最近のネット証券では、クリックするだけで様々なチャートが表示できるようになっています。
日本で昔から使われているローソク足、欧米で主流のバーチャート、毎日の終値を折れ線グラフで表示したラインチャート、その他、カギ足チャートやポイント・アンド・フィギュアなど。
この記事では、日本で最も普及しているローソク足の見方とローソク足を使った実践的な売買方法を書いています。
ローソク足とは?
Contents
ローソク足は、江戸時代に相場の天才と言われた本間宗久が開発し、大阪・堂島の米取引所で使われたとされています。
大阪・堂島の米取引所は世界初の先物取引市場であり、その中で生まれたローソク足も世界初のテクニカルチャートであるとされています。欧米でも、キャンドルチャートと言われ、活用されています。
本間宗久氏については、「本間さまには及びもないが、せめてなりたや殿様に」という唄がはやったほどの天才相場師だったとのことです。
ローソク足の見方
ローソク足は、始値(はじめね)、高値(たかね)、安値(やすね)、終値(おわりね)の4つで構成され、一定期間の値動きを表しています。
一日の値動き(日足)におけるそれぞれの意味は以下の通りとなります。
始値(はじめね)
その日、最初に成立した取引の値段を始値と呼びます。
寄り値、寄り付き値と呼びこともあります。
例えば、株の場合、取引は9時に開始され15時に終了します。
9時頃、最初についた値段を始値と呼びます。
ただ、取引量によっては、9時ジャストに価格がつかない場合もあります。
高値(たかね)
日中に取引された内で最も高い値段です。ローソク足では常に一番上に表現されます。
安値(やすね)
日中に取引された内で最も安い値段です。ローソク足では常に一番下に表現されます。
終値(おわりね)
その日の最後に成立した取引の値段です。引け値、大引け値と呼ばれることもあります。
実体
始値と終値の間を四角で囲みます。特に、この間隔のことを実体と呼びます。
ひげ
実体の上限と高値の間、または、実体の下限と安値の間の線をひげと呼びます。
実体の上限と高値の間のひげを上ひげ、実体の下限と安値の間を下ひげと呼びます。
陰線・陽線とは?
日足の場合を例にとると、始値>終値の場合は、実体を白塗り、もしくは、赤塗りで塗りつぶし、これを陽線と呼びます。
始値<終値の場合は、実体を黒塗り、もしくは、青塗りで塗りつぶし、これを陰線と呼びます。
陽線が連続する場合は上昇トレンド、陰線が連続する場合は下降トレンドとなります。
ローソク足のメリット・デメリット
ローソク足のメリット
ローソク足は、市場参加者の相場に対する強弱感を表すとされています。
つまり、日足のなかで陽線が現れた場合は、終値のほうが始値よりも高いのですから、
相場は明日以降も上がるだろうと思った人が多く、
陰線の場合は明日以降も下がるだろうと思った人が多いと判断します。
例えば、下の図は、同じ2日間の値動きを日足の折れ線グラフとローソク足で表しています。
単純に折れ線グラフだけを見ると、2月5日のほうが終値のほうが高く上昇トレンドと判断できます。
ただし、もうひとつのローソク足を見ると、2日目は陰線になっているため、相場が弱いと判断できます。
もちろん、たった2日間の動きだけでは、相場のトレンドは判断できないのですが、強弱感の判断材料となります。
ローソク足のデメリット
折れ線グラフやバーチャートよりグラフ自体が複雑なため、全体のトレンドが見にくい場合があります。
1本のローソク足の解釈
長い上ひげ
上の図、ローソク足の2月5日は長い上ひげが出ています。
これは、買い方が、これから上がると思って、どんどん株を買っていったのですが、その後、多くの売り物が出てきて、結局、価格も始値を下回り、陰線になってしまったパターンです。
長い上ひげが上昇トレンドが続いた後に出ると、その日が天井になってしまい、下落トレンドに移行する場合があります。
長い下ひげ
その逆に、下降トレンドが続いた後、長い下ひげが出る場合もあります。
これは、売り方が、まだまだ下がると思って売ってきたのですが、、その後、多くの買い物が出て、相場を押し戻したケースです。
相場が急落した後に、長い下ひげが出ると、相場が底を打ち、上昇トレンドに移行する場合があります。
丸坊主
急騰・急落する場合には、実体だけでヒゲが全く出ない場合があります。
つまり、始値が最も安く、終値が最も高い場合は、始値=安値、終値=高値となりますので、ひげが全く表示されません。
陽線でひげがない場合を陽の丸坊主、陰線でひげがない場合を陰の丸坊主と呼び、相場が強いトレンドを持っていることを示します。
十字
寄引同事線とも言われ、始値(寄り)と終値(引け)が同じか、または、ほとんど同じ値の場合です。チャートを見ると、実体がなく、十字の形に見えることから、十字やクロスと呼ばれます。
上昇トレンドが続いた後、もしくは、下降トレンドが続いた後に、この十字が出ると、相場の天井や底を示す場合があります。
また、長い上ひげを伴った十字をトウバ、長い下ヒゲを伴った十字をトンボと呼びます。
特に、上昇トレンドが続いた後にトウバが出ると、強い下降トレンドへの転換ポイント。下降トレンドが続いた後に、トンボが出ると、強い上昇トレンドへの転換ポイントと言われます。
複数のローソク足の解釈
これまでは、ローソク足一本だけの解釈を説明してきましたが、複数のローソク足をつかって判断する方法もあります。
つつみ線とはらみ線
つつみ線
つつみ線は、前日のローソク足の実体をすっぽり包み込むような形のローソク足の組み合わせです。
下落トレンドが続いた後に、大きな陽線が出現し、前日の小さな陰線を包み込むと、上昇トレンドに転換する場合があります。
逆に、上昇トレンドが続いた後に、大きな陰線が出現し、前日の小さな陽線を包み込むと、下降トレンドに転換する場合があります。
はらみ線とは?
つつみ線ほど強力ではありませんが、はらみ線も変化の兆しとされています。
前日の大きな実体の間に、それとは反対の実体が出現するパターンです。
ただし、これらの組み合わせは、保ちあいの中では頻繁に出現するサインです。
これだけで判断せずに、全体のトレンドと組み合わせて、補助的な指標として使うサインです。
三山
その他、ローソク足3本の組み合わせによる三山と言われるパターンもあります。
これは、相場が上昇してきて、3回高値をトライするものの抜けなくて、これから下降トレンドに移行する可能性が強いとされています。
英語では、トリプルトップやヘッド・アンド・ショルダーとも言われます。
また、反対に相場が下降してきて、3回安値をトライするも抜けないようなパターンを逆三山と言います。
3本以上の組み合わせとなると、上の図のような典型的なパターンが表示されるのは、ごく稀であり、3回天井をトライに行く過程でも、途中に何本かのローソク足が含まれることが多くなります。
三山やトリプルトップ、ヘッド・アンド・ショルダーと呼ばれる型は、他のチャート形式のほうが認識しやすいケースもあります。
最近のネット証券会社のチャートでは、一瞬でチャートの表示形式をローソク足からその他チャート(バーチャートや折れ線グラフ)に変更できます。
「そろそろ天井かな」と思った際には、ローソク足以外のチャートでも確認することをオススメします。
ローソク足を使った実践売買法
これまで説明してきたように下降トレンドの終盤と思えるような場所で、十字や長い下ひげ、つつみ線が出た場合は、上昇トレンドに転換する可能性が高いです。
転換ポイントで仕掛けられた場合は、非常に大きな利益が見込めます。
ただし、転換せずに、そのまま下落や上昇を続ける可能性も十分にあります。
実践に当たっては、以下のポイントに注意しましょう。
サインを確認したら仕掛ける
100%確実なサインはありません。
トレンドの終盤で十字や長いひげを確認できたら、まずは、仕掛けてみましょう。
底や天井付近で仕込み、トレンドに乗ることができれば、大きな利益を得られます。
注文が成立すれば、すぐに、逆指値注文を入れる
ただし、必ず、注文が成立すれば、逆指値注文を入れましょう。
仕掛値の〇%下がれば、損切するというルールを徹底してください。
そうすれば、たとえ、勝率が50%未満でも売買を繰り返せば、大きな利益が見込めます。