トレンドフォロー型売買という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?

FXでは、よく使われる言葉なのですが、日本の株式市場ではあまり聞かれません。
ただ、経済に詳しくない株の初心者でも使える手法であり、これから株を始めようとする人には、とっておきの方法です。

この記事では、トレンドフォロー型売買について書いています。

トレンドフォロー型売買とは?

トレンドフォロー型売買とは、相場が上昇トレンドに入れば、買いから入る。下降トレンドに入れば、売りから入る、という手法です。

つまり、トレンドが発生すれば、それをフォローする、その流れについていくということで、トレンドフォロー型売買と言われています。

日本の昔の相場師は、相場の流れの順方向についていくということで、この売買手法のことを順張りと呼んでいました。

また、トレンドフォロー型売買とは逆に相場が買われすぎの時に売り向かい、売られすぎの時に買い向かう売買手法をカウンタートレードと呼びます。

日本では、逆張りと呼んでいました。

トレンドフォロー型売買のメリット・デメリット

トレンドフォロー型売買のメリット

相場の流れに乗っていく手法なので心理的にやり易い

カウンタートレードの場合は、相場が急落し、市場参加者のほとんどが弱気になっているときに買い向かわなければなりません。新聞やネットのニュースを読んでも悲観一色になっています。

こんな時に、株を買うのは、特に、初心者にとって、心理的なプレッシャーがのしかかります。

トレンドフォローならば、相場が上昇し始めて、多少なりとも明るいニュースが出てきた時に買いますので、その分、心理的なプレッシャーが減ります。

大きな値幅取りを期待できる

大きなトレンドが発生した場合は、10日間連続上昇が続くといったケースも発生します。こんな場合は、たった1回の売買だけで大きな利益が入ってきます。

トレンドフォロー型売買のデメリット

保ちあいの際には、勝率が低くなる。

トレンドが発生している間はいいのですが、株価が狭い範囲で上下動する保ちあいの場合は、負けが連続します。

数回負けが連続すると、「次は大丈夫だろうか」と疑心暗鬼になります。

トレンドフォロー型売買の場合、勝率そのものは1/3程度と言われていますので、過去データを使って、十分に検証を行い、売買ルールに確信が持てた段階で、売買を始めるべきです。

ただし、大きなトレンドが発生した場合は、それまでの負けを一気に取り戻せます。

トレンドの変換点では、利益をはきだしてしまう。

相場の天井を捕らえられればいいのですが、そんな手法は存在しません。

トレンドフォロー型の場合、買いから入った場合は、天井を過ぎて、下降トレンドに入った時点で売ります。

売りから入った場合は、底を過ぎて、上昇トレンドに入った時点で買い戻します。

したがって、どうしてもいくらか利益を取り逃してしまいます。

ただし、相場には、
頭と尻尾はくれてやれ
という格言があります。

これは、どうやっても天井や底で売買することは不可能だということ。
そして、その中間の値幅を取るだけで、十分に利益が出ることを示唆しています。

トレンドフォロー型売買を勧める理由

アメリカの多くの成功しているヘッジファンドが採用している手法である

ヘッジファンドとは、様々な手法を駆使して、積極的な運用をしかけるファンドのことです。

大手金融機関が運用している投資信託の場合、公募によって、資金を集めますが、ヘッジファンドの場合は、主に、機関投資家や富裕層を顧客としています。一般的に、ハイリスク・ハイリターンのイメージが強いファンドです。

ヘッジファンドを運用しているファンドマネージャーは、ゴールドマンサックスなどの外資系超一流金融機関でファンドマネージャーしていた人のうち、特に、優秀な人たちが、独立してヘッジファンドを始めるケースが多いです。

そして、最近では、これらの多くのヘッジファンドがコンピューターを利用したトレンドフォロー型の売買手法を取り入れていると言われています。

最近は、年に数回、ダウや日経平均が1日で1,000ドル、あるいは、1,000円前後も下げることがあります。

これは、多くのヘッジファンドが似たようなトレンドフォロー型の売買システムを採用しており、あるポイントを超えると、下降トレンドに移行したと判断して、売りが殺到するからだと言われています。

もちろん、ヘッジファンドが毎年必ず利益を上げるわけではありません。

しかし、日本株式の外国人持ち株比率を見ると、1990年代前半には10%未満だったものが、最近では、30%を超える状況になっています。

これは、優秀な欧米のファンドが日本市場でも利益を上げ、その利益を再投資していると考えるのが自然でしょう。

まだまだ、トレンドフォロー型売買を採用している日本の個人投資家は少ないのが現状です。
成功しているファンドや投資家と同じ売買手法を採用されることをオススメします。

トレンドフォロー型売買が最も安定した利益を出すと言われている

コンピューターを利用した売買システム(システムトレード)の中で、トレンドフォロー型売買が最も安定した利益を出すと言われています。

かなり高額な本ですが、こちらの本「トレーディングシステム徹底比較」では、39種類の売買システムが検証されています。

検証結果では、9割以上の売買システムが利益を生まないとのことですが、その中で、トレンドフォロー型が最も安定的に利益を生むとのことです。

そして、これは、多くのアメリカの成功した投資家も同意見です。

トレンドフォロー型売買の始め方

証券口座を開設する

証券会社に口座を開設すれば、各種チャートも見れます。
また、株価データもダウンロードできますので、後述する売買ルールの作成に、すぐに、取り掛かれます。

私は、GMOクリック証券をメインに使っていますが、各種手数料も最安値であり、オススメの証券会社です。

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トレンドフォロー型売買システムを構築する

口座が開設できれば、早速、トレンドフォロー型売買システムを構築しましょう。

移動平均線を使おう

売買システムを構築すると言っても、プログラミングの知識が必要なわけではありません。

Excel等の表計算ソフトが利用できれば、誰でもトレンドフォロー型売買システムというか、ルールを構築できます。

多くのトレンドフォロー型売買では、移動平均線を何らかの形で利用しています。
他にも多くの指標がありますが、初心者にとっては、最も、これが簡単な方法だと思います。

移動平均線とは、株価の過去〇日間の終値の平均価格を算出し、その平均価格を折れ線グラフで表したものです。

たとえば、5日移動平均線ならば、

(5日間終値合計)÷5日=5日間の平均価格となります。

そして、5日間移動平均線25日間移動平均線比較し、5日移動平均線が25日移動平均線の上にある場合は、上昇トレンド。その逆の場合は、下降トレンドと判断します。

また、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜くことをゴールデンクロスといい上昇トレンドが始まったサイン。

短期の移動平均線が長期の移動平均線を下抜くことをデッドクロスといい下降トレンドが始まったサインとされています。

何日間の移動平均線を採用するがいいかについては、様々な意見があります。

日本経済新聞では、5日25日移動平均線がよく記事にあがっています。

しかし、市場や銘柄によっても違うため、ご自身が狙っている銘柄で検証されることをオススメします。

移動平均線を表示しよう

ほとんどの証券会社のチャートでは、通常のローソク足以外に、各種指標を表示できるようになっています。

まずは、チャート上に5日移動平均線や25日移動平均線を表示してみましょう。

チャートを確認しよう

チャートの確認事項としては、以下のようなものが上げられます。

  • 5日移動平均線が25日移動平均線を上回ったところ(ゴールデンクロス)で購入し、その逆のパターンで売れば、利益が出たか?
  • 終値5日移動平均線を上回ったところで購入し、その逆のパターンで売れば、利益が出たか?
  • 終値25日移動平均線を上回ったところで購入し、その逆のパターンで売れば、利益が出たか?

移動平均線の日付を5日や25日でなく、他の日数に変更すれば、様々な検証ができます。
あるいは、日足ではなく、週足を使うこともできます。

最近では、移動平均線だけではなく、ストキャスティクスリンジャーバンドMACDRSI様々な指標がありますが、まずは、基本となる移動平均線を使って、売買システムを構築しましょう。

トレンドフォロー型売買は、本当に儲かるの?

そうは言っても、トレンドフォロー型売買は、本当に儲かるのか?
疑問に思われる方もあるでしょう。

この記事を書くにあたって、日本を代表する企業であるトヨタ自動車のチャートを30秒ほど眺めて売買ルールを作成し、検証してみました。

検証は、トヨタ自動車の週足を使って、2009年7月6日~2019年1月28日までの10年弱の期間で検証しました。

売買ルール

  • 週足で終値が25週移動平均線を上回ったら、翌週月曜日に買い
  • 週足で終値が25週移動平均線を下回ったら、翌週月曜日に売り

25週が適当なのかどうか、全く検証せずに、当てずっぽうで、単純に上記のルールで検証しました。

結果は以下の通り

利益 5,412円
勝ち回数 17回
負け回数 30回
勝率 36.17%
勝ち金額合計 10,498円
負け金額合計 -5,086円
勝ち金額/回 618円
負け金額/回 -170円
期待値 115
当初資金 349,500円
最終 890,700円

(手数料・税金考慮せず)

結果、10年間で資金が3,495円から2.5倍に増加しました。
年利約10%程度です。

また、勝率も一般的に言われている1/3程度になりました。

上記の売買ルールは、チャートを30秒ほど見て作成したルールです。

もう少し条件を細かく設定し、検証を重ねれば、年利25%30%程度の売買ルールを見つけることは、それほど難しいことではないでしょう。

トレンドフォロー型売買を実践するうえでの注意点

このように、トレンドフォロー型売買は、投資経験や経済の知識に関係なく、誰でも利益を得られる可能性がある売買手法です。

ただし、実施に当たっては、いくつかの注意点があります。

できるだけリズムのある動きのある銘柄を選択すること

売上高が1兆円を超えるような大企業であっても、チャートを見ると、やけに凸凹のある動きを見せている銘柄があります。

こういった銘柄は動きがランダムなので、トレンドフォロー型売買に向きません。

チャートを見て、滑らかな動きをしている銘柄を選びましょう。

数か月、ペーパートレード(つもり売買)をしてから、株を買う。

期待値がプラスの売買ルールが見つかり、
売買サインが出ると、
すぐに、売買をしたくなります。

ただし、負けが続くと、すぐに、その売買ルールに従うことが難しくなります。

しばらくは、実際のお金を使わずに紙の上で売買を続け(ペーパートレードやつもり売買と呼ばれる)、実際に利益が出ると確信できたあとに、実際の売買をはじめましょう。

本格的に売買システムを組みたい人のために

さらに、本格的に売買システムを組みたい人には、市販ソフトの利用をオススメします。
こちらのソフトは、トライアル版完全無料です。

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