日本経済新聞によれば、金融先進国と言われるアメリカでは、既に、売買全体の60%~70%の取引量がコンピューターによる自動売買、つまり、システムトレードになっているとのこと。
金融については後進国と言われてきた日本でもイザナミなどに代表されるシステムトレードソフトの販売など、少しずつ個人でもシステムトレードができる環境が整ってきました。
この記事では、システムトレードに向く人、向かない人、および、システムトレードを実施するための方法を記しています。
システムトレードとは?
Contents
システムトレードとは、過去のデータに基づき、統計的に優位性のある売買ルールを構築し、その売買ルールに則り、継続的に売買をするトレード手法です。
これとは正反対に位置するのが、裁量トレードと言われる方法で、世界一の投資家と言われるウォーレン・バフェット氏のように徹底した企業分析を行い、今後、成長すると思われる企業に長期投資する方法です。
日本では、これまでシステムトレードを実施するための環境が十分に整備されていなかったこともあって、ほとんどの人が裁量トレードとして出発するでしょう。
システムトレーダーへの道のり
私の場合も、最初は裁量トレードから出発しました。
恐らくシステムトレーダーになった多くの人が私と同じような道のりを歩んでいるのではないかと思います。ご参考までに私の投資経験をお話します。
ソニーショックで資金が半分以下に
私が本格的に投資を始めたのは2003年4月のことでした。
丁度、その頃、バフェット氏に関連する本を読んだのですが、やはり株式投資をするなら長期投資だと考え、今後、成長しそうな株を探していました。
当時、IT関係の仕事をしていたのですが、一番のお客様はソニー様で、業績は絶好調。
ソニーならば、倒産する危険性もなく、次々と革新的な製品を出してくるから、この株を持って、長期投資すれば、10年、20年すれば、相当な資産になるだろうと思ったのです。
ところが、なんと買って1週間もすると、ストップ安。
経常利益がアナリストが予想した数字よりも1,000億円も低くなるというニュースが流れたためです。
このニュースが大激震を引き起こし、ソニーだけではなく、日経平均も大暴落。
しかし、さすがに、ソニーの株が半値になることはないだろうと思っていたのです。
が、なんと3日連続ストップ安。
資金は、あっという間に半値以下になってしまいました。
数年間保有したのですが、株価は低迷を続けたままで、結局、損切して売ってしまい、株式投資から遠ざかりました。
システムトレードソフトを購入し、再挑戦
それから、しばらくは投資をやめていたのですが、あるシステムトレードソフトの存在を知り、再度、投資に挑戦。
そのソフトは、自分で様々なルールを追加し、売買結果を検証できたのですが、主に、逆張りを推薦していたシステムです。
例えば、
終値が〇日移動平均線から〇〇%下がった株を選び出して、その株に投資をする
といったルールです。
しかし、これも失敗。
少ない資金で実施しましたので、大損害というわけではなかったのですが、ほとんど勝てませんでした。
今、考えると、最初のシステムトレードで失敗した原因は以下の通りでした。
システムトレードの失敗要因1
流動性の少ない、値動きの荒い小型株ばかりに投資した。
しかも朝の寄付きに、成行注文で売買していましたので、想定外に高い価格で買うことが多かった。
システムトレードの失敗要因2
資金管理ルールを全く持っていなかった。
システムトレードでは、実は、銘柄選びよりも資金管理ルールが重要と言われています。
しかし、当時は、全く理解していませんでした。
売買システムを自作して、システムトレードに再挑戦。
前回もシステムトレードに失敗したため、また、5年ほど投資から遠ざかっていました。
当時は、ひふみ投信などの投資信託が話題になってきた頃でしたので、今度は、成績のいい投資信託を買おうと思っていたのです。
投資信託で年利10%が期待できるなら、自分で投資をするよりも、効率的だと思ったからです。
しかし、10%程度ならば、ひょっとすると自分がよく知っている会社に限定して、安くなったところを買い、高くなったところを売れば、それだけでも儲かるようになるのではないか?
今回は、自分で売買ルールを作成してみようと考えたのです。
また、システムを作っても、将来に渡って利益が出続ける保証はないため、
まずは、6カ月間はつもり売買を行い、
本当に利益が出ることを確信してから、
本番に移ろうと決めたのです。
これならば、少なくとも当初はリスクがゼロです。
結果、ごくごくシンプルなシステムを作成し、現在、運用中です。
裁量トレードの時とは違い、ほぼ期待した通りの利益を積み上げることができています。
システムトレードのメリット・デメリット
システムトレードのメリット
事前にどの程度の利益が期待できるかが計算できる。
システムトレードの場合、過去のデータを基に、シミュレーションを繰り返し、トレード1回当たりの期待値を算出します。
もちろん、将来もその利益が保証されるかどうかは分かりません。
しかし、事前にどの程度勝てるかを計算できるのは非常に大きな強みです。
私の場合、裁量トレードで負け続けていたこともあって、勝率・利益額/回ともに大幅に向上しました。
塩漬け株を持つ心配がない。
事前に〇円下がれば売りという損切ルールも設定していますので、塩漬け株を持つことがなくなりました。
システムトレードのデメリット
強い自制心が必要
最初の頃は、自分で検証したシステムにも関わらず、「さすがに、下げ止まりだろう」などと勝手に判断してシステムの指示に従えないことが数回ありました。
これに関しては、以下の本が参考になりました。
トレーダーのトレーニング指導をしている方が書いた本なのですが、売買ルールを作ったあと、そのルール通りの売買を25回しよう。そして、売買記録もつけようというものです。
それでも、その25回のうち、3回もルール通りに売買できないことがありました。
ただし、25回を過ぎたあたりからは、淡々と売買できるようになりました。
勝った時の高揚感がない
裁量トレードの場合、どうしても株が上がると気分が高揚します。また、その逆は落ち込みます。
しかし、システムトレードの場合は、期待値に基づいて売買をするだけなので、買ってもあまり高揚感はありません。もちろん、損をすると多少落ち込みますが。
システムトレードに向く人、向かない人
システムトレードに向く人
自分で売買ルールの作成や検証を行いたい人
最近では、システムトレードのソフトや売買ルールも販売されていますので、必ずしも、自分で売買ルールを作成する必要もありません。
ただし、やはり自分でルールを作成したほうが自信を持って売買が続けられます。
IT関連の職業に従事している人
プログラムについても必須ではありませんが、IT関連の知識が豊富であるほうが便利です。
システムトレードに向かない人
現在、裁量トレードで利益を上げている人
当然ですが、システムトレードだから、将来に渡って、必ず利益を上げられるという保証はありません。
今、裁量トレードで十分な利益が上がっているならば、それを継続したほうがいいでしょう。
それに、裁量トレードで利益が上がるほうが楽しいです。
公認会計士や税理士などの経営分析の仕事に従事している人
私の知り合いの公認会計士は、裁量トレードで利益を出している人が数多くいました。
恐らくこういった職業の方が、自分の経営分析に基づくのとは異なる売買指示が出た場合、システムの指示に従うことが難しいでしょう。あるいは、かなりのストレスになると思われます。
こういった方は、システムトレードよりも、むしろバフェット流のやり方で長期投資をされることをオススメします。
投資にギャンブルの要素を求める人
システムトレードで最も大切なことは、システムが出す指示に忠実に従うことです。
簡単なように見えますが、投資の経験があればあるほど、自分の判断を殺してシステムの指示に従うことは難しくなります。
まして、ギャンブル的要素を求めるならば、なおさらです。
アメリカの成功したシステムトレーダーでも、システムの指示に従うことが難しいため、発注と手仕舞いだけのために、年間数百万円をかけて人を雇っている人もいるそうです。
システムトレードに向く株、向かない株
システムトレードに向く人、向かない人がいるように、システムトレードに向く株と向かない株があります。
ランダムな動きや大きなギャップをつけて寄り付くような株はシステムトレードに向きません。
それよりも、値動きに比較的リズムのある株や日経225先物などを選択し、銘柄を限定したトレードを行いましょう。
システムトレードのはじめ方
売買ルールの構築
まずは、売買ルールを構築する必要があります。
安定した値動きの銘柄であれば、ごく一般的なトレンドフォロー型のルールでも十分に機能します。
例えば、
- 5日移動平均線が25日移動平均線を超えたら買う。その逆で手仕舞う。
- 過去20日間の高値を超えたら買う、安値を下回ったら売る。
売買ルールの検証
ネット証券会社で口座をお持ちなら、4本値(始値、高値、安値、終値)や出来高のデータは、簡単にCSV形式でダウンロードできます。
あるいは、ヤフーファイナンスからもダウンロードできます。
また、上記のようにシンプルなルールであれば、Excelでその売買ルールが有効かどうか検証可能です。
もっと複雑なルールで多くの銘柄を検証したいということであれば、システムトレードソフトのイザナミをオススメします。