高度経済成長時代は、銀行定期預金の金利が非常に高く、10年定期では年率10%という今ではとても考えられないような高利回りの商品がありました。

逆に、当時は、配当は非常に低かったため、配当目当てで株を買うような人は、ほとんどいませんでした。

しかし、最近では、事情は大きく変化し、銀行の定期預金に預けても年利0.1%~0.2%しかつかないのに対し、株価に換算すれば、配当は5%以上といった会社も出てきました。

この記事では、有利な配当の貰い方を書いています。

配当とは?

株を持っていると、株主優待以外に配当がもらえる会社があります。

会社の利益の中から、株主に対して、利益の一部を還元する仕組みです。

利益の一部を還元する仕組みなので、昨年、大きな配当があったとしても、今年、赤字ならば、配当はゼロになる可能性もあります。

また、配当は予定通りに貰えたが、株価が大きく下がってしまい、評価損が発生してしまい、トータルで見ると、損失のほうが大きくなってしまったというケースもあります。

だから、リスクゼロとは言えませんが、銀行定期預金50倍以上もの配当が貰えるケースがあるのです。

余裕資金があれば、配当の高い会社の株を買って、保有するという戦略も十分に活用できます。

配当を貰うために?

配当、あるいは、株主優待権を獲得するためには、いつ株を持っていればいいのでしょうか?

決算月の最終営業日と思われる方が多いのですが、権利付き最終日に株を持っている必要があります。

決算月度の最終営業日を配当や株主優待権がもらえる権利が確定することから権利確定日と呼びます。

そして、権利付き最終日権利確定日3営業日前となります。

少々、ややこしいのですが、株の場合、株を買って、3営業日後に自分のものになるというルールがあります。

このため、権利確定日と権利付き最終日には、3日間の開きがあります。

具体的に、東海東京フィナンシャル・ホールディングス(銘柄コード:8616)の2019年を例にとって説明します。

決算月:3月

2019年3月は、3月31日が日曜日です。

通常であれば、3月が決算月であり、3月31日が権利確定日なのですが、3月31日が日曜日なので、権利確定日も稼働日である3月29日(金)に繰り上がります。

そして、配当や株主優待券が貰える権利付き最終日も同様に繰り上がって、2019年では、3月26日(火)になります。

また、権利付き最終日の翌日を権利落ち日といい、この日以降に株を売ってしまっても、配当を貰える権利は消失しません。

3月26日(火) 権利付き最終日
3月27日(水) 権利落ち日
3月28日(木)
3月29日(金) 権利確定日
3月30日(土)
3月31日(日)

決算月の見方

日本では多くの企業が3月決算ですが、会社により異なりますので、配当狙いで株を買う場合は、必ず決算月を確認しましょう。

既に、証券口座をお持ちであれば、各証券会社が会社四季報の情報をホームページ上に掲載しているケースが多いので、その情報から確認できます。

あるいは、ヤフーファイナンスの企業情報のタブにも掲載されています。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスの場合、2018年3月期は1株当たり38円もの配当が支払われていました。

仮に、2018年3月26日の始値で株を購入していれば、724円。

そして、1年間保有すれば、38円もの配当が支払われたこととなります。

年利換算にして、5.2%もの配当となります。

さらに、2019年1月30日の終値は474円でした。

もし、2019年も同等の配当が支払われれば、配当は年利換算で10%を超えることとなります。

ただし、こちらの会社は、証券会社であり、昨今の株価低迷により、業績も悪化することが予想されているため、昨年ほどの配当は期待できないでしょう。

配当金額はいつもらえるの?

さて、配当を受け取る権利が確定するのは、前述の通りです。

権利が確定して、すぐに、配当を受け取ることができればいいのですが、配当金額が最終決定するのは株主総会での承認を経てからになります。

3月決算の会社では、6月ごろに株主総会が開催されるケースが多く、それまでは配当金は決定されません。

なお、配当金額が最終決定するのは、株主総会の承認後なのですが、配当予想については、事前に各会社から発表されますので、狙っている会社のIR情報をチェックしてください。

配当金の貰い方

配当金の貰い方にもいくつかの方法があります。

配当金領収書方式

昔は、この方式が主流でした。

ただし、銀行や郵便局の窓口に行く必要があり、忙しい時期だと、つい行くのを忘れてしまいます。

配当金が決まると、その会社から配当金領収書が自宅へ送られてきます。
住所・氏名等を記入し、銀行または郵便局に行けば、配当金が貰えます。

個別銘柄指定方式

銘柄ごとに配当金を受け取る口座を指定し、指定した金融機関に振り込んでもらいます。

株式数比例配分方式

証券会社で保有している株数に応じて、配当金が証券会社の口座に入金されます。

もし、複数の証券会社を利用しており、かつ、同一銘柄を保有している場合は、それぞれの証券会社の口座に株数に応じた金額が振り込まれます。

恒常的に株の売買をしている人であれば、この方法が一番オススメです。
配当金を再投資できます。

登録配当金受領口座方式

複数の証券会社に口座があった場合でも、指定した1つの金融機関口座へすべての株式の配当金が振り込まれる方法です。

配当金は小遣いとして使うと考えている人であれば、この方式がいいのかもしれません。

オススメの高配当銘柄は?(2019年1月31日現在)

2019年1月31日時点でオススメできる高配当株を記載しました。

NO 会社名 コード 株価 配当 配当利回り
1 日産自動車 7201 925.1 53 5.73%
2 ヒロセ電機 6806 11,750 480 4.09%
3 JT(日本たばこ産業) 2914 2,747 140 5.10%
4 積水ハウス 1928 1,627 77 4.73%
5 奥村組 1833 3,425 184 5.37%
東海東京フィナンシャル・ホールディングス 8616 477 38 7.97%

配当額は前期実績を、株価は2019年1月31日時点の価格を掲載しております。今後の各社の業績によっては、配当も大きく変動する可能性があります。

高配当狙いでも注意すべきポイント

会社固有の業績に大きな変化はないか?

昨年、配当が良かった会社でも、会社四季報決算短信等により、減配の可能性がないかを確認することは重要です。

特に、証券会社の業績は、株価が大きく下落した年度は、急速に悪化します。

表に載せた東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、前年度と同じレベルの配当となれば、配当利回りが7%を超える結果となるのですが、2019年は大きく減配になる可能性が強いです。

業績の変動がないかを確認したうえで、株を購入するようにしましょう。

どうする日産?

日産自動車は比較的業績も安定し、かつ、毎年、高配当を出してきました。しかし、2018年12月にカルロス・ゴーン氏が逮捕されるという前代未聞の事件が発生。

一般的には、大塚家具のように、お家騒動が発生した会社では業績が低迷することも多いのですが、まだ、日産の場合は、業績が急速に悪化したというニュースや減配の発表は流れていません。

今の業績を維持できるのであれば、今年度も好配当が見込めるでしょう。

業績が安定している会社を選ぶ

上の表では、その他の会社は、比較的業績が安定している会社を選んでいます。
高配当が予想される株でも、必ず株を購入する前には、会社四季報やニュースで最新情報を確認しましょう。

高配当株は、いつ買って、いつ売るのがいいの?

資金効率を考えれば、権利付き最終日の前日に買うのがいいでしょう。

日産自動車の場合

2018年は権利付き最終日が3月27日でしたので、その前日の寄り付きで購入します。

3月26日 1,104.5円

3月27日 1,130円
権利付き最終日なので、配当狙いの買いが入り、終値は、1,130円まで上昇。

3月28日 1,099.5円
配当落ちのため、1,099.5円まで下落。

しかし、すぐに、3月30日には、1,106.5円まで戻していますので、買値で売却できます。
これで、2018年度の配当26.5円を丸々獲得できた計算になります。

配当利回りにして、2.4%です。
また、買値で売却していますので、売買手数料以外の費用も発生しません。

4月4日まで待てば、買い値よりも3円高値で売れ、売買手数料も回収でき、配当分がまるまる利益となりました。

日本企業は3月決算が圧倒的に多いですが、その他の月度で決算を行っている企業も多数ありますので、毎月のように配当を狙うことも可能です。