個人投資家が勝てない理由とは?
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長期的には個人投資家の90%以上が損失を出していると言われています。
これは、多くの個人投資家がプロのような規律のある売買をせず、ギャンブル的な売買をするからだと言われています。
それでは、規律がある売買とは何かということですが、実は、それほど複雑なものではありません。実施すべきことは2つ。
- 自分の売買ルールを構築する
- 構築した売買ルールを遵守する
この二つが実施でき、継続的に改良を続けることで、毎年着実に資産を増やせる勝ち組投資家に変わっていけます。
この記事では売買ルールの作り方について述べています。
売買ルールとは?
そもそも売買ルールを意識したこともない方も多いでしょう。
雑誌やインターネット、あるいは、対面セールスの証券会社を使っているならば証券会社の営業マンの推薦銘柄を、勧められた時期に買うという投資家も多いことでしょう。
これで、コンスタントに利益を上げられるならば、申し分ありません。しかし、この方法では、たまに当たりがあるのですが、毎年利益を積みあげられるようにはなりません。
筆者もシステムトレードをするようになってから、ようやくコンスタントに利益を上げられるようになりました。
ただ、今でも、まだ、急に「この銘柄が急上昇する」と根拠のない思い込みが生まれ、新規売買を無性にしたくなる時があります。
コンスタントに利益を積みあげられるようになるためには、最低限、以下の5つのルールが必要です。
- 銘柄選定
- 仕掛け(エントリー)
- 損切(ストップロス)
- 手仕舞い(イグジット)
- 資金管理(マネーマネジメント)
銘柄選定のルール
株式投資の場合、銘柄選定方法が重要になります。
ただし、「ガンの新薬が開発されたらしい」などといったニュースに惑わされることなく、何らかのルールが必要です。
例えば、成長株を中心に売買するならば、
過去5年の平均売上高成長率が25%以上、かつ、今年度の業績予想も売上高の伸びが15%以上見込まれている株
といったルールを作ります。
もちろん、全ての基準を計算式で表せないかもしれませんが、自分なりの銘柄選定基準を持ち、かつ、注目銘柄リストを保有しておくことで、余計なニュースに惑わされません。
あるいは、株ではなく、投資先をFXや日経平均先物、金などの商品先物に限定すれば、そもそも銘柄を選定する必要もなくなります。
昔の相場師は、2銘柄、3銘柄だけを数十年に渡って売買した人もいたとのことです。
仕掛け(エントリー)
もちろん、仕掛けについてもルールを作ります。
例えば、筆者がメインで利用しているGMOクリック証券の場合、ごく一般的な移動平均に加えて、ボリンジャーバンド、MACD、DMI、RSI、ストキャスティクスなど約30もの指標を追加することができます。
GMOクリック証券これらの指標を使えば、無数のエントリールールを構築することができます。
ただ、マーケットの魔術師の一人と言われているトム・デマーク氏は、マーケットの魔術師(システムトレーダー編)の中で次のように述べています。
「私はポール・チューダー・ジョーンズ(アメリカの伝説的なトレーダーの一人)のために4、5種類のシステムを作りました。そのあと、上層部は最適化モデルとか人工知能とか、高等数学を使って何でもやれる連中を雇いました。17人のプログラマーを使って、4、5年検証した結果、分かったことは、基本的な4、5種類のシステムの成績が一番だということでした」
これは、移動平均線や〇〇日間高値・安値ブレイクアウトシステムなどのごく単純なシステムでも安定した利益が出るということでしょう。
ただ、トム・デマーク氏は続けて、
「トレンド相場ではどんな移動平均線だってうまくいくということです。レンジ相場では買われ過ぎ・売られ過ぎの指標が有効になります。肝心なのは、この2つをどう区別するかなのです。全期間の73%はレンジ相場で、27%はトレンド相場です。全期間の17%は上昇トレンドで、約10%は下降トレンドです」
つまり、現在の相場の状態がトレンド相場か、レンジ相場か判断できる指標があれば、さらに、鬼に金棒ということとなります。
ただ、筆者の経験では、まずはトレンドフォロー型の売買ルールだけでも、その他の手仕舞いや資金管理のルールと併用して使えば、十分に安定した利益が出せるようになります。
損切(ストップロス)のルール
昔の日本の相場師でも相場で大切なことは「一に損切、二に損切」と言われていたということです。
また、アメリカの成功しているトレーダーでも多くの人が売買1回当たりの損失を0.5%~2%以内に抑えることが成功の秘訣とされています。
例えば、150万円の資金があり、1株1,000円の株を500株ずつ、3銘柄に分散投資していたとしましょう。
1,000円×500株×3銘柄=1,500,000円
そして、買値よりも5%。つまり、1,000円で買った株が950円まで下がれば、損切手仕舞いするというルールを設定しているとしましょう。
この場合、1回当たりの損失額は50円×500株×1銘柄=25,000円となります。
総資産に対する損失の割合は25,000円÷1,500,000円≒1.67%となります。
損切の基準がかなり厳しいと思われるかもしれませんが、多くのアメリカの成功した投資家が1回当たりの損失を総資産の2%以下にするように言っています。
天才的な投資家やギャンブラーでない限り、2%ルールという成功者の教えを愚直に守ることをオススメします。筆者の場合、これまで散々損をした後、ようやく2%ルールを遵守できるようになりましたが、最初からこの理論を知っておけばよかったと思っています。
特に、株式の場合は、夜間取引がないため、ダウが大幅に下げた翌日は窓を空けて寄り付くケースが多々あります。
2%ルールを遵守しているつもりでも守れないケースもありますので、できるだけ厳しい水準で損切ルールを設定しましょう。
手仕舞い(イグジット)
投資で大切なことは「損小利大」と言われます。
しかし、手仕舞いのルールを持っていない投資家は「損大利小」になりやすいと言われています。仕掛けと同様に売買ルールを確立することで自然と「損小利大」が実現できるようになります。
単純な手仕舞いのルールとしては、以下のものが挙げられます。
反対売買のサインが出たら手仕舞う
移動平均線やブレイクアウトシステムを採用している場合、仕掛けと反対のサインが出たら手仕舞う。また、同時に反対売買を仕掛けてもOK。
例:
仕掛けのルール 25日移動平均線が75日移動平均線を上抜いたら買い。
手仕舞いのルール 25日移動平均線が75日移動平均線を下抜いたら手仕舞い。
トレイリングストップを採用
高値から〇〇%下がれば手仕舞うというルール(トレイリングストップ)も特に上昇相場において有効です。
相場が急落する場面では、かなり変動幅が大きくなります。これに比べて、トム・デマークが言うよう上昇相場は下落相場に比べて比較的時間をかけてゆっくりと上昇していきます。したがって、高値から5%下がれば、上昇相場終了と考えて、手仕舞いするといったルールも有効です。
当然、銘柄や市場によって、どの程度の数値が適切かは異なりますので、過去のデータを調べて、数値を調整します。
資金管理(マネーマネジメント)
損切のルールとも関係しますが、どの程度のレバレッジをかけるかを予め想定しておきます。
現物株のみの取引であれば、預託金以上の購入はできないため、レバレッジは1倍となります。FXや日経平均先物であれば、レバレッジを20倍以上効かせることも制度上は可能です。
ただし、大切なことはやはり1回当たりの損失が総資産の2%以内になることを前提として資金管理ルールを決めることとなります。
日経225ミニの場合の資金管理ルール
例えば、日経225ミニを例に取りましょう。
2020年6月時点でのSPAN証拠金は99,000円です。
証券会社によって多少異なりますが、日経225ミニ1枚を売買するのに最低必要な証拠金は約100,000円です。
また、日経225ミニの場合、日経平均×100倍が取引金額になります。
普段の日でも200円~300円は変動します。
仮に、20,000円で買った日経225ミニ1枚が19,800円に下落すれば、損失額は(19,800円-20,000円)×100倍=-20,000円にもなります。
仮に、資産が100,000円しかなければ、損失割合/回は20,000円÷100,000円=20%にもなってしまいます。これでは、あっと言う間に市場から撤退せざるを得なくなります。
1回当たりの損失を総資産の2%以内に抑えるというルールを守るためには、20,000円÷2%=1,000,000円の資金が必要となります。
整理しますと、以下の条件をクリアしようとすれば、日経225ミニを1枚取引するのに、最低準備すべきお金は1,000,000円となります。
- 損失幅:200円
- 日経225ミニ取引枚数:1枚
- 1回当たりの損失を総資産の2%以内
日経225ミニ必要資金(1枚当たり)の計算式
必要資金
=損失幅/回×100倍(日経225ミニの取引金額)×日経225ミニ取引枚数÷2%
=200円×100倍×1枚÷2%=1,000,000円
もし、デイトレ主体で、損失幅を100円に設定するのであれば、
- 損失幅:100円
- 日経225ミニ取引枚数:1枚
- 1回当たりの損失を総資産の2%以内
必要資金
=損失幅/回×100倍(日経225ミニの取引金額)×日経225ミニ取引枚数÷2%
=100円×100倍×1枚÷2%=500,000円
となり、半分の50万円の資金があれば、十分に取引可能です。
初心者はレバレッジをかけるべきではない?
上記の例で言えば、1回当たりの損失幅を100円×100倍=10,000円に抑えれば、50万円の資金で200万円の取引が可能となります。
これは、レバレッジ倍率で言えば、200万円÷50万円=4倍となり、通説から言えば、初心者にはとても危険なレベルということになります。
しかし、1回当たりの最大損失は100円×100倍=10,000円です。
仮に、10連敗しても損失は100,000円となり、総資産の20%以内に収まります。
つまり、レバレッジのかけすぎよりも、むしろ1回当たりの損失幅を大きくすることのほうがリスクが大きくなりすぎます。
売買ルールの作り方まとめ
これまで説明してきたように以下の5つのルールを備えたプラスの期待値を持った売買ルールを構築することができれば、誰でも資産を構築できるようになります。
- 銘柄選定
- 仕掛け(エントリー)
- 損切(ストップロス)
- 手仕舞い(イグジット)
- 資金管理(マネーマネジメント)
また、トム・デマーク氏が言うように単純なシステムで十分ということです。十分に時間をかけて売買ルールを構築していきましょう。
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