間投資枠も240万円です。

まとめ

新NISAの成長投資枠は、年間240万円まで投資でき、非課税保有限度額1,800万円のうち最大1,200万円を利用できる制度です。

国内外の上場株式やETF、REIT、一定の投資信託など、つみたて投資枠よりも幅広い商品を購入できます。つみたて投資枠との併用により、年間最大360万円まで投資することも可能です。

ただし、年間240万円を無理に使い切る必要はありません。投資初心者は、つみたて投資枠で長期・積立・分散投資を始め、目的や資金に応じて成長投資枠を追加する方法も選択肢になります。

NISAは税負担を抑えながら資産形成に取り組める制度ですが、元本保証はありません。商品のリスクや手数料を確認し、生活に必要な資金を確保したうえで、無理のない範囲で利用しましょう。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。制度や対象商品は変更される可能性があるため、実際に利用する際は金融庁、資産運用業協会、利用する金融機関などの最新情報をご確認ください。