SBI証券でS株を始める前に知りたいメリットとデメリット

SBI証券のS株は、対象の国内株式を1株から購入できるサービスです。まとまった資金を用意せずに個別株投資を始められる一方、購入価格を指定する指値注文や、注文直後に売買するリアルタイム取引には対応していません。

少額で買えると分かっても、「いくら用意すればよいのか」「買いたいときに買えるのか」「売却するときに困らないか」が気になるのではないでしょうか。

私自身、SBI証券で新NISAを利用し、成長株の長期保有に取り組んでいます。この記事では、S株のメリットとデメリットを、購入・売却の手順や、私が新しい投資手法を試す際の使い方とあわせて整理します。まず、通常の株取引との違いを押さえましょう。

取引条件は2026年10月25日に確認した公式情報に基づきます。画面名や配置は、利用するサイト・アプリの更新によって変わる場合があります。

S株とは?通常の株取引との違い

S株は、通常の売買単位に満たない株数で取引する「単元未満株」のサービスです。一般的な国内上場株式の売買単位が100株であるのに対し、S株なら対象銘柄を1株から購入できます。

例えば、株価が3,000円の銘柄を購入すると仮定します。100株なら購入代金は30万円ですが、1株なら3,000円、5株なら1万5,000円です。これは手数料や注文時に必要となる余力を含めない計算例で、実際の購入代金は約定価格によって決まります。

比較すること S株 通常の単元株取引
注文する株数 1単元100株の銘柄なら、通常1〜99株 通常100株単位
価格の指定 指値は使えない 指値・成行などを選べる
売買の成立 注文時間帯ごとの所定のタイミング 市場の取引時間中、条件が合えば成立
購入対象 SBI証券が取り扱う対象銘柄 SBI証券の取扱銘柄・市場に従う

※↔スワイプして表を見る

S株で買付できるのは、東証上場銘柄のうち対象となるものです。銘柄詳細に「単元未満株」の表示があるかを確認してください。地方市場の銘柄は売却のみの対応で、すべての株を同じ条件で買えるわけではありません。

出典:SBI証券「単元未満株の買付・売却、手数料と注意事項」

S株にはどんなメリットがある?

S株の利点は、購入する株数を小さくして、自分の予算に合わせやすくなることです。対象のネット取引では売買手数料が無料で、配当やNISAも利用できます。

1株から買い、購入時期を分けられる

100株分の資金を一度に用意する必要がないため、関心のある企業への投資額を小さくできます。何回かに分けて購入したい場合にも、株数を調整できます。

私がS株を利用するのは、100株を購入するほどの資金が余っていないときです。投資に回せる資金の範囲で株数を選べるため、通常の100株単位では買いにくい銘柄にも投資できます。

ただし、購入時期や銘柄を分ければ必ず利益が出るわけではありません。同じ業種の企業ばかりを買うと、複数銘柄でも似た値動きになることがあります。少額で買えることと、投資先の分散は分けて考えましょう。

ネット取引なら売買手数料が無料

インターネットコースのインターネット取引なら、S株の買付・売却手数料は無料です。少ない株数を購入するときも、売買手数料を上乗せせずに取引できます。

S株は、通常の国内株式の手数料無料化に必要な電子交付などの対象条件にかかわらず無料と案内されています。ただし、電話注文や別の取引コースまで一律に無料という意味ではありません。

また、手数料が無料でも株価は変動します。注文時に見た株価より高く買ったり、安く売ったりする可能性は残るため、価格の決まり方も確認しておきましょう。

出典:SBI証券「国内株式委託手数料」

配当金を受け取れ、NISAも使える

S株でも、配当を実施する企業の権利を取得すれば、保有株数に応じた配当金を受け取れます。単元未満株だから配当がなくなるわけではありません。

また、対象銘柄はNISAの成長投資枠で購入できます。個別株を買う場合に使うのは成長投資枠で、つみたて投資枠とは異なります。注文時にNISAの預り区分を選んでいるか確認してください。

NISAで国内上場株式の配当金を非課税にするには、受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。これは、配当金を証券口座で受け取る方式です。購入時の預り区分と、配当の受取設定は別々に確かめましょう。

出典:SBI証券のNISA国内株式取引ガイド、単元未満株の配当についての説明(後者は配当の仕組みのみ参照。過去のキャンペーンは対象外です)

S株のデメリットは?

S株では、注文価格や売買のタイミングを自由に指定できません。少額で買う便利さと引き換えに、通常の単元株取引より注文の自由度が限られます。

指値注文とリアルタイム売買ができない

S株は、購入価格の上限などを指定する指値注文ができず、注文時間帯に応じた所定の価格で売買されます。画面に「成行」と表示されていても、注文直後に成立する仕組みではありません。

売買が成立することを「約定」といいます。東証銘柄の通常の営業日における注文時間と約定の関係は、次のとおりです。

注文時間 約定の基準 通常の時刻
0:00〜7:00 当日の前場始値 9:00
7:00〜10:30 当日の後場始値 12:30
10:30〜14:00 当日の後場終値 15:30
14:00〜24:00 翌営業日の前場始値 翌営業日9:00

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S株の注文時間帯に応じて、前場始値・後場始値・終値で売買が成立する流れ

始値は、その取引時間帯で最初に成立する価格です。表は通常のスケジュールを示しており、値が付かない場合などは予定どおり成立しないことがあります。締切直後はシステム処理によって直前の時間帯の注文として受け付けられる場合もあるため、境界の時刻を狙わず、注文照会で確認してください。

例えば、営業日の午前10時に注文した場合、通常はその日の後場始値が基準になります。午前10時に画面で見た株価を指定して買うことはできません。

私の場合は基本的に長期投資なので、注文時に見た株価と実際の約定価格の違いは、それほど気にしていません。ただし、これは私の投資方針に照らした考え方です。購入価格に上限を設けたい人にとっては、指値を使えない点が制約になります。

出典:SBI証券「単元未満株(S株)取引ルール」

見積金額が現在の株価より大きくなる

買付注文では、株価の上昇に備えて資金が確保されるため、現在の株価に株数を掛けた金額だけでは注文できない場合があります。NISAの残り枠にも注意が必要です。

SBI証券の取引ルールでは、注文時の買付余力やNISA投資可能枠を、制限値幅の上限価格に基づいて確保する扱いが説明されています。制限値幅とは、その日の株価が動ける範囲のことです。

見積金額と購入代金を分けて確認する

注文時に確保される金額は、購入代金の確定額ではありません。約定後に実際の代金との差額が生じれば、その分は買付余力やNISA投資可能枠に戻ります。

見積金額が大きくても、その差額を手数料と決めつけないようにしましょう。注文前は概算額、成立後は約定単価と約定代金を確認します。

出典:SBI証券「単元未満株(S株)取引ルール」

優待や議決権には株数などの条件がある

1株を買えば、すべての株主優待や議決権が得られるわけではありません。通常、単元未満株には株主総会で議案に投票する議決権がありません。

株主優待は企業ごとに必要株数や継続保有期間などが異なります。単元未満株でも対象になる優待はありますが、購入前に、その企業のIR情報で条件を確認してください。配当の受取条件と優待の条件は別々に確認しましょう。

出典:SBI証券の単元未満株の権利についての説明、S株の優待に関する案内

S株はどう買う?PCとアプリの手順

PCでは「単元未満株注文」に切り替え、株アプリでは「S株」を選んで注文します。使う画面にかかわらず、銘柄・株数・預り区分を確認してから発注します。

口座への入金後は、買付余力が反映されていることを確認してください。NISAを使う場合は、成長投資枠の残りも別に確認します。

PCでは「単元未満株注文」に切り替える

購入したい銘柄の詳細画面から現物買へ進み、S株用の注文画面に切り替えます。通常の単元株の画面のまま株数だけを変えないようにしましょう。

  1. 銘柄名と銘柄コードを照合し、「単元未満株」の対象表示を確認します。
  2. 「現物買」を選び、「単元未満株注文」に切り替えます。
  3. 購入株数と、特定・一般・NISAなどの預り区分を指定します。
  4. 取引ルール、概算金額、必要な余力を確認し、取引パスワードを入力します。
  5. 確認画面で銘柄・株数・預り区分を見直し、発注します。
  6. 注文照会で受付を確認し、所定のタイミング後に約定結果を確認します。

NISAで買いたい場合は、対象表示だけでなく、注文自体がNISA預りになっているかを確認してください。発注や約定のあとで預り区分だけを変更することはできません。

出典:SBI証券のS株の現物買注文ガイド、単元未満株注文入力方法

株アプリでは「S株」を選ぶ

スマートフォンでは「SBI証券 株アプリ」の銘柄画面から注文できます。「取引」から「現物買」へ進み、「S株」を選択して必要事項を入力します。

発注前には、購入株数、預り区分、概算金額を確認しましょう。受付完了の表示が出ても、その場で購入が成立したとは限りません。注文状況を確認するところまでを一連の操作として考えると、未成立の注文を見落としにくくなります。

出典:SBI証券「S株のご注文方法」

売却するときと注文が通らないときの確認

売却は保有株式から対象銘柄を選び、単元未満株の売却画面で株数を指定します。ただし、買い足して単元株に達した場合や、まだ注文が処理中の場合は、確認する場所が変わります。

100株に達すると売却方法が変わる

1単元100株の銘柄を、同じ預り区分で買い足して100株に達すると、その100株は通常の単元株として売却します。S株として持っていたからといって、単元株に達した部分も自由に1株ずつ売れるわけではありません。

例えば、同じ預り区分で120株を保有している場合、100株は通常の単元株、残り20株はS株として売却できます。S株の注文で21株以上を売ることはできません。

同じ預り区分で保有する120株を、単元株100株とS株20株に分けて売却

また、SBI証券は、単元株数に達した当日は、その単元株部分を売却できないと案内しています。近いうちに売却する可能性がある場合は、買い足す前に現在の保有株数も確認してください。

出典:SBI証券の単元未満株注文入力方法、S株のよくあるご質問

再注文する前に受付・約定・失効を確認する

保有株に表示されないときは、再注文する前に注文照会を開きます。まだ約定を待っている注文と、成立せず失効した注文では、対応が異なるためです。

予定の約定時刻を迎えていないなら、その時点では購入が成立していなくても不自然ではありません。一方、余力不足や値が付かない状況などでは、注文が失効する場合があります。表示された注文状態と理由を確認してから、再注文するかを判断してください。

注文を変えたいときの確認順

  • 注文照会で、処理中・約定済み・失効などの状態を見る。
  • 取消可能な受付時間内かを確認する。
  • 変更する場合は取消の結果を確認してから再発注する。

S株は注文内容の訂正ができず、取消も注文受付時間内に限られます。注文後に株価が動いたからといって、いつでも取り消せるわけではありません。

出典:SBI証券のS株の現物売注文ガイド、S株の取引ルール

長期投資では購入単位より企業を見る

長期投資では、少ない株数で買えるかに加え、その企業を保有し続ける理由を考えます。S株は投資額を調整する方法であり、企業の成長や投資利益を保証するものではありません。

私は大学生の頃に株式投資を始め、長い中断期間を経て、2021年に本格的に投資を再開しました。さまざまな手法を試した結果、現在は成長株の長期投資を中心にしています。

また、企業経営やSCM、つまり調達・生産・在庫・物流などの流れに関わる実務を通じて、企業の競争力を考えてきました。売上や利益だけでなく、事業の仕組み、資金の流れ、資本の使い方も企業を見る材料になります。

例えば、購入前に「なぜ売上が伸びると考えるのか」「成長に必要なお金をどう確保するのか」「どんな変化が起きたら保有理由を見直すのか」を短く書いてみてください。これは購入判断を整理するための問いであり、答えを書けば利益が出るという意味ではありません。

そのうえで、生活費や近い将来の支出とは分けた予算から株数を決めます。少額でも株価が下がれば損失は生じますし、少しずつ買い足すうちに、一つの企業への投資額が膨らむこともあります。

最初の購入額だけでなく、その企業に投資する合計額まで決めておくと、買い足すときの判断にも使えます。

新しい投資手法を1株から試す

S株は、新しい投資手法を少ない金額で試すときにも利用しています。私の場合、初めから大きな資金を投じず、まず1株から購入します。

最近は、上場以来の高値を更新した銘柄の中から、自分で決めた条件を満たすものだけを1株から購入しています。長い上昇トレンドが続く環境なら、この手法は有効ではないかと考えているためです。

ただし、これは現時点での仮説であり、有効性を確認できたわけではありません。まずは1年間、S株を使って実験するつもりです。

少額なら、実際に資金を投じながら検証を始められます。一方、1年間の結果だけで、下落相場を含むあらゆる環境で通用するとまでは判断できません。試した期間の相場環境と投資結果を分けて考える必要があります。

よくある質問

いくらから買えますか?

対象銘柄の1株分から購入できます。ただし、すべての銘柄が数百円で買えるわけではなく、必要な購入代金は株価によって異なります。注文時には価格変動を見込んだ余力も必要になるため、現在値だけで判断せず、注文画面の概算額を確認してください。

自動積立はできますか?

はい。「日株積立」を利用すると、対象銘柄を定期的に買い付けられます。金額指定は1,000円以上500円単位で設定できますが、設定金額以内で買える株数を購入する仕組みです。投資信託のように指定金額ちょうどを投資できるわけではなく、最低発注金額に届かなければ注文は発注されません。

出典:SBI証券「日株積立の注意事項」

ポイントでも買えますか?

はい。対応するVポイントやPontaポイントを使って購入できます。ただし、確認した公式ヘルプでは、株アプリ・スマートフォンサイト・HYPER SBI 2からの注文にはポイントを利用できないと案内されています。ポイントを使う場合はメインサイトで、ポイントの連携と注文画面の利用設定を確認してください。

出典:SBI証券「単元未満株注文入力方法」

米国株も買えますか?

いいえ。S株は国内株式を対象としたサービスです。SBI証券で米国株を購入する場合は、外国株式の取引を利用します。S株の手数料や約定時間を、そのまま米国株に当てはめないようにしてください。

出典:SBI証券「S株の取扱市場・銘柄」

土日でも注文できますか?

はい。非営業日にも注文できますが、メンテナンスなどで受け付けられない場合があります。非営業日の注文は、次の営業日の7:00までの注文として扱われます。土日に注文した時点で売買が成立するわけではありません。

出典:SBI証券「単元未満株(S株)取引ルール」

まとめ

SBI証券のS株は、購入株数を小さくして個別株投資を始められるサービスです。自分の予算に合わせやすい一方、価格や売買時間を自由に指定できない点を理解して利用しましょう。

  • 対象銘柄を1株から購入でき、投資額や購入時期を調整できる。
  • インターネットコースのネット取引では売買手数料が無料。
  • 指値注文はできず、注文時間帯に応じたタイミングで約定する。
  • 配当・NISA・株主優待は、それぞれの条件を確認する。
  • 単元株に達した部分は、通常の単元株として売却する。

私のように、余裕資金での購入や新しい投資手法を試すために使う方法もあります。初めて購入するときは、銘柄を選んだ理由と予算を決め、注文画面で株数・預り区分・概算金額を照合してください。発注後に約定結果まで確認できれば、次の購入でも同じ手順で判断できます。

▶︎ 関連記事:SBI証券のNISA成長投資枠の買い方、投信とS株の購入手順