資産がどこまで減るとつらい?最大ドローダウンを金額で考えよう

「年利が高い投資なら、多少の値下がりは我慢すればいい」と考える人は少なくありません。しかし、運用成績が良くても、途中の下落に耐えられず売ってしまえば、その成績を受け取ることはできません。

投資を続けるために知っておきたいのが最大ドローダウンです。難しい指標に見えますが、意味は「資産が一度つけた高値から、その後の安値まで、最大でどれだけ減ったか」です。

最大ドローダウンとは

資産が1,000万円まで増えた後、700万円まで下がったとします。高値から300万円減っているので、最大ドローダウンは30%です。

計算式は次の通りです。

(安値-直前の高値)÷直前の高値×100

大切なのは、投資開始額ではなく、その時点までの最高額を基準にすることです。500万円から1,000万円へ増えた後、700万円へ下がった場合、「元本より増えているから大丈夫」だけでは実際の心理を説明できません。1,000万円を見た後の300万円減少は、多くの人にとって大きな負担です。

下落率は回復に必要な上昇率と同じではない

30%下がった後、30%上がれば元に戻ると思いがちですが、計算はそうなりません。

1,000万円から30%下がると700万円です。700万円から1,000万円へ戻るには、約42.9%の上昇が必要です。

下落が大きいほど、回復に必要な上昇率は急に増えます。

・10%下落 → 元に戻るには約11.1%上昇

・20%下落 → 約25%上昇

・30%下落 → 約42.9%上昇

・50%下落 → 100%上昇

この非対称性を知ると、平均リターンだけで投資先を選ぶ危険が分かります。

年利が高くても続けられない理由

運用結果を見るとき、最終的な利益だけが注目されがちです。しかし、その途中で資産が半分になる期間があれば、実際に続けられる人は限られます。

たとえば、Aという運用方法は最終的に資産が3倍になったものの、途中で60%下落した。Bは最終的に2倍だったが、最大下落は20%だったとします。

結果だけならAが優秀です。ただし、60%下落した時点で怖くなって売れば、その後の回復には参加できません。生活資金まで投資していたり、借入を使っていたりすれば、本人の意思とは関係なく売らざるを得ない場合もあります。

自分にとっての最大ドローダウンを金額で考える

「30%なら耐えられる」と答えるだけでは不十分です。実際の金額に直しましょう。

投資資産300万円の30%は90万円です。1,000万円なら300万円、5,000万円なら1,500万円です。同じ30%でも、生活や感情への影響は大きく変わります。

具体例

投資資産が1,200万円ある人が、最大30%の下落を想定するとします。減少額は360万円です。

まず「一時的に360万円減っても、生活資金を取り崩さずに済むか」を確認します。次に「その状態で仕事や睡眠に支障が出ず、決めたルールを守れるか」を考えます。

耐えられないと感じるなら、投資対象が悪いとは限りません。株式の比率を下げる、現金を増やす、値動きの異なる資産を組み合わせる、1銘柄への集中を減らすといった調整が必要です。

損切り率と最大ドローダウンは違う

損切り率は、主に個別の取引や銘柄で、どの条件なら売るかというルールです。一方、最大ドローダウンは、保有資産全体が高値からどれだけ減ったかを測ります。

各銘柄に損切りルールがあっても、相場全体が急落したり、似た銘柄へ集中していたりすれば、資産全体の下落は大きくなります。逆に、個別株が大きく下がっても、投資額が小さければ資産全体への影響は限定されます。

売買ルールだけでなく、銘柄ごとの金額配分と現金比率まで含めて考える必要があります。

過去の最大ドローダウンは将来の上限ではない

過去のデータで最大30%だったから、今後も30%以内に収まるとは限りません。対象期間に大きな危機が含まれていない、上場廃止銘柄が除かれている、費用や税金を考慮していない可能性があります。

また、投資信託や指数の過去データと、自分の実際の運用結果は一致しません。購入時期、追加投資、銘柄配分、売買判断によって変わるからです。

最大ドローダウンは予言ではなく、「過去には少なくともこれだけ下がった」という観察値として使います。想定するときは、過去の数字より悪くなる場合も考えて余裕を持たせます。

投資を続けるための4つの確認

生活資金を分ける

近い将来に使うお金や緊急資金を投資へ回すと、下落時に売らざるを得なくなります。値動きのある資産と生活防衛資金は別に管理します。

資産全体で損失額を試算する

銘柄ごとの値下がりだけでなく、同時に下がった場合の資産全体の損失を円で計算します。楽観、標準、厳しいケースを分けると考えやすくなります。

共通リスクを確認する

銘柄数が多くても、すべてが半導体、輸出、高PER成長株など同じ要因に左右されるなら、同時に下落する可能性があります。

見直し条件を先に決める

どの頻度で配分を確認するか、どの状態なら新規購入を止めるか、投資仮説が崩れたと判断する条件を記録します。下落中にゼロから決めないことが重要です。

まとめ

最大ドローダウンは、資産の高値から安値までの最大下落率です。年利や最終利益だけでは見えない「続けにくさ」を数字にできます。

割合だけでなく、実際に何円減るか、元に戻るために何%の上昇が必要かを確認しましょう。そして、過去の最大値が将来の上限ではないことも忘れてはいけません。

投資は、最も高いリターンを選ぶ競争ではありません。生活を守りながら、自分が続けられる値動きに調整することが重要です。

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