岸田首相の資産所得倍増プランのなかでNISAの拡充が計画されています。

しかし、ニューヨーク証券取引所でこの講演をした翌日、日経平均は600円を超す下げとなってしまいました。

そもそもNISAは相場の格言「損小利大」に逆行しているのです。

昔から、「損小利大」を守れば、相場で勝てるようになると言われていました。

これは、何を意味するかと言えば、昔でいう「うねり取り」、現代風に言えば、「トレンドフォロー型売買」に習熟すれば相場で勝てるようになるということなのです。

つまり、上昇トレンドが発生したと観測できれば買って、次に、下降トレンドに移行するまで長―く株を持っておく。つまり、この部分が「利大」です。

いつも、これでうまくいけばいいのですが、実際には、トレンドが発生している期間は全体の1/3、保ちあいの期間が2/3と言われています。

つまり、上昇トレンドが発生したと思って、株を買っても、すぐに、保ちあいに戻ってしまう時のほうが多いのです。

この割合がおよそ2/3になります。

そして、この場合には、すぐに、損切をしなければなりません。これが「損小」の部分です。

おおまかな期待値を計算すれば、勝率33%×平均勝ち金額300円-負ける確率67%×平均負け金額100円=32円/回、といった感じになります。

これを何回も繰り返すことで、徐々に資産が増えていくことを損小利大という格言で表しています。

そして、今年、損が発生しても確定申告をすれば、損失を来年に繰り越して、来年の利益と相殺できるのです。

しかし、NISAの場合は、損失の繰り越しができません。結果として、株を塩漬けにしてしまう可能性が高いのです。特に、2022年のように世界的に株式市場が下落している場合は、さらに、その傾向が強まるのです。

そもそもNISAは株で利益が出ることを前提とされていますが、相場の格言に立ち向かうようなことをしていては、そもそも利益が出ません。

期待値がプラスとなる投資をコツコツと継続していきましょう。