楽天証券の調査によれば、投資デビューした人の40%以上の人が最初の投資先として投資信託を選んでいるそうです。
「中長期的な資産形成を目指すなら、投資信託が最適」といった広告を見られた方も多いと思います。株は危険だが、投資信託を長期間継続すれば、自然に資産が増えていく。そんなイメージを持っている方も多いと思います。
しかし、それは本当でしょうか?投資初心者でも投資信託より株を選ぶべき5つの理由とは?
株式投資と投資信託の特徴
株式投資の特徴
自分の好きな会社の株を買える
JASDAQなどの新興市場を含めると、上場している会社は約4,000社近くもあります。
最初に株を購入する時は、誰でもどの株を買うべきか、凄く悩みます。しかし、株式の場合、どの株を購入するかは全て自分の判断で行えます。株を選ぶ楽しみも株式投資の醍醐味の一つです。
売買タイミングが自由
どの株を買うかだけではなく、株を買わない、手持ちの株を売却するなど、売買タイミングも自由に選べます。
また、2020年2月~3月のように相場全体が暴落している時は、信用取引口座を持っていれば、空売りから入ることもできます。
注)空売りとは?
現在、持っている株を売ることを「現物の売り」と言います。これに対して、今、持っていない株を信用取引を利用して「借りて売る」ことを「空売り」と呼びます。これから、株が下がると予想される時に、空売りを行い、その後予想通り株価が下がったところで買い戻して利益を得る方法です。
配当や株主優待券ももらえる
最近では、株主重視の姿勢を打ち出している会社が多く、会社によっては年間4%もの配当を出す会社もあります。
また、百貨店など株主優待券を出している会社も多く、株主優待券狙いで株を買う人もいます。
投資信託(投信)の3つの特徴
分散投資 が可能
国内株式だけでなく、世界中の株式や債券、投資信託によっては金や原油などの商品に関しても、幅広く分散投資が可能です。
個別株式の場合は、どうしても不祥事の発生などで急落する可能性があります。
また。個人では、分散投資をしようとしても限界があります。投資信託なら、世界中の金融商品に分散投資が可能です。
ただし、2020年3月のコロナウイルス騒ぎに端を発した暴落では、ほぼ全ての市場で暴落が発生しています。常に、分散投資によってリスク回避ができるわけではありません。
運用のプロにお任せ
投資信託を選ぶ最大のメリットがこれでしょう。ゴールドマンサックス等の世界の名だたる投資会社でファンドマネージャーを勤めた運用のプロに資金運用を任せることができます。
一時期、日本の会社の投資信託は、欧米の投資信託に比べて、非常に成績が悪いと言われていました。しかし、最近では、ひふみ投信に代表されるように平均年利10%を超えるような投資信託も出てきました。
少額の資金から可能
100円/月からスタートできる投資信託が数多くあります。
ただし、株式投資でもLINE証券やSBIネオモバイル証券では、株を1株から購入できるようになりました。
例えば、みずほファイナンシャルグループの株価は、2020年3月16日では、1株たったの112円で購入できます。
また、これらの会社ではLINEポイントやTポイントを使って株を購入することもできます。
株と投資信託の手数料比較
株の手数料
これに関しては、株式のほうが有利になってきました。例えば、松井証券では1日の約定代金金額が50万円までなら無料です。
証券会社によって、手数料は異なりますが、松井証券の手数料は以下の通りで、0.1%程度となっています。
1日の約定代金合計金額 | 手数料(税抜) |
50万円まで | 0円 |
100万円まで | 1,000円 |
200万円まで | 2,000円 |
100万円増えるごとに1,000円加算 | |
1億円超 | 100,000円(上限) |
投資信託の手数料
一方、投資信託では、様々な手数料が発生する場合があります。
買付手数料
購入手数料は、投資信託を買うときに一回だけ発生する手数料です。
購入金額の0〜3%に設定されており、かなりバラツキがあります。最近では、ノーロード投信と呼ばれる購入手数料無料の投資信託も増えてきています。
先ほど、紹介したひふみ投信も買付手数料無料です。
信託報酬(運営管理費用)
信託報酬は、投資信託を保有している間に支払う手数料のことです。信託報酬は0.1〜3%/年くらいに設定されている投資信託がほとんどです。
最近では、インデックスファンドという日経平均などの指数連動型の投資信託が増えてきました。
これらの投資信託は日経平均などの株価指数と連動するように株が購入されます。
このため、信託会社側からすれば、ファンドマネージャーなどの人件費を安く抑えることができます。このため、信託報酬は0.14%/年~と非常に安く設定されているものもあります。
なお、ひふみ投信の場合は、積極運用を行うため、優秀なファンドマネージャーを多く抱えていることもあり、0.98%/年とインデックスファンドよりは高い数字となっております。
しかし、積極運用型のファンドとしては、かなり低い水準に設定されています。
また、これまでの平均利回り/年が10%以上を超えていることを考えると十分にお得なファンドであると言えるでしょう。
解約手数料
解約時に手数料が発生する投資信託もあります。
先ほど、紹介したひふみ投信では解約手数料無料です。
投資初心者でも株式投資からスタートすべき5つの理由
さて、上記の特徴を踏まえて、投資初心者でも株式投資からスタートすべき5つの理由を説明します。
相場全体が暴落する際、投資信託では打つ手がない。
2020年1月中国武漢がコロナウイルスで封鎖された際、多くの投資家が、相場が暴落するのではないかと多少なりとも不安を覚えたはずです。
そして、個人投資家の場合は、その時点で全ての株を売却し、現金に換えておくこともできました。あるいは、空売りをして、暴落相場で利益を出すことも可能でした。
しかし、投資信託の場合は、原則として、現金化できる比率が定められており、暴落を予期しても、全てを現金に換える、といったことができません。
このため、国内の株式投資信託5520本のうち20%超下落した投資信託が1180本(全体の約20%強)に上ったとのことです。
投資信託では投資に上達することがない。
投資信託を買う最大のメリットは運用のプロに資産運用を委託できることです。
しかし、一方、これはデメリットでもあり、投資信託で資産運用を続ける限り、自分の投資技術が上達する可能性がありません。
このことは、どの証券会社の説明にもありませんが、本気で投資で資産を増やそうという人にとっては、最大のデメリットでしょう。
ひふみ投信のように、毎年、平均年利10%を超えるような投資信託に初期から投資できるればラッキーです。しかし、そんなラッキーに巡り合えるかどうかは運次第です。
ちなみに、アメリカのピーター・リンチという伝説的なファンドマネージャーが運用したマゼラン・ファンドは、平均年利30%近い数字を13年にも渡って収めたということです。初期から投資した人は資産が10倍以上になったということです。
どのタイミングで投資信託を購入すべきか分からない。
この記事では、ひふみ投信を成功した投資信託の事例として取り上げてきました。
しかし、ひふみ投信でさえ、2018年1月に54,000円を超えていた基準価格が、2020年3月には、38,000円まで下落しています。
詳細は、コチラを参照してください。→ ひふみ投資の価格推移
約30%の下落率です。2年間で30%の下落率では、投資信託を止めたいと思っている人も多いことでしょう。
しかし、もし、2018年12月25日の最安値で投資信託をはじめていたら、ほとんどマイナスにはなっていません。
高度成長期と異なり、日本の株式市場がずっと上昇するかどうか分からない。
最近では、投資信託の中でもインデックスファンドを推薦する人が多くなっています。
しかし、これは今後も経済が右肩上がりに成長し、日経平均などの株価指数も上昇するという考えが前提になっています。
ただ、これから人口減少時代を迎え、株価が右肩上がりになるかどうかは誰にも分かりません。
経済が右肩上がりということでいえば、インドやアフリカなどに投資する投資信託を検討すべきかもしれません。
しかし、新興国への投資は政情不安などのリスクも増大します。
分散投資をしても暴落時には一斉に下がる。
2020年3月のように世界的な大暴落の際は、分散投資をしていても全ての市場が一斉に下がる危険性があります。
そして、日本や世界で株価が大暴落するような大事件は、実は、5年に1度のペースで発生しています。
- 2020年 コロナショック
- 2011年 東北大震災
- 2008年 リーマンショック
- 2001年 911事件
- 1995年 阪神大震災
- 1990年 バブル崩壊
そして、これらの大事件の後は、景気も悪化し、しばらくは株価が低迷することが多いものです。
まとめ
「投資信託は、中長期で投資をするから安全」と考えられていますが、上述のようにリスクも多々あります。
せっかく投資をするならば、投資の学習をして、継続的に資産を殖やせる技術をマスターすべきです。
下の2つの記事では、初心者でも段階的に技術を上達させられる投資のはじめ方を記入しています。
ぜひ、継続的に利益をあげられる投資の技術を習得し、資産を殖やしていきましょう。
それでも、投資信託のほうが簡単で、安全と思われる方には、ひふみ投信をオススメします。
特に、相場が暴落した日を狙って、購入すれば、バーゲン価格で投資信託を購入できるはずです。