株式投資を始めてから、ぶつかる問題にテクニカル分析とファンダメンタル分析のどちらが大切という問題があります。

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テクニカル分析とは?

テクニカル分析とは、ローソク足チャート、移動平均線、MACDといった指標を見て、今後、株価が上昇しそうだとか、下落しそうだといったことを判断する分析です。

一日中チャートを眺めているデイトレーダーは、ほぼ全員がテクニカル分析派と言ってもよいでしょう。

例えば、チャートを見て、昨日の高値を抜き、勢いがついてきたから買う。あるいは、10日移動平均線を抜いてきたから買うといったやり方です。

ファンダメンタル分析とは?

もう一方のファンダメンタル分析とは、企業の業績や財務諸表を見て、その将来性を分析する方法です。

ファンダメンタル分析の代表派が、世界一の大富豪と言われるウォーレン・バフェット氏です。

また、数千億や数兆円もの巨額の資金を運用している機関投資家は、まず、ファンダメンタル派と言っていいでしょう。
チャートの形がいいから、この会社の株を100億円購入しますと言っても、まず、社内で決裁がされないでしょうから。

テクニカル分析とファンダメンタル分析、個人投資家にとっては、どちらがいいの?

さて、それでは、個人投資家が勉強するとすれば、どちらから勉強したほうがいいのでしょうか?あるいは、どちらが適しているのでしょうか?

結論から言えば、どちらの手法を使っても巨額の利益を出している人はいます。

ですから、各人に合ったやり方をすればいいということになりますが、この記事では、ファンダメンタル分析のメリット・デメリット、テクニカル分析のメリット・デメリットを記しています。

ファンダメンタル分析のメリット

ファンダメンタル派の言い分としては、「長期的には、株価は業績」を反映するというものです。

上場しても、すぐに、赤字に転落し、株価が低迷する株もあれば、ソフトバンクやユニクロ(ファースト・リテイリング)のように、超巨大企業に成長する株もあります。

例えば、ヤフーは1997年11月に上場していますが、当時の安値は154万円だったそうです。
その後、株式分割を何ども繰り返しましたので、上場当時に1株を購入し、現在まで保有し続けていると、819,200株となり、資産総額は154万円から約4.3億円にまで上がっているということです。

個別株式だけではなく、日経平均についても同様のことが言えます。
2015年10月-12月期から2017年10月-12月期まで、約2年間、実質経済成長率は前期比プラスを続けました。そして、この間、株価も15,000円から24,000円まで約60%も値上がりしました。

これらの意見を見聞きすると、やはり投資においては、ファンダメンタル分析が重要なのだという意見に納得です。

ウォーレン・バフェットのファンダメンタル分析

世界一の投資家といえば、なんと言ってもウォーレン・バフェット氏です。

2018年の総資産は約8兆9000億円と、世界第三位につけています。

ちなみに、世界第一位はアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏:11兆9千億円。
第二位はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏:9兆6千億円です。

投資で、バフェット氏ほどの資産を築いた人は他にいません。
トップテンに入っている他の大富豪たちは全てビル・ゲイツ氏のような大企業の創業者ばかりなのです。

話は変わりますが、経営コンサルタントがよく使う手法にベストプラクティクス分析という手法があります。
これは、成功している企業の経営手法を分析し、そのやり方を真似ることで、一気に業績を上げようとするものです。

例えば、今なら、ネットビジネス・小売業で一番勢いのある会社はアマゾンです。

・アマゾンは、どんな物流システムを持っているのだろうか?
・在庫を抑えながら、欠品を抑制するには、どういった仕組みを使っているだろうか?

といったことを分析し、自社でも同様の仕組みを導入することで、一気に業績を向上させることができます。
これが、ベストプラクティクス分析です。

もちろん、この方法は、株式投資にも使えます。

じゃあ、誰のやり方を真似るのがいいのかということになりますが、単純に考えれば、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏のやり方を真似るのが一番いいということとなります。

それで、私もウォーレン・バフェット氏のやり方を少しでも真似ようと思って、バフェット関連本を何冊も読みました。

特に、オススメなのが、バフェットの銘柄選択術です。

本の骨子を少しお話しすると、過去10年間安定して成長してきた企業ならば、今後の10年間も安定して成長する可能性が高いから、そのような会社の株を買いなさいということです。

しかも、ブランド力が強い会社であれば、価格競争に巻き込まれることなく、高い利益率を維持していられるとのことです。

そして、財務諸表から、これから10年後の予想株価を算出したうえで、銘柄を選定するという方法です。

それまで、とても株価の予想などできるものではないと思っていましたので、大変勉強になりました。

例えば、ウォーレン・バフェット氏が保有していた有名な銘柄といえば、コカ・コーラであったり、新聞社のワシントン・ポストであったりと強いブランド力を持っている会社が有名でした。

また、今年(2018年5月)には、バフェット氏がApple株をなんと1兆円以上も買い越したと話題になり、そのニュースだけで、Apple株は1日で4%近くも急騰しました。

Appleと言えば、そのブランド価値が7年連続で1位、ブランドの価値だけで、18兆円もの価値があると言われています。
さらに、時価総額も、100兆円を突破しそうな勢い。
また、バフェット氏の好きな自社株買いについても、Appleは1,000億ドルもの自社株買いを発表しています。

このAppleも一時は倒産の噂もあったのですが、2006年からのiPodの爆発的なヒットの後、iPhoneの世界的な普及によって、時価総額世界一の会社となりました。

まさに、バフェット氏好みの会社になったわけです。

ファンダメンタル分析のデメリット

ただ、ファンダメンタルが万能というわけではありません。

短期的な株価変動と業績の関係性が薄い

確かに、長期的に見れば、業績は株価に反映されるのですが、短期的には、業績が良くても急落したり、その逆もあるのです。

2018年4月には、SONYの株価が5,400円から5,073円と1日で6%も急落しました。
2018年3月の業績自体は、7,350億と過去最高を記録し、2019年3月の業績も過去最高を維持できる予想だったにも関わらず、アナリストの予想よりも低い数字だということで急落したのです。

アップルの株価も市場環境の変化を盛り込んだものとは言い難い数字です。
2018年1-3月期は中国でスマホ市場が20%も落ち込んだとのニュースが出ていました。
また、iPhone Xも価格が高すぎて、売れ行き不振のニュースが流れていました。

もちろん、すぐに、市場が盛り返すかもしれませんが、悪いニュースがあるなか、「バフェット氏が大量購入した」というニュースだけで4%も急騰するのです。

個人投資家では、詳細な情報をつかむのが困難な場合がある。

アップルといえば、アップルに大量の部品を供給している村田製作所という会社があります。

こちらの会社も売上高が1兆2000億円もあり、しかも、経常利益も1,670億円もあるという超優良企業です。

そして、2018年1月発売の会社四季報を見ていると、さらに、2019年3月は、経常利益が2400億円を超えるという予想が出ていました。

経常利益が50%近くも増えるなら、さぞかし、株価は大幅上昇するだろうと思っていたのですが、逆に、株価は1月の16,000円から下がり続け、3月には一時、14,000円を割ってしまいました。

業績がこれだけアップするのに、株価がどんどん下がり出すのは、何か理由があるのではないかと思っていました。

すると、ある日の日経新聞に経常利益は約730億円も増える見込みであるが、その要因の90%以上は、会計基準の変更によるもの、というニュースが出ていたのです。

それまで、村田製作所は、減価償却費を定率法で計算していましたが、来年度から定額法に変更する。これにより、経常利益が670億円増加するとの記事でした。

つまり、営業活動による増益は70億円のみ。しかも、スマホ市場が衰退してきているということですから、70億円増加するかどうかも微妙なところです。

こういう理由で、株価が下げてきているのかと納得していたのですが、なんと正式に決算発表した翌日の株価は、670円高で4.64%もアップし、久々に15,000円台を回復してきました。

つまり、個人投資家が新聞やニュースなどから、ファンダメンタルを分析するだけでは、短期的な株価変動は読めないのです。

成長株は株価変動が激しい

バフェットの銘柄選択術を読んだ後、会社四季報を見て、過去5年間安定成長している銘柄を約30ほど選び出しました。
これらの銘柄に投資すれば、バフェット氏のように、年間20%という高い利率を維持できると考えたのです。
その時には、私も完全にファンダメンタル派に転向したつもりだったのですが、念のため、チャートを見ました。

すると、驚いたことがあります。
年率25%や30%といった勢いで成長している株は、まだ、会社の規模も小さく、株価が乱高下するのです。

下のチャートは、インベスターズクラウドというインターネットを活用した不動産会社のここ2年間のチャートです。
毎年、30%以上の成長を続けている会社であり、ここ2年間で株価は順調に上がってきています。

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しかし、やはり下げる時は、1ケ月で30%近く下がっています。
日経平均が急落するタイミングと重なれば、50%程度の価格変動は考慮しなければならないでしょう。

つまり、成長株投資といえども買うタイミングによっては、買ってから、すぐに、30%程度下がってしまう危険性もあります。

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もちろん、バフェット氏のように、10年単位で株を保有するつもりならば、株価は業績に反映します。
過去5年間連続して高い成長を続けている会社ならば、次の5年間も高い成長が期待できるでしょう。
ただし、もちろん、今年から成長がストップする可能性もあります。

それに、成長が続くとしても、一般の個人投資家が買った直後に30%や50%も下がれば、その下落に耐えられるでしょうか?

ファンダメンタル分析主体で投資するなら、やはり長期投資を前提とすべきです。
また、いくら長期投資といっても、購入直後に数十%も下がるのはストレスが溜まりますから、チャートも確認すべきです。

テクニカル分析のメリット

さて、もう一方のテクニカル分析ですが、テクニカル分析派の主張としては、上述しましたように、短期的には、業績と株価は必ずしも連動しない。したがって、チャート等を確認し、自分にとって有利な場面で仕掛けるべきであるというものです。

テクニカル分析のメリットとしては以下のような利点があげられます。

短期的に利益を上げられる

もちろん、テクニカル分析を活用すれば、誰にでも利益が上げられるわけではないのですが、長期投資と違って、短期間で結果が出せる可能性があります。

すぐにでも利益を上げたい個人投資家にとっては、大変なメリットです。

練習によって上達する可能性がある

テクニカル分析とは、いわばチャートのパターンを読み取ることです。
したがって、正しい方法で練習を重ねれば、誰でも一定のレベルまで、上達する可能性があります。

テクニカル分析のデメリット

保ち合い時期においては、損切が連続して発生する。

良きにしろ、悪きにしろ、すぐに結果が分かるのがテクニカル分析の特徴ですが、最も困るのがこれです。

私も一時期様々なチャートやMACDなどの指標を研究しました。
ところが、どの銘柄にでも役立つ魔法のチャートというものはないのです。

テクニカル分析の代表的なやり方では、株価が25日移動平均線を上抜けば買いを入れるといったルールがあります。
そして、そのタイミングで購入すれば、利益が出るというものです。

私も、何度か、このルールに沿って、売買をしました。
ところが、保ち合いの時期では、頻繁に売買サインが出るのですが、その都度、損失となるのです。

つまり、
1日の終値で、25日移動平均線を上抜いた ⇒ 買い
2日の終値で、25日移動平均線を下抜いた ⇒ 売り
4日の終値で、25日移動平均線を上抜いた ⇒ 買い

このように、ほとんど毎日のように売買サインが出て、その都度、反対売買を行い、その都度、損切決済となる。いわゆるダマシというケースですが、こういった時期が続くケースがあるのです。

ところが、これに関しては、私は大きな勘違いをしていました。

テクニカル分析というのは、チャートの見方に上達することだと思っていました。もちろん、チャートを見て、代表的な勝ちパターンを見つけることは重要なのですが、全ての銘柄で、必ず勝てるテクニカル指標などあるはずがありません。

もし、あれば、あっという間に大金持ちになってしまいます。

最近、ITの分野では需要予測システムがよく売れているそうです。
これは、過去の受注実績や販売実績から将来の需要を予測することで、在庫を減らしながら、かつ、欠品も減らそうというシステムです。アマゾンのような大手流通企業が採用しています。

さて、この需要予測の手法にも統計学的に様々な方法があります。
モンテカルロ法や最小二乗法など。

そして、どの手法がいいかというわけではなく、商品Aに関しては、最小二乗法を使ったモデルがよく当たり、商品Bに関しては、モンテカルロ法を使ったモデルがよく当たるといったように、コンピュータが自動的に商品ごとに、どの需要予測モデルを使うかといったことを選択するそうです。

株式チャートの場合に、こういったシステムがあるのかどうかは分かりませんが、やはり銘柄ごとに、この銘柄の値動きはMACDとよく一致する、逆に、こちらの銘柄は、単純移動平均線とよく一致する、この銘柄は突発的な動きが多く、テクニカル分析には合わない、といった傾向があります。

つまり、魔法のチャートといったものがあるわけではなく、銘柄を限定し、チャートの種類も絞ることで、ある程度、値動きが読めるようになるといった程度のものです。

テクニカル分析よりもトレードルールの設定

さらに、それより重要なのが、リスク管理や損切の基準、さらには、期待値の確認です。
自分のトレードルールが確立できれば、期待値を計算できるようになります。

例えば、10回売買をして、4回は利益になったが、6回は損をした。

ただし、「損小利大」とよく言われるように、損切基準を厳しく設定したおかげで、売買1回当たりの損失は5万円/回。逆に、利益は20万円/回。

この結果、期待値は、

20万円×勝率40%-5万円×負ける確率60%=5万円/回

となり、売買1回につき、約5万円の利益が期待できるようになったというものです。

つまり、テクニカル分析で継続して利益を出している人は、テクニカル分析そのものよりも資金管理や損切基準の設定など、トレードのルールを確立しており、さらに、そのトレードルールがプラスの期待値を持っていることで、継続的に利益を積み重ねているのです。

アメリカにテクニカル分析を主体として売買をするタートルズというトレーダー集団がありました。
この集団は、年率80%という信じられないような成績を4年間に渡って残したということですが、それでも、勝率はわずかに35%だったと言います。

それでも、年率80%という驚異的な数字が残せたのは、「損小利大」を徹底したからです。

いくらテクニカル分析を活用しても、損切基準を厳しく設定すれば、勝率が低くなるのは止むを得ません。

逆にいえば、テクニカル分析を利用した場合、保ち合いの時期は連敗につぐ、連敗も覚悟しておく必要があります。

 

もちろん、テクニカル分析主体の人にとっても、大きな流れを見るためには、ファンダメンタル分析は役立ちます。

日本経済全体が下降トレンドに入っている場合は、自分の売買システムが買いのサインを出しても、見送ればいいわけです。

そして、新聞やニュースをよく読むことで、ある程度の景気動向は分かるようになってきます。

トレードで短期的な利益を出そうとすれば、まずは、チャートを見ることから、始めてはいかがでしょうか?

証券会社に無料で口座を作るだけで、すぐに、高機能なチャートが見れるようになります。

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